断腸亭料理日記2012

もつ煮込み

11月29日(木)夜

なぜであろうか。

やはり寒いせいであろうか。
今日は無性に、もつの煮込みが食べたくなった。

いや、実は、本当のきっかけは、大根。

大根と油揚げの鍋に使った大根が余っており、
それ以前のものもさらに残っていたので、
これを煮込みに入れて使ってしまえるということが
あった。
(もつ煮に大根というのは、あまり聞かないかもしれぬが、
入れているところもなくはない。人参などもよいかもしれぬ。)

もつの煮込み、というのは、やはり冬、たまに作るメニュー、
で、ある。

もともとのレシピは、深川森下の名物居酒屋、山利喜
のものだったと思うが、今となっては
もはや自己流、といった方がよいであろう。

ただ、ポイントは、赤ワインを入れること。
(山利喜は確か、甘いポートワインを入れていた。)

帰り道、毎度お馴染み、近所のハナマサに寄る。

産直、などと書いたチルドのものもあるが、
少し安い冷凍のもの1kg、白モツを購入。

あとは、こんにゃく、木綿豆腐。

帰宅。

まずは、凍っているので、大きな寸胴に湯を沸かし、
袋ごと突っ込んで、解凍。
少し溶けたら、袋から出して、塊のままお湯に入れ
完全に溶かし、湯がく。

一度あけて、水洗い。

大根は厚めの銀杏切り。
残っていたもの一本の半分程度あったが、全部。
こんにゃくは味が染み込みやすいように、手でちぎる。

煮るのは圧力鍋。

このため、豆腐は後回し。
豆腐に圧をかければ、すが入るか、爆発をするか、
で、ある。

もつ、こんにゃく、にんにく3〜4かけらを
包丁でつぶしす。
それから、生姜スライス、4〜5枚。

水、赤ワイン、八丁味噌、西京味噌、
酒、しょうゆ、砂糖、みりんも。

すべて適当、目分量。

それから、ローリエ数枚。
これも山利喜流だったかもしれない。

圧力鍋に入れすぎてはいけないのだが、
限界の線ぎりぎりになってしまった。

ふたをして、加熱、加圧、10分弱。

あとは、火を止めて放置調理。

待っている間に、内儀(かみ)さんにメールを入れて
玉子を買ってくるように、頼む。

山利喜流は、ゆ茹で玉子を入れて、一緒に煮込み、
煮玉子にして煮込みと一緒に出す。
後から入れればよい。

放置、40〜50分後。

圧が下がっているのを確認して、ふたを取る。

大根の量も多かったが、火が通ったら、
多少具材が小さくなってしまった感じ。

ここで味見。

大根から出た水のせいか、ちょっと薄め。
しょうゆを足す。

最初の頃は、煮込みは私もなかなかそれらしい味にならず
苦労をしたもの。

以前に、うまそうに見えるので、レシピ、分量を教えてくれ、
というのを読者の方から頂いたことがある。
こういうお問い合わせはとてもありがたいのだが、
私の場合難しい。

レシピを世の人に伝えることを仕事にしている
料理研究家といわれている人が世の中にいる。
中で、人気の栗原はるみさん。
この人をNHKの『プロフェッショナル・仕事の流儀』で
やっているのを観た。

同じメニューをどんな人でも読めば必ずうまくできるように、
家庭の様々な調理器具に合わせて、なん度もなん度も作りながら
様々に条件を変えて作って、最良のレシピを仕上げる。

すべての料理研究家、と、呼ばれる人がここまでは
おそらくやっていないであろう。
ご経験のある方もあろうが、中には、まったく不親切なレシピも
少なくない。できる人ができない人へ伝える、というのは、
実際には難しいことなのである。ここが栗原さんの人気の秘密、
偉いところだし、ここまでやらなければ、仕事ではないのだろう。

以前に、私も、一度だけ雑誌に池波料理のレシピらしきものを
書いたことがある。まあ、やってやれぬことはないが、
栗原さんのように様々な条件をおもんぱかったものとなると、
まあ、とても、とてもできないこと、で、ある。

私の場合、調理の部分は、まったく料理をしない人を
想定して書いていない。ある程度料理をする人ならば
わかるであろう、という書き方をしている。
つまり、レシピ集を書いているつもりではないのである。

ともあれ。

煮込みの味付けのポイントはとにかく濃いめにすること。
特に甘味。思ったよりもを強くした方が、
居酒屋で食べるような、煮込みらしい味になる。

豆腐も入れる。

あと10分煮込み。

ひとまず、OK。
皿に盛って、ねぎを散らす。


私としては、上出来。
大根も、うまい。

圧力鍋を使えば、1時間もあれば、もつ煮込みも
できてしまう。

内儀(かみ)さんが帰ってきたら、
玉子を茹でて、入れておこう。






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