断腸亭料理日記2016

松が谷・ふぐ・牧野

10月30日(日)夜

日曜、夜。

内儀(かみ)さんがふぐが食いたいというので、
ご近所松が谷の[牧野]に行くことに。

毛蟹鍋というのがここの最近の人気メニュー。
(白味噌バターのつゆ。かなりうまいが、
毛蟹に大根が入り二人だととても食べきれない量である。)

なかなか予約も取りずらい。

だがまだシーズンも始まったばかり。
予約も18時にOK。

今日は一日、一歩も家を出なかったが、かなり寒かった。
この寒暖差はなんであろうか。
こんなものであったか。

15分前にセーターにコートを着て出る。

拙亭前の左衛門橋通りを真っ直ぐ北上。
浅草通りも越えて、合羽橋本通りを右折した左側。

入って名前を言う。

空いていないので部屋料はいらないから、個室にといわれたが
カウンターになった。

ここはカウンター、小上がり、個室とあるが、
カウンターが人気なのであろう。

ふぐ刺しだけは電話で先に聞かれていた。

鍋とから揚げを頼む。

カウンターの向こうは調理場。
坊主頭で小柄、背中の曲がったかなり高齢と思われるご主人と
もう一人、40代格好の息子さんか婿さんか。
女性はみんな着物姿。
女将さんもかなりの年配に見えるが、垢抜けした感じ。
このご主人と女将さん、どちらにしても只者ではない雰囲気を
漂わせている。

この時刻はふぐの下拵えはすべて終えてあるようで、
切り分けられた身を鍋に入れたり、から揚げを揚げたり。
刺身もすべて切った後なのであろう。

ふぐ刺し。

お通しとのセット。

お通しはいつもそうだったと思うが、松前漬け。

ふぐ刺し。
ふぐといえば、刺身にとどめを刺す、のであろう。
むろん、値段も安くはない。

白身とすれば、鯛、平目などの鮨やの定番とはまた
別格の地位をしめているのであろう。

白状をすると白身というのは正直のところちゃんと
わかるかといえば、多分に怪しい。
光物だったり、まぐろなど、うまいまずいわかりやすい。

例えば、同じ切り方をしたものを、目をつぶって
食べされられたら、鯛も平目も鰈もふぐも、おそらく
私にはわからないであろう。
むろん平目も鯛も、ふぐもなん回も食べているが、
わからないと思うのだから、きっと一生わからないの
かもしれない。
こういう高級なものを子供の頃から食べていたような
人でなければ、わからないのか、、。
だがまあ、ふぐやにきて、刺身を頼まないのもへんであろう。
そんな存在であろうか。

から揚げ。

これは文句なく、うまい。
和食のから揚げというよりは、衣にも味が付いていて、
洋風といってもよいかもしれぬ。
プリプリの身が堪えられない。

寒いのでビールから早々に、お酒。
ふぐやのもう一つの愉しみが、これ。

ひれ酒。

ふたをして、マッチも一緒に出される。

マッチをすって、ふたを開け、点火する。
日本酒のアルコール度は低いので、そう華々しく
火が付くわけではないが、お約束。

ひれ酒は、もう文句なく、うまい。
香りもさることながら、だしが出ているのであろう。
ここの酒は白鶴、白雪?、どちらであったか、、
忘れたが、特に濃厚なひれ酒、で、ある。

鍋。

ねぎと白菜と春菊、豆腐。
身の方は、骨つきのもの。

今日、初めてではなかろうか。
しみじみとうまいものであると、感じられた。
ここまでくるまで時間がかかってるような気もするが、
やはりうまい。

ひれ酒もお替り。

ふぐの鍋というのは、身の旨みと食感であろう。
これが抜群、で、ある。

鍋を片付けて、仕上げ。
ここはおじやではなく、雑炊といっている。
(煮込まない、というような意味合いのよう。)

親爺さんが、普通は白子を入れるんだけど、まだというので、
自家製のいくらをたっぷり入れてくれた。

これがまずかろうはずがない。

とても贅沢な感じ。

うまかった、うまかった。
腹も一杯。

よい感じで酔っ払った。

勘定は二人で、20,000円。
ふぐやとすれば、特別ではなかろう。
いや、リーズナブルかもしれぬ。

そして、居心地のよい店。

ちょくちょく来たいが、そうそうふぐでもないしなぁ。

 


台東区松が谷3−8−1
03−3844−6659

 



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