断腸亭料理日記2016

人形町・洋食・小春軒

5月25日(水)夜

バタヤキ、で、ある。

洋食やのバタヤキが食べたくなった。

バタヤキというとどちらかといえば、魚介類である。
肉でバタヤキという言い方はあまりしない。

思い浮かぶのは御徒町の[ぽん多本家]
ここは、あわび、はまぐり。
(あわびは時価で目が飛び出るほどなので、食べたことはないが。)

もう一軒人形町の[小春軒]

ここは、カジキ。

他にもバタヤキがあるところはあるのだろうか。
東京の洋食やでも、必ずメニューにある、というものでもない。

バタヤキ、といっているが、むろん、バター焼きであるのだが、
このバタヤキという響きがよいではないか。

そして、うまい。

作り方とすれば、小麦粉をふってバターで焼く
ムニエルなのかもしれぬが[ぽん多本家]にしても
[小春軒]にしても、バターの風味に加え、
ほのかにしょうゆの味がする。

これが懐かしくも上質な味わい、なのである。

さて。

人形町[小春軒]。

いつも昼飯ばかりで、夜、きたことはなかった。
調べてみると8時まで。

オフィスのある五反田から都営浅草線に乗って、
人形町までくる。

地上にあがって人形町交差点。
人形町通りを甘酒横丁方向に歩き、甘酒横丁の信号を
右に入る。
[玉ひで]の先、右側。

白い暖簾が出ている。

硝子戸を開けて入る。

明るい店内。
やはり昼中心なのであろう、出入口付近に女性客一人。

奥、右側のテーブルに年配の男性二人が
差し向かいで呑んでいる。

私は奥のレジの前に立っているおかみさんに、
一人といって、そのおかみさんの前の、
左奥のテーブルに座る。

どっこいしょ。
よし、やっぱりビールだ。

それから、っと。

メニューをみてみる。
バタヤキというのは、ここにはカジキ以外に、
実はもう一つある。

なにかというと、鮭。
鮭のバタヤキ。
鮭もわるくはないが、家でも食べられそうである。

やっぱり、カジキでいこう。
それから、お昼同様に、一個付き。
一個付けるのは、コロッケ。
この組み合わせは黄金である。

おかみさんが、いつものように、カジバタ、イッコツキ、
と、カウンターの中へ声をかける。

カジキバタヤキで、カジバタ。

ビールはキリンラガーの大瓶。
なぜか中瓶がなく、小瓶と大瓶。

一杯は、一気に呑む。
やっぱり、うまい。

のんびり、待っていると、そう長いこともなく、きた。


カジバタがあって、その上に、イッコツキのコロッケ。

それから右に二つある小さなものは、揚げ物。

細長いのが白身魚。
たらか。
(もう一つは、、、小さなメンチカツであったか、、、忘れてしまった。)

揚げ物にソースをかけ、
ビールを呑みながら、食べ始める。

まずはコロッケ。
毎度書いているが、このねっとり感は
特筆すべきものである。

そして、満を持して、カジバタにかかる。

バターの香りとしょうゆ。

いつもの通り絶妙にうまい。

から揚げではないのだが、まぶされた小麦粉の表面は
かなりしっかりとしている。
高温なのか、油分が多いのか。

しかし、しょうゆ味はいつ付けているのであろうか。

フライパンにしょうゆを入れると、小麦粉がふやけて
このようなカラッとした表面にはならないように思うのである。

先にカジキ自体に下味としてつけているのであろうか。

う〜ん、今度試してみよう。

食べているうちに、閉店時刻も近づいてきた。

脇のテーブルで呑んでいた年配の男性二人の片割れは
白い上っ張りを着た、おかみさんに燗酒を頼んだりして、
なんおことはない、いいご機嫌のここのご主人であった。
もう一人は、おそらくこの界隈の仲のよいの旦那。

おかみさんがもう最後だからと、
皿に、ポテトサラダを足してくれた。

ビールを呑み終わり、
ご飯とみそ汁ももらって、平らげる。
かなりの腹一杯。

お勘定、2,000円ほど。

ご馳走様でした。

今日もおいしゅうございました。






中央区日本橋人形町1-7-9
03-3661-8830




断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 |




BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2016