断腸亭料理日記2015

洋食・日本橋・たいめいけん

2月12日(木)夜

関西出張。

6時半すぎ、東京駅に帰ってきた。

今日はなんだか、日本橋の[たいめいけん]
洋食が食べたくなった。

東京駅から日本橋は歩いてもわずか。

新幹線のホームを先頭までいくと日本橋口。

日本橋口を出て永代通りを右。
呉服橋交差点を渡り、日本橋の交差点も渡り、コレドの脇の路地に入る、
これを真っ直ぐいけば[たいめいけん]到着。

入ると、あれま。
待っている人がある。

6時をすぎると、ここはこういうことがある。

しかし、回転は速めで10分弱で座ることができた。

さて。
なにを食べようか、道々ずっと考えてきた。

いつもはチキンライスとカツレツだったり
メインを一品という頼み方をしていた。

しかし、ここはカツレツなどには必ずライスが付く。
つまり、チキンライスとライスがダブってしまう。
全部食べると、明らかに食べすぎ。

[たいめいけん]というと一般には
オムライス、で、あろう。

私は、チキンライスは大好物なのだが、
オムライスは、さほどでもなく、外で
食べることは、ほぼなかった。
だが、ちょいとした心境の変化で、この頃
自分でオムライスを作るようになった。
(まったく上達せず毎回惨憺たるものだが。)

と、いうことで今日はオムライスに決めた。

席に座り、瓶のエビスビールと、毎度のことだが
名物のコールスローとボルシチを頼む。

コールスローとボルシチはどちらも50円也。

さて。
オムライス。

ここのオムライスはなん種類もあるのだが、
ノーマルな「たんぽぽオムライス」にしてみる。

たんぽぽオムライスは、伊丹十三監督の映画[たんぽぽ]
から生まれて、ここのメニューに定着した、名物メニュー
であろう。

チキンライスの上にオムレツをのせてあり
ナイフで切ると半熟の玉子焼きがチキンライスの
上に広がるという仕掛けのもの。
ご存知の方も多かろう。

先に頼んだ、コールスローとボルシチでビールを呑む。

コールスローは特に変わったものではなく、
キャベツを細かく切ったものをドレッシングで和えたもの。

ボルシチの方は、ボルシチといっているが、
実際には、ミネストローネに近かろう。

じゃがいもや玉ねぎの入ったトマトスープ。
これが50円というのは、やはりこの家の
良心といってよろしかろう。

と、いううちに、きた。



頼むのは初めて。
これが「たんぽぽオムライス」か。
美しいものである。
なめらかなオムレツの表面。
皺一つない。

そして、ナイフで真ん中を
横真一文字に、すぅっと、切る。

うまくいくのであろうか。

ちょっと、ひっかかったので上下に引っ張り上げると
広がった。

ただ、玉子が広がっているようにしか見えぬが、
むろん下に、先ほどのチキンライスがある。

しかし、このスクランブルエッグのような、
クリーミーな半熟加減というのは素晴らしいものである。
これも美しい。

食べると、、。

なんの味であろうか。
バターなのか、なにか他のものも入っているのか。

さすがの味。
滋味深い、といえる境地ではなかろうか。

やはり、食わず嫌いはいけない。

まさに堪えられない味。
スプーンが止まらない。

私自身、そんなわけなので有名店のオムライスを
食べ尽くしているわけではなく、他がどうなのかは
正しく評価はできないのだが、東京洋食の老舗であり
おそらく五指には入る[たいめいけん]の看板として
恥ずかしからぬものであろうし、完成度は高かろう。

それは、味だけではない。
先に書いた通り、美しさも兼ね備えている。
まさにプロの仕事。

今までここで食べた他の料理もさることながら、
私の受けた印象は、おそらくNo.1である。

これから心を入れ替えて、チキンライスから、
オムライス探究者になろうかしら、、?。

いやいや、やっぱり、チキンライスは、池波先生も好物であったし
別物として生涯愛し続けねば、、。

 

 

たいめいけん

 



 


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