断腸亭料理日記2016

上野・とんかつ・井泉本店

12月19日(月)夜

さて。
ちょっと久しぶりであろうか。
上野のとんかつ[井泉本店]。

なん度も書いているが、上野はとんかつ発祥の地などとも呼ばれ、
今もとんかつやは、老舗、新参取り混ぜてたくさんある。

しかし、なんだかんだいって、私は[井泉]が最も
落ち着けるところのようである。

なにがよいのか。

ご三家[蓬莱屋][ぽん多本家]のなかでは少し安い。

カウンターを含めて、少し広い。

いつも満席というわけではないが、安い分か、
他二軒に比べてにぎわっている、ように見える。

また、同じことが原因か、少し庶民的?。

味は、三軒でそれぞれ個性があって、むろん
どこもそれぞれにうまい。

結局、居心地はここが私には一番よい、
ということで、ここにくることが最も多いようである。

19時半前、御徒町で山手線を降りて[井泉本店]に向かう。

暮れの忘年会シーズンに、外国人観光客が加わって、
ユニクロの前などごった返すようである。

中央通りを渡って、路地を左に入る。
[井泉本店]到着。

暖簾を分けてちょいと覗くと、ここもさすがに
混んでいるよう。
カウンターはほぼ埋まっている。
座れるかしら。

開けて入って、一人、と指を出す。

お。よかった。カウンターの奥があいていた。

カウンターのスツールに掛ける。

すぐに、お姐さんがメニューを置いて、
お茶でいいですか?、とすかさず、聞く。

ここは妙に段取りがよいというのか、なんでも早い。

いや、お酒お燗で、と、頼む。

お通しのいかの塩辛はいりますか?。

いいです。

これも、ここでのお決まりのやり取り。

塩辛は有料なのである。
有料なのに、いかの塩辛と、決められているのは
解せなかろう、というのが頼まない理由である。

注文。
これも既に決めてある。

特ロースと、きゅうりとかにのサラダ。
ご飯と豚汁はなし。
これはいつもの私の注文。

と、カンハツを入れず、お銚子とぐい飲み。

早ゃ、、、。

お燗器、であろう。

案の定、触ると熱っ、、、。

お銚子が持てないほどの、熱燗。
(だから、熱燗はやめてくれ、っていってるじゃないか。
これ、私がよく行くところだけでも、浸透してくれないだろうか。)

だがまあ、ここで燗酒を頼む人は、かなり少なかろう。
その人のために、湯煎のお燗を用意をさせるのは、
酷というものか。

気に入らぬ 風もあろうに 柳かな

ともあれ。
なぜ、私が燗酒を今日、頼んだのか。

寒いから、というのが理由ではあるが、
お気付きの方もあるかもしれぬが、
池波先生を真似てみたのである。

とんかつは先生の大好物であったが、先生は
とんかつでも日本酒であった。

これを機会に果たして、とんかつに合うのかどうか、
試してみようと考えたのである。

黒松白鹿というのは、あまり呑んだ記憶はないが
辛口でなかなかうまい。

きゅうりもきた。

毎度書いているが、これがうまい、のである。
今日は目の前で作っていたが、ボールで下拵えがされたであろう
スライスのきゅうりとかにを、マヨネーズで和えて出てくる。

きゅうりというのは、べら棒に水分が多い野菜だが
どうしているのかわからぬが、かなり水分を抜いて、
他では食べられぬ食感なのである。

あれ!?。
こんなものにも、燗酒は合うぞ。
マヨネーズも控えめというのもあるかもしれぬが、
黒松白鹿というのは、しっかりした酒のよう。

きた、特ロース。


ソースをかける。

お酒、お替り。

ここのかつというのは、お箸で切れる、というのが
キャッチコピーなのだが、衣も特徴がある。
サックサクでかなり軽い。
(ということは、油切れがよい、ということか。)
それで、香ばしい。

このせいか、わからぬが、燗酒でも別段おかしいことはない。

考えてみれば、天ぷらだって日本酒である。
肉の揚げ物でもよいのか。

ソースに合うのか、であるが、やっぱりソースも
くどく感じない。

黒松白鹿、まるで問題なし。

うまかった。

ご馳走様でした。

とんかつに燗酒、○、で、ある。

寒いのに、ビールでなくともよろしかろう。





井泉本店



文京区湯島3-40−3
TEL 03-3834-2901




 


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