断腸亭料理日記2012

断腸亭の夏休み イタリア その5

8月10日(金)

スパゲティー・カルボナーラと
スパゲティー・ポモドーロの昼飯をバチカンの
城壁すぐ外のレストランで食べて、バチカン美術館へ
向かう。

Musei Vaticani。

美術館という名前なのだが、行かれたことがある方は
おわかりであろうが、建物はバチカンの中の宮殿。

ここに数百年に渡る歴史の中で、収集された
美術品などを並べている部分。宮殿内の部屋そのものの
壁に書かれたフレスコ画を観る部分。
そして、コースの最後になるが、ミケランジェロの
天井画が有名なシスティーナ礼拝堂などが含まれている。

入場口はいつも長い行列になるとガイドブックには
書かれていたが、午後の早い時間、特段の行列もなく、
すぐに入ることができた。

ここでは日本語版があったので、イヤホンガイドを
借りる。

どうなのであろうか。
この博物館、丹念に観たら、おそらく
なん日もかかることであろう。
とにかく、広く、展示品の数も半端ではない。

部屋の中は、エアコンもなく、窓が開いていたりするが、
とにかく暑い。

よって、できるだけすっ飛ばして、観たわけではある。

ここには、古代ギリシャだか、古代ローマだかの彫刻から
あり、このあたりは、今回は、さらっと。

これは入ったところの中庭。


(宮殿の向こうには、サン・ピエトロの丸い屋根が見える。)

で、やはり、時間を割いて、イヤホンガイドも
ちゃんと聞き、じっくり観たのは、ラッファエロの間、
と、呼ばれる一連のラッファエロとその弟子達による、
フレスコ画のある部屋と、システィーナ礼拝堂。

ラッファエロの間のフレスコ画群は、こんな
有名で、貴重で、すばらしい作品群をこんな近くで観てもよいのかしら、
ひょっとして、観ているのは、複製品?と、まで、思えるよう。

中でも、最も有名な、ラッファエロの最高傑作と
いわれている(らしい)『アテナイの学堂』という作品。
私、ヨーロッパ絵画にはまったく無知、ではあるが、
これはどこか(教科書?)で観たことがある。

ウィキペディア『アテナイの学堂』

皆様も一度くらいは観た覚えがあるかもしれない。

ギリシャの哲学者達が、歩いていたり、話をしたり
している絵、で、ある。

私自身はこの絵に関してなんらか評をすることは
できないが、絵そのものは、近年修復もしてあるようで、実に鮮やか。

それが、なんの覆い、カバーもなく、この暑さで、
開けっ放しの窓の部屋。(この部屋は、中世、
1500年代初頭の教皇の居住区であったという。)

そこにセキュリティーがいたりいなかったり。

まったくなにげなく、そこにある。

これはやはり驚き、で、ある。
日本であれば、ガラスなどで描かれた壁や天井全体を
覆ってしまいそうである。

そして、システィーナ礼拝堂。

先のラッファエロの一連の作品群もそうだが、
システィーナ礼拝堂も、15世紀から16世紀のルネサンス期。
こちらは、ミケランジェロの天井画群がなんといっても
メイン。
そして、これらもまた、色鮮やか。
すばらしい。

だが、やはり、礼拝堂という名前の通り、ミサも行なわれる
神聖な場所であり、かつ、教皇様を選ぶ会議、
コンクラーヴェが行なわれる場所。

やはり、カトリック信者とすれば、
畏れ多いところ。

礼拝堂に入っていくと、中はバスケットボールが
できそうな大きな柱のないホール。

見学の人々はワサワサといるのであるが、
2〜3分に一度、制服姿のセキュリティーのお兄さんが
入ってきて『シー』、と、いう。

やはりこれは、静かに観なさい、と、いうことか。

先のラッファエロの間はまだしも、こちらは礼拝堂であり、
祭壇背後の壁のミケランジェロの最後の審判をはじめ、
旧約、新約の聖書にちなむ場面を描いている。

人々がワサワサいる中で、祭壇に跪(ひざまず)いて
祈っているシスターの姿もあったくらい、で、ある。

これもやはり、ただの美術作品、文化財として
観ることは、私自身はとてもできなかった。

こういうものを、制約なしに見せているのは
バチカンの寛容さ、なのであろうか。

むろん、これはカトリック教会のみの財産ではなく、
世界遺産でもあり、名実ともに、人類の宝なのであるから、
世界の多くの人に見せてしかるべきであろう。
だが、それにしても、寛容すぎはしないか、とも
思えてくる。

また、観る方にも、マナーがあろうかと思われる。

カトリック信者ではないのであろう、
広いものだから、子供が走り回る。
親が怒るかと思えば、一緒に遊んでいる。
世界中からきている人々、どこの国にもそういう人はいるものか。

イスラムの国では、異教の者はモスクには
入れない、というところもあるわけであるし、、。

祈る場であることを、もう少し理解してほしい。

と、まあ、そんなことをここでは、
思ったわけであった。


システィーナ礼拝堂を出て、長い螺旋階段を降りて出口へ。


これは、城壁に設けられたバチカン美術館の出口。


それにしても、暑かった。

熱中症寸前であったか。



今日はこんなところで、また来週。







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