断腸亭料理日記2016

やりいか

4月6日(水)夜

水曜日。

今日は暖かい一日。

東京の桜は、開花から寒い日が続いて
長くもったが、そろそろ終わり。

オフィスからの帰り道、山手線を御徒町で降りる。

7時半。

例によって、吉池をのぞこう。

今日はなにがあるかな。

ん!。

生のやりいか。

閉店間際で、一杯100円ほど。

これはよい。

ボイルして甘いたれ。

それから?。

この前も買ったが、鰤の頭も半額。
やっぱり、塩で焼いて食べよう。

なんだか、同じようなものばかり
買っているようではあるが、考えてみれば
これでよいのである。

魚というのは養殖でなければ、自然のもの。

同じような頃ならば同じものが同じところで
よく獲れて、それが安い。

理(ことわり)である。

それをうまく食べる。

無理をして、旬でもない珍しい高額なものを買って
食べることの方が、どうかしているのである。

錦糸町行の都バスに乗って、帰宅。

いかというのは、熱を通すと縮んで
硬くなる。
まあ、基本そうである。
皆さんそう思われていよう。

しかし、やりいかというのは、いかとしては、珍しい。
熱を通しても硬くならない。
稀有な存在である。
私も最近知った。

すみいかでも、するめいかでも、
いかは今、生で食べられる鮮度であれば
刺身で食べるのが常識かもしれぬ。

このやりいかも、刺身、と書いてあった。

江戸前仕事では煮いか、というが、
やりいかをボイルしただけで、酢飯とにぎって、
甘いたれをかけて食べる。

あるいは“印篭(いんろう)”なんといって
小さいものであれば、酢飯を詰めて、
やっぱり甘いたれをかけて食べる。

今、江戸前鮨でいか、といえば、すみいかで
これは生でにぎる。
やりいかボイルの煮いかはあまりやらない
鮨やの方が多いかもしれぬ。

いかを生でにぎるようになったのは
大正以降ということを聞いている。
そうすると、それ以前はすみいかは
どうしていたのか。
わからぬが、にぎりにはしていなかった
のかもしれぬ。

ともあれ。

鰤の頭。
塩をして、焼く。

前回は、ガスのグリルで焼いたが
大きくて、火に近くなり、焦がしてしまった。
今日は、ちょっと時間がかかるが、
レンジのグリル機能で焼こう。

レンジの皿にアルミホイルを敷いて、専用の網に載せて焼く。
レンジの火力は低いので20分くらいはかかろうか。

やりいかをさばく。

下足をはらわたごと引き抜いて
目玉のところで切って、口も取る。

エンペラも取る。皮はむかない。このまま。

そして、きれいに洗う。

OK。

お湯をわかして、入れて色が変われば
よいだろう。
あげて水を切る。

下足もエンペラも一緒に食べてしまおう。

冷蔵庫にあるストックの甘いたれ。
レンジで温めて、たらす。

やりいか。


鰤の頭の塩焼き。


やりいか。

これ、ひょっとすると刺身よりも
うまいのではなかろうか。
鮮度のよいものを茹で立てだからかもしれぬ。

腹も減っているが、バクバクと食べてしまう。

いくらでも食べられる。

鰤の頭。

前回はもう少し小さいものでカマも付いていた。
今回は、大きいからか純粋に頭だけであった。
それでも食べるところは随分とある。
むろん、うまい。

今年は鰤もよく獲れているのであろうか。
この頭も天然のもので、200円ほど。

充実の酒の肴、で、ある。

料理というようなことは、今日はほとんどしていない。

その時近海でたくさん獲れているものは安い。
そして、どうすればうまく食べられるかは、
先人達が積み重ねてきたことを学ぶこと
である。



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