断腸亭料理日記2011

飯田橋・中華そば・高はし

11月16日(水)夜

だいぶ寒くなってきた。

寒くなると、熱いラーメンというのは

よい。

夕方、日が落ちるのも早くなってきて、
なお更、そんな思いが強くなる。

市谷のオフィスからの帰り道、どこかで、食べよう、
と、考える。

大江戸線、牛込神楽坂から新御徒町の間で、
うまいラーメン。

湯島天神下の大喜

ちょっと、ご無沙汰、で、あるが、
はずれなく、文句なく、うまいラーメンや。

だが、途中下車の上に、上野御徒町駅から
ちょいと歩かねばならぬ。

市谷左内坂の、庄のも、よいのだが、大江戸線からは離れてしまう。

それで、飯田橋の高はし

ここであれば、オフィスからタクシー、
ワンメーターで、飯田橋のガード付近まで
行ける。

あそこは、塩味のスープで温まること
この上ない、はずである。

その上、この店の雰囲気が、なんとなく今の自分の気分に
合っているような気もする。

ガードの手前で降りて、高はしは、左側の長屋のような
古いビルの向こうから二軒目。

列があることも珍しくないのだが、列もなく、
店の前までくると、中にもお客は二人ほど。
珍しい。

戸を開けて入る。

座る場所は指定されるが、ゆったりと座れる。

そう、ここ、お客への注文が多いのである。

やれ、荷物はカウンター下、前の棚に置け、
コートは後ろの壁に掛けろと、いう。

今は、ある程度の大きさの棚ができているが、
少し前には、置けといわれた、前には、
棚というほどのスペースがほとんどなく
どうしろというのだ、と、聞き返したくなるほどであった。

ああしろ、こうしろも、にっこり笑って
あるいは、すまなそうに、言ってくれれば、まだしもだが、
にこりともせず、事務的に言うので、ちょいと、
カチンとくる。

ともあれ。
これがこのご主人のカラー。
(ちなみに、ご主人は一切口をきかぬ。
バイトなのか、もう一人いるお兄ちゃんか、
お姐ちゃんがそういうのである。)

そして、もう一つ、この店に特徴的なこと。

店内に流れている音楽。

ご主人の趣味であろうが、かなりの音響で
アメリカのカントリーミュージックが
かかっている。

私は別段、カントリーは嫌いではなく、
多少は好きな方で、これは本来的には、わるくはない。

しかし、カントリー音楽は、素朴というのか、温かいイメージ
のような気がする。
それに対して、どちらかといえば、冷たく、あしろ、こうしろ、
こうするな、と、お客に注文を出すイメージ。

この店に行かれたことのない方は、
この二点で、どんな店をイメージされようか。

やはり、ちょいと、不思議な感じを抱かれるのではなかろうか。

さて。
注文は、わんたんめん。
ここではこれしかない。

この店は、四谷のこうやの分かれで、もともとは、こうや、の、名物。

どこでもある程度そうだが、ラーメンやで
ラーメンを作っている人の動作というのは、
まったく無駄のないものになっている。

このご主人はほとんど声を発しないので、
無駄のない動作と相まって、とっても
ストイックな感じが醸し出される。
これと、冷たい言葉は、一連のものといってよかろう。

そんな姿を見ながら、待つと、きたきた。

わんたんめん。


まるまるとし、つるつるのわんたん。

バラ肉の大きなチャーシュー。

麺は細麺。

脂がありコクもありながら、すっきりとした
熱い塩味のスープ。、

どれも、文句なく、うまい。

ストイックな感じと、完璧なわんたんめん。
これは、つながっている。
このご主人は完璧主義で、潔癖なご性格なのか。

食べている間も、カントリーミュージックは
ガンガン響いている。

私が入った後、お客はどんどん入り、店はすぐに
ほぼ満席になっていた。

食べ終わると、すぐに席を立ち、勘定をして、出る。

ガンガンとカントリーがかかっていたお陰で、
名前はわからぬが、その曲が頭から離れず、
いつの間にやら、歩きながら、さびの部分を
自分でも口ずさんでいる。

完璧主義の塩味わんたんめんと、
カントリーミュージック。
やっぱり、不思議。

だが、なぁ〜んとなく、今日の気分に合っていた。






03-3239-5274

千代田区飯田橋3-11-30 千代田街ビル 1F




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