断腸亭料理日記2010

うなぎ・麻布・五代目野田岩

10月2日(土)夜

さて。

土曜日。

今日は一日、再来週に迫った『講座』の資料の準備。

夜は、内儀(かみ)さんが、うなぎを食いたいというので、
久しぶりに、麻布の野田岩へいってみることにした。

野田岩といえば、日本橋高島屋特別食堂に入っている
ものが、池波レシピ

私は、この8月にいったところであった。

野田岩の麻布の本店へも、過去2〜3回はいったことがある。

野田岩は、池波先生も書かれているが『丁寧な仕事をしている。』。

東京のうなぎやも数々あり、私の好きな、

南千住の尾花

明神下神田川

の二軒も外せないが、こと蒲焼の味一点に焦点を絞れば、
東京一ではないかと、思っている。

なぜ今日、野田岩の本店なのか、というと
まあ、ご想像の通り。

4時頃、資料作りに区切りをつけ、芝に向かう。

野田岩には6時の予約を入れた。
内儀さんとは現地待ち合わせ。

1時間半ほど、『講座』の下見。

6時頃、野田岩到着。
野田岩は飯倉から、赤羽橋へ降りる桜田通りの坂の途中。
坂下へ向かって、右側。

店に着く。

昼間、TELをし、予約を頼んだら、新館の方で、
と、いわれたのだが、あいていれば、本店で
どうぞ、ということであった。

入り、名乗ると、内儀さんはまだきていない。
あいているようで、先にこちらで、座っていることにする。

瓶ビールを頼み、一杯呑むか呑まぬかのうちに、
内儀さんもきた。

えーと。

うな重は、、小さいのでいいだろう。
菊、2750円也。

それから、白焼き。

ここは、志ら焼と書く。

余談だが、この「志ら焼」という書き方は
なんであろうか。
『白』の字を嫌った、忌(いみ)言葉の類(たぐい)
であろうか。
白は、うまそうに思えないというようなことか。
(あるいは、さらに余談だが、新橋を、あの辺の
祭半纏などには、志ん橋、などとも書いたりするが
あれは、なんであろうか。確かに、新橋と書くよりは、
洒落て見えるような気はするのだが。)

先日の日本橋高島屋もそうであったが、
ここは、志ら焼、が充実している。
定食や丼もある。

メニューには、天然も、あれば出せます、
というようなことが書いてある。

聞いてみると、ご用意できます、とのこと。
3150円也、頼む。

私など、天然ものは食べたこともなく、
天然じゃなければ、ダメ、なんということはむろんない。
だが、お客の多い夏場、などには、予約をしても、
なかなか行き会えないのであろうから、
ちょいとラッキーである。

志ら焼、からきた。


黒い塗りのお重?


ふたを取ってみると、さらに赤い塗りの凹型の部分があり、
これは赤く塗ってあるが金属のよう。その下には、
熱湯が張ってあり、熱い。
むろん、冷めない工夫。

ほー。

これが天然うなぎの、志ら焼、かぁー。
ぶ厚い。

内儀さんなどは、随分小っちゃいわね、、
これで3000円?、、などと、いっている。
まあ、こういうものは、値段のことは、考えてはいけない。

ぶ厚いし、直径が大きい。
天然のものは、大きいと、聞いたことはあったが
これは10cmはあるかもしれない。

わさびじょうゆで、食べる。

むろん、大きいからといって、堅いことはなく、
柔らかく、脂もよい感じに、落としてあるよう。
あまみと、よい香り。

食べ終わった頃、お重もきた。



いう通り、丁寧な仕事をしている、といってよいのだろう。
どちらかといえば、さっぱり系。
志ら焼同様、ふっくら、香ばしいよい香り。

後から考えたのだが、このお重の蒲焼も、
少し厚みがあるが、もしかして、天然?
聞いてみてもいないので、わからぬが。

なにもいうことはない。
うまい志ら焼と、うな重であった。


東京の大切な食文化であるうなぎ蒲焼。
(日本中にうなぎ蒲焼はあるが、
東京の名物を挙げろといわれれば、蒲焼は外せない。
東京人として誇るべき味、である、と、思っている。)

その中で、麻布野田岩の味は、まさしく、
東京のうなぎやの、最高峰の一つと
いってよいのではなかろうか。

南千住尾花、明神下神田川と並んで、
このままで、ずっとあってほしい。
私はここに、無形文化財を差し上げるべき、
であると、考える。



麻布・五代目野田岩
電話番号:03-3583-7852
住所: 東京都港区東麻布1丁目5−4






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