断腸亭料理日記2011

里芋とねぎのふくめ煮

2月11日(金)祝日

今日は昨日の続き。

雪の中、雪駄を直して、佐賀ラーメンを食べ、
田原町の赤札堂に寄る。

売り場を見ながら、なにを食べようか、
考える。

温かいもの・・・。

煮もの?。

なにかちょいと、なので、
おでん、じゃないし、、、。

なんだろうか。

野菜売り場。

ん?

里芋。

里芋は、いいかもしれぬ。
里芋とねぎの煮たの。

これは、池波レシピ
作品は鬼平。

「土蜘蛛の金五郎」という一遍。




三ノ輪の「奥州・陸羽両街道の筋街道」に面し、
「往還から西へ切れ込んだ小川に架かる橋の
たもとに在った」、「安売りの飯屋」。

この小川、というのは、根岸川、と、作品には
書かれている。

江戸の地図


新吉原の前を流れている山谷掘が、三ノ輪まできて、
淨閑寺の前を通り、往還をくぐる。この橋が三ノ輪橋で、
今も残る唯一の都電の駅名になっている。

ここから川の名前は、根岸川となり、
金杉、根岸(鶯谷)あたりを通り、日暮里、
芋坂下、今の羽二重団子の前を通って流れていた。

そんな三ノ輪の根岸川のほとり。
大名屋敷の下屋敷もあるが、すぐに、田や畑。
往還のそば、とはいえ、まあ、場末、と、
いってよかろう。

その「安売りの飯屋」。

「紺地(こんじ)に〔一ぜんめし・どんぶり屋〕と
白で染め抜いた大暖簾(おおのれん)が掛けてあった。」

その一膳飯が、破格の七文。

まさに慈善事業のような、飯屋、で、ある。

この話を小耳にはさんだ平蔵は、『なにかある』、
と、感じたのであろう、汚れ浪人になりきり、
ここに入ってきた。

板敷の入れこみに座り込んだ平蔵の前に運ばれたのが、
「熱い飯に味噌汁」そしてこの「里芋と葱のふくめ煮」と
「大根の切り漬」、で、あった。

これが「なんともいえずうまい」、と、書かれている。

で、まあ、真似をして、作ってみたわけである。

そして、それから、たまに
思い出したように、作っている。

里芋は泥の物が売っているが、
ちょいと、面倒なので、洗って、
水煮をしてあるものに、しようか。

1パック買って、帰る。

作る。

いや、作る、というほどのものではない。

ねぎを一本、2cm程度にブツブツと、切る。

水煮の里芋は、大きさがばらばらなので
一口に揃えておく。

鍋に、里芋を入れ、酒、しょうゆ、出汁の代わりに、
ちょいと、ニョクマムを入れる。

ニョクマム、というのは、ご存知のように、
東南アジアの魚醤だが、ちょいと入れて、
加熱をすれば、独特のくさみは抜け、
出汁になるのである。

すぐに煮えるので、水はほんの少し。
全体で、ひたひたになるくらい。

煮ている間に、火鉢の鉄瓶で燗をつける。


今日などは、寒いので、火鉢が大活躍、で、ある。

煮えた。

まあ、簡単なもの、で、ある。
盛り付け。



飯にもいいが、むろん、酒にもよい。

うまいもん、で、ある。









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