断腸亭料理日記2011

箱根・塔ノ沢・福住楼 その1

5月5日(木)

子供の日。

毎年、このゴールデンウイークには
特段、旅行などにはいかないのを常としている。

なぜかといえば、人が皆、出かける時に
なにも好きこのんで、高いお金を出して、
人の多いところに、行かなくともいいだろう、ということである。

しかし、今年は、ちょっと行ってみようか、
と、内儀(かみ)さんと相談がまとまった。

自粛流行りで、皆が行かないのであれば、
行こうじゃないか、と。

行くならばどこか。

ちょうど、案内が来ていた、箱根塔ノ沢温泉の、
福住楼

なん度も書いているが、
毎年、年の暮に、内儀さんとともに、
年賀状書きに、二泊で出かけている。

この習慣は、もう10年以上はしているだろう。
しかし、この、年の暮以外にいったことは、
おそらく、数えるほど、いや、1回あったかどうか、
で、ある。

こうした、新緑の頃の、箱根、というのも
よいかもしれぬ。

車で、1時すぎ、東京を出る。

東名高速も、小田原厚木道路も、比較的すいていたのでは
なかろうか。

3時すぎには、着いていた。

部屋は桜の四。
川側の二階。


なん度もきているので、まったく初めての部屋、
ということは、まずない。
ここも、記憶がある。

暮の冬枯れの箱根にばかりきていたので、
緑が窓から見えるのは、新鮮な感じもする。


ビールを呑んで、風呂。


ここ、福住楼、看板の丸い風呂。

まだ明るいので、外の緑が湯船に映って美しい。
風呂に入ると、まるで緑の中に入るようで、気持ちがよい。

夕飯。


先付。

さよりの焼いたもの、同じく、さよりの酢の物など。

お造り。


生だこが、うまい。

くる途中、少し早いので、小田原厚木道路を大磯で降りて、
国道1号線、東海道を走ってきたが、街道沿いの
魚やにも、生たこ、と、書かれた紙が貼ってあった。
今、この、相模湾では獲れているのかもしれぬ。

鍋は足柄牛のすき焼風。


焼き物二品。


左は、丸茄子のクリーム焼き。ちょっと、洋風。
(一口かじってから、写真を撮ってしまった。)

右は、見てわかる通り、鯛の兜。
なのだが、仲居さんは、焼煮、と、いっていた。

なるほど、一度焼いてから、煮てある。
ただ、煮ているのは、よくあるが、焼いたものは
煮る、というのは、初めてかもしれぬ。

意図は、なんなのか。
焼目を付けてから煮るのは、煮崩れない、
ということであろうか。

味付けは、先日の駒形むぎとろ
で、食べた、きんめの煮付けと比べれば、
同じ甘辛だが、これはちょっと薄め。

やはり、あの濃い甘辛は、料理屋の料理としても
東京下町固有のものなのであろう。

八百善など、元来は江戸にも会席というのか、
いわゆる料理屋の料理というのが、ちゃんと
存在をしていた。

しかし、それらは、明治末から、大正時代、
関西からきた、京料理に、駆逐された。

それで、今の東京には、江戸から続く、
江戸の料理屋料理を出す店は、ほとんど生き残っていない。

そういうことなので、東京でも関東でも、
料理屋の料理は、こうした、箱根の旅館でも
京料理の流れを汲む和食の修行をした
板前さん達によって、作られている、
と、いってよいのであろう。

このため、甘辛の魚の煮付けでも、甘辛は
濃くない、ということなのか。
(しかし、滅んではしまったが、今でも
下町の老舗料理屋では、古い東京の味を
少しは、残しているのか。)

話がそれてしまった。
福住楼の夕食。

揚げ物。


目光の天ぷら。

ご飯とともに、煮ものと、赤だし。


煮ものは、見た通り、若竹とわかめ。

季節の定番であろう。
緑色のものは、生麩。

赤だしは、岩海苔。

まんぞく、まんぞく、うまかった。

そのまま、ゴロッと、、、、。



福住楼




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