断腸亭料理日記2010

築地・鮨・つかさ その1

1月30日(土)夜

さて。

土曜日。

このところ、毎週、内儀(かみ)さんは、
土曜は、半分仕事のようなことで、外出している。
(しばらくの間、そのようである。)

夜は、鮨、が、食いたいという。

私は、この間、新橋のしみづへ、いったところ。

どこがよかろうかと、考える。

浅草観音裏の久いち

同じく、観音裏の一新

神田の鶴八は、一人では、この後も、なん回かいっているが、
内儀さんが、いきたがらない。
(気詰まりな感じがするようである。)

そこで、ちょっと開拓ということで、調べてみた。

銀座方面の超有名店も、一回くらいは、行ってみたい
とも思うのだが、一念発起が必要である。

これは、やはり、値段も一つの理由だが、最近鮨やで思うのは、
客層の問題。これはけっこう重要である。

カウンターというのは、思いがけずせまい。
鮨や、と、いうのは、味もむろんだが、居心地というのも
重要な要素である。味や腕はよくとも、なんとなく気詰まり、
お喋りな客が多い、など。
どこであったか、自前のグラスを持ち込んで、
シャンパンなんぞを飲んでいる、髭の親父、
なんぞが居るのに、行き合わせたことがあるが、
狭い店内で、そんなことをされると、居心地が悪いこと、
この上ない。

ご主人、親方のキャラクターや、その店の有名度合いでも
決まってくるのだろう。
銀座の某有名店では、常連風を吹かせつつ、
親方にヨイショばかりする客ばかり、なんという、噂も、
聞こえてくる。

うるさいのもいやだが、あまりにも無口で、
気詰まりも、居心地はよくない。
そういう意味では、新橋のしみづは、私には
ちょうどよい。

さて。
今日、調べて出てきたのは、築地のつかさ、というところ。
文春の「いい店」に載っていた。
値段も、おまかせで、10000円。
15000円の超有名店の価格帯ではない。

知らなかった店だが、ちょいといってみようか。

情報では、親方は私などと同年代だが、いまどき珍しく、
中学を出るとこの道に入り、修行歴は、30年ほどにも
なるという。

場所は、築地でも、魚河岸の方ではなく、
本願寺の北側の路地のよう。

昼前TELを入れ、予約。
あいにく、カウンターは一杯。
小上がりでは?というので、それで
7時にお願いする。

6時に内儀さんが戻り、私は、例によって、
今日も、先日と同じ青い縞の着物を着て、
羽織、マフラーをし、白足袋に雪駄という
格好で、6時半、出る。

築地までは、日比谷線。
仲御徒町駅、多慶屋の角まで春日通りを歩く。

築地駅、後ろの改札から出て、上がると、
新大橋通り沿い、デニーズの前。
つかさは、このデニーズの脇の路地と
本願寺に接している路地の間の路地。

入って、一本路地をすぎて、右側。

小洒落た新和風のような店構えでもなく、
落ち着いたたたずまい。

格子を開けて、入る。
カウンターが右側手前から、奥へ続き、
中に、親方。

坊主頭で、なるほど、同年輩といった感じ。
比較的、威勢がよいか。
カウンターには、二組ほどのお客。

名乗ると、
はい、奥へ、と、いうことで、奥との仕切りの
暖簾を潜って、座敷へ。

六畳ほどはあろうか、テーブルに向かい合わせに二枚の
座布団。物がなにもないので、二人では広い。

ビールをもらい、つまみはなしで、
にぎりを、おまかせ、で、もらうことにする。

まずは、煮いかといって、女将さんが運んできた。

やりいかが輪切りで、卵や下足を胴の中に詰め、
甘いたれを、かけてある。
鮨やでは、定番であろう。

うまい。

次の皿は、
中トロ、赤身、平目。

どれも、一個ずづ。

にぎりの大きさは全体とすれば小さめであろう。
しかし、酢飯とネタのバランスは
気持、ねたが大きめかもしれぬが、ほぼ標準か。
(ねたの方が酢飯から大きくはみ出るくらいに
ねたを大きく切るという鮨やもある。
鮨発祥の頃の古い形は、酢飯が大きい。
この流れを踏襲しているのが、美夜古から、鶴八、
新橋しみづなどの流れなど。私は、これを支持している。
酢飯が主張して、はじめてにぎり鮨、で、あると思うし、
事実、その方が、うまい、と、思う。)

腹がへっているので、ばくばくと口に入れる。


といったところで、だいぶ長くなった。
今日はここまで。

つづきは、また明日。






住所 東京都中央区築地3丁目12-1
電話 03-5565-8334


断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 |

2009 12月 | 2010 1月 |




BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2010