断腸亭料理日記2016

駒形どぜう

12月9日(金)夜

今日は、忘年会。

といっても会社や仕事上の集まりではなく、
高校時代のクラブの同期4人。

久しぶりに会う利害関係のない気の置けない
旧友と呑むのはまったくよいもの、で、ある。

場所は私に決めてくれというので、
私の近所で申し訳ないが、駒形[どぜう]にした。
どぜうは本来は夏。
また、私の通っていた都立富士高校は中野区にあって、
皆、今でもあのあたりに住んでおり、
下町らしいところもよろしかろう。

駒形[どぜう]はなんといっても、一階の
入れ込みがよい。
ただし、この入れ込みは予約はできない。
予約ができるのは二階や地下のテーブル席のみ。

私が早めに行って場所を取ることにした。

19時スタートとしたので、18時半頃[どぜう]到着。

と、思ったら1分ほど前に携帯にTELが入り、
一人が今着いた、とのこと。
あれま、早いこと。

私も着いたが、4人揃わないと入れないとのこと。
ただ、今は満席のよう。

と、他の二人もすぐに揃い、また、出る人もあって
結局、ほどなく入れることになった。

四人で桜板の前後に座る。
冬でも葦の簀の子

あらかじめ、どぜうは食べられるかどうかは
聞いておいた。
が、皆、あまり経験はないよう。

やはりここへきたら、柳川でもなく、
裂いてもいない、名物の丸鍋を食べてもらわねば。

四人でも焜炉(コンロ)は一つ。
ちっちゃな鍋を四人でつつくのもよいだろう。

ビールをもらって、丸鍋。

お新香も。

丸鍋、ねぎも山盛りに。


江戸味噌で柔らかく煮てあるので、
温まれば食べられる。


皆にすすめる。

意外に大丈夫のよう。

うまい、と。

よかった、よかった。ひと安心。

また、ねぎがうまい、という者もいう。

そうなのである。

どぜうもさることながら、
割り下で煮たねぎがこの丸鍋の魅力の
大きな部分を占める、のである。

白い東京の長ねぎで吟味はしているのであろうが、
特別な種類ではないと思われる。
それを小口切りに薄く切ったごく普通の薬味用の
ねぎ。しかし、これがいくらでも食べられるし
まさにくせになる味、なのである。
ただ、その代わり、帰りには身体から衣服からねぎの
においに包まれてしまうが。

さて、これも、もらおうか。

鯉洗い。

やっぱりこれも夏のものだが、
私の好物。
夏でも冬でも、いつもここには置いている。
きたらやっぱり食べたいもの。

蒲焼。

四人なのでこんなものも食べよう。
たれの味はうなぎのかば焼きと同じだが
蒸しているようなことはないのであろう、
歯応えがある。

皆も食べるので、丸鍋をお替り。

酒にする。

枡酒(ますざけ)。たれ口。

浪の花です、と、お兄さんが塩も持ってくる。
枡の角に浪の花をのせて、呑む。

私はこれを呑むのは初めてである。

ちょっと甘口。

銘は「ふり袖」という。
この店のオリジナルかと思ったら、伏見の
「富翁」のブランドのよう。
たれ口というのは、その生原酒とのこと。

「なまず鍋始め申し候」の貼り紙が店頭にも
中の壁にもある。
冬のこの店の名物、で、ある。

珍しいのでもらってみようか。

なまず鍋というのもいろいろあって
ここのものは、完全に甘辛く煮付けたもの。
焼き豆腐もうまい。
浅草のもう一軒の老舗どぜうや[飯田屋]にもある。

[飯田屋]はなまずの顔がわかるものをコンロで生から煮るので、
見慣れないと少しぐろいが、なまず本来の
コラーゲン質の身を味わえる。

さてさて。

食った食った、呑んだ呑んだ。

勘定は4人割り勘で、4000円ちょい。

やはり4人くらいだと、いろいろ食えるし、
割安であろう。

よい忘年会であったろうか。

また、来年、会いましょう。




駒形どぜう

台東区駒形1-7-12
TEL.03-3842-4001



 



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