断腸亭料理日記2012

断腸亭の夏休み イタリア その6

8月10日(金)

さて。

バチカンで先週一週間を使ってしまった。

本当は、カトリック信者である私は、
もっと書かねばならないくらいだった
ような気もするが、、。

ともあれ。

サン・ピエトロ大聖堂、バチカン博物館を観て、
まあ、色々なことを考えたのではあるが、
個人的なことかもしれぬが、もう一つだけ、
書いておきたいことがある。

今さら?、と、いうようなことなのだが、
この日本の国の歴史と、キリスト教(カトリック)の歴史は
ほぼその始まりが同じ、ということ。

つまり、同じタイムスケールで測れる、というのであろうか。
そんなことにあらためて気が付いた、のである。

毎度書いているが、私自身は日本史がホームグランドなので、
ルネサンスといえば、日本だと戦国時代から
安土桃山時代、と、常に引き比べて考えていた。
それで気が付いたことであった。

サン・ピエトロ大聖堂のところで書いたが、
カトリックでは最初の教会は聖ペトロの墓の上に
建てられたもの、としており、これが4世紀。
またこれは、ローマでキリスト教が初めて、
コンスタンチヌス帝によって公認された時期でもある。

それ以前を原始キリスト教というようだが、
文字通り、この4世紀を以て、カトリック教会の成立
といってよいのであろう。

この4世紀というのは、日本では大和朝廷の成立の時期
と、考えられている。
(ただし、我々が学生時代には、こう教えられたが、
現在の日本古代史では、もう少し厳密に定義されて
きているようで、この時期には、朝廷という言葉は
使うのは不適切で、有力豪族の連合政権という
定義のよう。)
ともあれ、当時は大王(おおきみ)と呼ばれた、
その後の天皇家を中心とする政権が形成されたのは、やはり、
この4世紀ということでよいようではある。

その後、日本は、大化の改新、平城京、平安遷都、
藤原氏の摂関政治、国風文化、、、
書き始めたらきりがないが、現代に到達するまで、
1700年の国としての歴史がある。

この歴史のスケールが、そのままカトリック教会の
歴史スケールと同じである、ということ。

バチカンの様々な文化遺産の多くがルネサンス期で
あるわけだが、バチカンへくるまでは、むろん、
知識としてはある程度知ってはいたが、きちんと
学んではこなかった、ということもあるが、
あまり実感を伴って、腑に落ちていなかった。

カトリックの聖地、ではあるが、やはり、遥か彼方(かなた)の国で、
ルネサンスなど遥か彼方の昔、と、漠然と思っていたにすぎなかった。

書いている通り、ルネサンス期は日本では、戦国から安土桃山。
我々もよく知っている、信長、秀吉の頃。
なんだ、そんなに昔じゃないじゃない、と、そんな感じ、
で、ある。

これが実際に、バチカン現地でラッファエロやミケランジェロの
フレスコ画や彫刻に触れて、そこに存在するもので、
リアリティーを以って実感できた、と、いうことなのである。

また同時に、我国の歴史、文化も、同じタイムスケールの中で
比較できるので、見直すというのか、大袈裟にいえば、
世界の中で相対化できた、ということ。

当時、ルイスフロイスなど、こちらからきた宣教師などの人々が
肝を潰したという信長の築いた安土城。
あるいは、秀吉の豪華絢爛であったという大坂城も、聚楽第も、
現代には残っていないが、もしかすると、
サン・ピエトロ大聖堂と比べても、遜色のない
ものであったのかもしれない。

その少し後のあの、ゴテゴテとしてた日光東照宮を思い出すと、
そんな想像もできそうな気がしたのであった。
(むろん、この時代には、ゴテゴテだけではなく、利休の侘茶、
数寄屋造りの建築、庭、、など、我国には別の顔の文化も
あったわけだが。)

ともあれ。

暑さで、そうとうに疲れたのでバチカンから
そのままテルミニ駅そばの、ホテルへ地下鉄で戻る。

そして、今夜の食事。

これは、朝から決めていたのだが、ミシュラン一つ星の
レストラン、イル・コンヴィーヴォ・トロイアーニ
(Il Convivio Troiani)と、いうところ。

こちらの夜は、早くて8時。
普通は9時頃から皆、食べ始める。

レストランへは、TELを入れ、8時に予約。
それまで、シャワーを浴びて、昼寝。


より大きな地図で 断腸亭料理日記・ローマ を表示

レストランはナヴォーナ広場のそば。

ここからは、バス。

計画はあるようだが、ローマには先に書いたように、
地下鉄は二線しかない。三千年の歴史のある街なので、掘りにくいのか。
ただ、予算の都合か。あるいは両方か。
その代り、バスは路線が多い。

幸いテルミニ駅前はバスターミナルがあり
ここからナヴォーナ広場方面へはいけそうである。

ガイドブックで路線を調べて、バスターミナルへ。

きてみると、ガイドブックに書かれていた路線の場所が
わからないので、案内で聞いてみる。(英語)

○○系はどこですか?


OK。お前はどこへ行きたいんだ?

ピアッツア・ナボーナだ。

おお、じゃあ、40か64に乗れ。

え?

○○系じゃないの?と、不審な顔をしていると、
紙に書かれた、こんなものをくれた。


(サンピエトロ、バチカン方面なのであろう。)

なるほど。

まあ、ガイドブックなどあてにならない。
しかし、さすがにローマ。
観光客の対応にとても慣れている。

英語でまったくスムース。
面倒な顔一つせず。
メモ紙まで用意している。
行き届いたもの、で、ある。
(東京の公共交通機関でも、外国人の観光客に
このような対応をしているのだろうか。)

地下鉄・バス共通の1日乗車券を買っていたので、これで乗れる。

バスの場合は車内の印字機で乗った時間などを
印字させる、というルールのよう。

が。これ、そんなことをしている人など
見たところ、皆無。

ん?、と、いうことは、タダ乗りし放題?!。

(ガイドブックによれば、検札があり、見つかると
最大500ユーロの罰金とのこと。
だが、このレストランへの行き帰り二回しか
バスには乗らなかったが、検札はなかった。)



あしたにつづく。





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