断腸亭料理日記2015

おからの煮たの

2月14日(土)第一食

さて。

土曜日。

11日の[弁天山美家古]の後、稲荷寿司を買いに
すぐそばの豆腐店[栃木屋]へ寄った。
この時に、卯の花があったので買っておいた、
のであった。

卯の花、まあ、おから、で、ある。

おからは、目に付くと買ってしまう。

おからの煮たものは、仕出し弁当のようなものの
つけ合わせだったりに、煮たものが入っていたりする。
意外に、好きな食い物といってよいのかもしれない。

なぜ好きなのか。

自分でも理由ははっきりしない。

よくよく考えてみると、味としては、甘辛に煮てあるものが
多いと思うが、飛びっ切りうまいのかといえば、
むろんそんなことはない。

どう煮てもあんなものであろう。

ただ、たくさんは食べられないが、それなりにうまい
というのも事実である。

酒の肴にもなるし、飯のおかずでもよい。

たぶん、安い、というのが好きな理由の大きな部分を
占めているような気がする。

安い割に、うまい。
ここである。

おからはご存知の通り、豆腐を作る時に出る、
大豆のしぼりかす、である。

日本中でおからは毎日たくさん出ているのであろう。
消費者向けに売られてもいるが、それだけではなく、
動物の飼料やらにも使われている。
しかしそれでも、全部はさばけずに、廃棄されている
ものもあるという。

もったいないことではある。
しかし、この手の産業廃棄物は、リサイクルなり再利用なり
むろん考えられぬことはないのであろうが、
それ自体を産業化することにはそれなりに問題点は
少なくないのであろう。
(まずは供給や品質が安定していなければいけなかろうし。)

おからは、酢で味をつけて、酢飯のかわりにしたり、
あるいは埼玉県の行田であったか、コロッケのように
油で揚げたものがご当地B級グルメとして話題になっていた。
こうしたものは、代用品ということである。

私の場合、こういうものは別段食べたいとは
思わぬのだが、やっぱり煮たものは、別である。

おからの煮たものは、代用品ではない。
固有のものとして、うまい。

作る。

おからを煮るのは、意外に簡単ではない。

他になにを入れるのか。
ひじきなんぞを入れたり、あるいはにんじん、
色取りなのか、グリーンピースなんぞが入っていることもある。

私の場合、入れてもさつま揚げの類と、ねぎ。
にんじんなんぞよりもねぎがうまい。

難しいのは味。
味濃く煮るというのがそう簡単ではないのである。

おからを鍋に入れ、水、酒、砂糖、しょうゆ、香り付けに
胡麻油を入れる。

そして、冷蔵庫にあったボールを半分に切って入れる。
おでんに入るボールである。まあ、さつま揚げのかわり。

ねぎはすぐに火が通るので、後から。

さて。

ここからが問題。

味を煮ふくめさせるのであるが、そこそこ汁気がないと
ふくめさせることはできない。

そのために水を足す。
しかしこれは結局、煮ふくめさせながら、煮詰めないと
シャバシャバになってしまう。

意外にむずかしい、いや、面倒なのである。

おからというのは、水分をいくらでも吸い込む。
入れすぎると、煮詰めるのに時間がかかってしまう。
少ないと、味が広がらない。
なかなか適量がわかりずらいのである。

できるだけ少ない量の汁ですませるのがポイント
ということになるのであろう。

かき混ぜやすい量の汁を確保し、鍋の底の方から混ぜながら
水分を飛ばしていく。

よし、なんとか煮詰まった。

五分切りにしたねぎを一本分入れて柔らかくなったら、完成。

盛り付け。


味は濃いめに仕上がった。

おからの煮たもの、など、あまり見栄えがするものではないが、
これがどうして、なかなかやはりその、うまいもの、
なのである。

おそらく、カロリーの摂りすぎの身体にはよいもの
でもあろう。




 


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