断腸亭料理日記2010

またまた、福岡

4月15日(木)

さて。

先週に引き続いて、今週も、別の仕事だが、
福岡出張。

仕事を終え、夕方、時間が少しあったので、
今日は、一人で、天神へ降りてみる。

ご存知の通り、福岡市の中心部は、歴史的に
お城のあった福岡と、古くから貿易、商業で
栄えた、博多に分かれる。

この二つは那珂川をはさんで隣り合っている。
東側、中洲や祇園山笠で有名な櫛田神社、
JR博多駅のある方が博多。
お城のある西側が福岡なのだが、こちらの
最も栄えているのが、行かれたことのある方は
ご存知であろうが、天神というところ。
西鉄の駅があり、福岡市役所も天神にある。
天神は那珂川に隣接しており、
川を東に渡ると、中洲、になる。
中洲というのは、名にし負う九州一の繁華街、飲食店やら、
お姐さんのいるお店などある、博多側の繁華街。

天神と中洲は地下鉄の駅でも隣で、歩いても
移動できる距離ではある。

で、ラーメンでも食べようかと、天神駅に降りてみた。

と、いっても、最初からあてがあったわけではない。
天神で一番人気のあるところ、と直前に、調べてみた。
出てきたのは、一蘭

私は知らなかった。

この店、東京にも進出済であった。
それも、ご近所、上野駅構内のアトレにあった。

地下鉄から地上に上がっても、どっちが東やら、
西やら、わけがわからぬので、しばらくうろうろしてしまうが、
西鉄の天神駅まで一度いき、なんとか見つけた。

西鉄天神駅の東北側、一本入ったところ。
表にリンガーハットがあり、ビルの隙間の
路地のようなところを入った右側。

表に券売機。
なにがよいのか、わからぬので、ノーマルなラーメン。
それから、玉子、きくらげ。

入ると、壁があり、薄暗い。
この、入ってすぐの壁に、あいている席が
表示されている。

この店に入られたことがある方は
おわかりであろうが、驚いた。
ここは、すべての席が、テレクラ(?)、あるいは、
言葉はよくないが、ちょっと刑務所の面会室のように、
隣の席とパーテーションで仕切られているのである。
女性でも他の人の目を気にしないで食べられる、
と、いうことのよう。

加えて、店の説明書きによると、
『周りが一切気にならないため、味覚が研ぎ澄まされ
ラーメンの美味しさをより深く味わっていただけます。』
と、いうことなのである。

立ち尽くし、、、これはなんであろうか?
と、考えていると、○○番へどうぞ、という
声がかけられた。

仕切りが高く、声の主も見えない。

その番号の席は、右側の一番手前のよう。
行って、座る。

仕切りのある席は、圧迫感があり、狭い。
幅は1mもないかも知れぬ。

目の前の50cmほどまでは窓としてあいている
のであるが、ちょうど、目線のところから上は隠れている。

座り、食券を前に置く。
紙が置いてあり、麺の堅さなどの希望を書くようである。

女性の店員がきて、食券を取り、
お書きになりましたら、お呼びください、
といって、水を置いていく。

店員は頭を下げるのだが、こちらの目線の高さは
先のように隠れているので、顔は見えない。

書いて、ボタンを押して、また呼ぶ。

渡すと、かわりに、玉子を置いていった。

え?。

ゆで玉子、だ。

ゆで玉子の入っている器と、カラ入れなのだろう、
器が二つ重ねられて置かれた。
塩の小袋と、紙のお手拭きもついてきた。

半熟、などと書いてあり、
私は、てっきり、ラーメンの上にのせるもの、
と、思っていた。
(あとで気が付いたが、こちらのラーメンやでは
ただのゆで玉子を置いているのが、普通のようであった。)

なんだかよくわからぬまま、
割って、食べる。
いっている通り、黄味は半熟だが、
まあ、普通のゆで玉子、で、ある。

そうこうしているうちに、ラーメンがきた。


と、また、びっくり。

店員はラーメンを置くと、あいていた窓を
御簾(みす)のようなものを下げて、完全に
見えないようにしてしまった。

確かに、食べることに集中はできるが、、、

ともあれ。

ラーメン。

さすがに、きくらげは、上にのっている。

スープの表面にはちょっと辛い赤いたれが浮いている。
スープ自体は、濃いめのとんこつ。
(先日食べた、長浜の屋台よりは濃いだろう。)

味はうまいが、どうにも奇妙な店内、で、ある。
慣れればまあ、こんなものか、ということかもしれぬが、、、。

福岡の人は、新し物好きで、どんどんと
こういう新しいことを考える、ということか。

食べ終わり、もう少し、天神、中州など、ぶらぶらし、
福岡空港へ。

飛行機の出発まで、多少時間があったので、
一杯呑もうと、空港の鮨やに入ってみる。

ラーメンを食べているので、ちょいと、
で、ある。

ビールをもらって、刺身はなにがよいかと、
聞いてみる。

光りものだったら、鯖か鯵、ですね、
と、板さん。

鯖は、もう終わりかと思っていたが、
まだ食べられるんですか?
と、聞く。

いや、こちらでは、一年中食べます、
とのこと。

ほほー。
と、いうことで、もらってみる。


やはり、と、いうべきか、生。
〆ていない。

生なので、関鯖ですか?と、聞く。
と、板さんは、
いや、玄海、です、(とんでもない、
なんてことをいうんだ、という口ぶり。)と。

九州の鯖といえば、東京者の私などからすると
おんなじように思ってしまうが、トンデモハップン
違う、のである。
あちらは、大分の佐賀関。
四国愛媛と九州大分の間、瀬戸内海と太平洋の境目で、
豊後水道。

玄界灘は、福岡の前の海で、日本海。

こちらでは、年間を通して、〆ずに、
生で食べる、と、板さんはいう。
それだけ、新鮮なものが出回り、食べている、
と、いうことであろう。

味は、いう通り、関鯖とはまた違うが、
むろん、生ぐさみ、などはまったく、
鯖らしい、旨みは十分にある、うまい鯖、
で、ある。

勘定をし、帰りの飛行機に。

博多福岡、おもしろいところ、で、ある。






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