断腸亭料理日記2014

14年鳥越祭その1 〜煮穴子

6月7日(土)
 
さて。

土曜日。

東京地方は今週梅雨に入ってしまったが、
このウイークエンドは鳥越祭

私の住んでいるのは、元浅草七軒町という。

むろん七軒町というのは 旧町名だがこのあたりはこの旧町が町会の単位になっている。
(七軒町も江戸の頃からある町名で、古くは浅草ではなく下谷
に入っていたようである。)

七軒町会は、鳥越神社の氏子町内にあり鳥越祭に参加する。

我が家は、昼間いないので、完全に幽霊町会員ではあるが
一応のところ町会費を払っており、ここに引越してきて十数年、
毎年祭には参加させていただいている。(私は神輿は担げないが。)

浅草を含めて、このあたりは連休から祭の季節に入り、
入谷神社、三社、などあって梅雨に入る今頃、6月第一週の土日が
我々の鳥越祭。これでお仕舞となる。

鳥越神社自体は我々の住む元浅草よりももっと南で、
蔵前の西というのか、浅草橋の北というのか蔵前橋通り沿い、
町名は文字通り鳥越というところにある。

鳥越神社の氏子範囲は南北に長く、二長町といって、
ほぼ秋葉原のあたりから、蔵前橋通り、春日通り、さらに浅草通りを
渡ったところにまで及ぶ。

浅草神社の三社祭に比べれば全国的に有名ということはないが、
それでも毎年今でも盛大に行われている。

この界隈の祭はほぼ皆同様だが、土曜日に町内会の神輿を担ぎ、
日曜日は本社神輿といって、神社の神輿を全氏子町を引き継いで担ぐ。

鳥越の本社神輿は千貫神輿などと呼ばれ、巨大なのが売りもの。
また、鳥越の夜祭といって、神輿に取り付けた提灯に火を入れて
夜担ぐのも特徴である。

今はそんなことも少なくなったが、この界隈、細い路地が多く、
電線が低かったため、大きな千貫神輿が電線に引っ掛かることがあり、
神輿に付いて電線を竹の棒で上げる係りのお兄ちゃんが
今でもいるのも、鳥越祭のおもしろいところ。

これも毎年のこと、仕舞ってあった神輿の組立やら、神酒所
(みきしょ、町内会の祭本部といったところ)の設営などは金曜日の
朝から行われていた。
 
が、金曜日も雨。
予報では土曜も日曜も雨。
 
まあ、毎年この時期なので、雨のことはなん年かおきにあり、
雨の中を担ぐのも、鳥越祭の風景かもしれない。

土曜日は毎年夕方から、近隣の町会神輿の連合渡御。

さて。

私はというと、昼から雨の中、傘を差して、自転車で床屋
(仲御徒町のQB)へ出る。

町内の神輿を納めてあるテント(御仮屋)。



右は、子供神輿。準備万端だが、ちょいと寒い。

床屋の後、御徒町の吉池へ魚の買い出し。
まあ、結局普通の土曜日である。

買ったのは穴子。
 
これは、祭とはなんの関係もないが、煮穴子にしてみようと考えた。
 
この春頃から、書いていないこともあるが、できるだけ柔らかく
穴子を煮ることに挑んでいる。
 
いや、挑むというほどのこともない。
 
今までは、比較的濃いの煮汁である程度煮えたらお仕舞にしていたのである。
穴子の煮汁は、この後煮詰めて、鮨やでいうところのツメ、
甘いたれにするので、深く考えず、濃いめにしてしまっていたのである。
 
甘いたれを水で薄めて戻した濃い煮汁なので、長く煮ると濃い味がついてしまう。
それで、テキトウに(10分〜15分で)煮るのをやめていたのである。
 
しかし、あらためて気が付いたのだが、江戸前鮨の煮穴子といえば、
とろけるほど柔らかいもの。

やはりこれでなければ、と思うようになり、煮穴子を再度始めたのである。
最初は、薄めにしたつもりだったが、それでもまだ濃く、30〜40分煮たら、
とろけるほどにまではならず、かつ、濃くて食べられないほどになってしまった。

で、今日は。

煮詰めた甘いたれは使わず、水にほんの少しのしょうゆと、砂糖、
それから酒で、圧力鍋を使ってみることにした。

加熱加圧して7〜8分で火を止めて小一時間放置。

ふたを開けて様子をみると、まだ煮足りない。
酒を足し、再度、ふたをして加熱加圧。
2〜3分。もう一度放置し、圧が下がるのを待ってふたを開ける。

よし、OK。
かなりトロトロに近くなった。

煮汁は冷蔵庫のたれをフライパンに移しこれに合わせて、再度煮詰め、
もう一度、甘いたれに戻す。

鮨やでも煮上がったばかりの穴子は一番うまい。
皿にのせて、煮詰まったばかりのたれもかける。

ほかほか。
色は薄い。このくらいの色に煮ている鮨やもあるので、
これもあり、で、あろう。

柔らかさもまあまあ。
これが煮穴子だなぁ。

が、写真では、柔らかさが伝わらない、か、、、。

内儀(かみ)さんは出掛けており、5時(半?)からの町内神輿の連合渡御
には間に合うように帰ってくるといっていた。

煮穴子と吉池で一緒に買ってきた、めかぶにぽんずしょうゆを
かけてつまみ、ビールを呑んで、内儀さんが帰ってくるまで、
いつものように、昼寝。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。


6時、帰ってきた内儀さんに起こされた。

ありゃ、寝すごした。

例年であれば、七軒町の神輿が出るのに合わせて、
町内にある、都立白鴎高校の太鼓部の皆さん(女生徒が多い)が
景気付けに太鼓を叩いてくれて、この音で家を飛び出すのだが、
これは雨のために中止になっていたのであった。

 

つづく。


 



 


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