断腸亭料理日記2017

浅草・レストラン大宮 その1

浅草伝法院通り風景

12月24日(日)夜

クリスマスイブ。

とはいっても、拙亭は子供もなく、
特段のことのない普通の日曜日。

今年は、毎年恒例にしていた箱根塔ノ沢の[福住楼]への
二泊三日の年賀状書きも、仕事を休めず中止。

あわただしいただの年の瀬。

とまあ、そんなことなのだが、なにを食おうか考えて、
先般からのステーキ探求のこともあり、洋食や、
浅草の[大宮]へ行くことにした。
幸い、当日TELをしても席は取れた。

5時半。

タクシーでワンメーターちょい。

[大宮]の場所は伝法院通りの馬道側。

浅草の地理に不案内の方のために説明をしてみようか。
まずは、浅草の中心、浅草寺は真っすぐ南に向いている。
また、浅草以南は、江戸の頃から基本的に碁盤の目に
通りが通っており、わかりやすいはずである。
浅草寺を中心に浅草をみると、南は雷門通り、
北は言問通り、西は国際通り、東が馬道通り。
この4本の大きな通りに囲まれている。
まあ、この4本の通りの内側が、浅草でも
最も繁華なところといってよろしかろう。
(古い言い方をすれば、この範囲がほぼ浅草公園である。)

この4本の他には、浅草寺の表参道であるご存知の
仲見世通り。この仲見世のちょうど中ほどあたりで
直角に交わっているアケード商店街が新仲見世。
また、仲見世の先、雷門を抜けた南は藪そばのある
並木通りとなっている。

そして、浅草寺の本坊である伝法院の南側に接し
新仲見世と並行して、つまり仲見世を突っ切って、横に
通っている通りが、伝法院通りということになる。
東西の通りの中では新仲見世の次に
繁華な通りということになろう。

この伝法院通りは馬道を越えると、東武浅草駅の
北口になる。
ちなみに『伝法院』は標準語では“ポ”にアクセントがくるが
“デ”にアクセントを置くのが浅草地元発音である。

[大宮]はこの伝法院通り沿いで仲見世よりは東。
従って馬道通りを伝法院通りの角でタクシーを降りる、
ということになる。

伝法院通りはこのあたりから、西側の六区まで、店舗は
テーマパークのようなちょっと昔風の装飾になっている。
(今はどうであったか、夜にシャッターを閉めた後も
店舗をライトアップしていたりもしていた。)

伝法院通りもいつも相当数の観光客でにぎわっている。
ちょうど、馬道通りの角から仲見世まで、
歌舞伎「白波五人男」の人形が壁など店舗にあしらわれている。
彼らは泥棒なので家に忍び込んでいる雰囲気を出しているのである。

タクシーから降りると、人通り多い中でちょうど人力車がおり
車夫の兄んちゃんが、お客にこの白波五人男の
人形のことを説明している。
「歌舞伎のキャラクターで白波五人男というのが
あるんですが、ここに5人あります。見つけられますか?」。

まあ、よいのだが、、どうも人力車の兄んちゃん達が
したり顔で、またはおもしろおかしく、お客に説明しているのを
見かけ、内容が耳に入ると、引っかかることが多い。

これ“キャラクター”はないであろう。
せめて、芝居なので“役”であろう。そもそも日本語として
意味も適切ではない。
兄んちゃん、おそらく白波五人男を観たこともないであろう。
どうせ説明は台本を暗記して喋っているのであろうが、
浅草を案内するのであれば、歌舞伎「白波五人男」の
ぐらい理解しておけ、といいたくなる。
ワンピースやドラゴンボールのように長編マンガやアニメの
ようなものだと思ってもいるのか。
歌舞伎というのは長い続き物ではない、弁天小僧菊之輔は
この白波五人男という芝居にしか出てこないのである。
こういう場合は言葉としてキャラクターは適切ではない。
例えば落語であればキャラクターでよい。
どの噺にも熊さん、大家さん、与太郎は出てきて、
年恰好、性格、などだいたいの“キャラクター”は同じ。

閑話休題。
[大宮]に着かないとおこられてしまう。

一本目の路地の右角。入り口は路地の側。

ドアを開けて、名乗る。
なん名様ですか?、と、予約なしでも入るお客がいるような対応。
外に椅子も並んでいるので観光客もくるのであろう。
名乗ると、二階とのことで、急な階段を上がる。
今、この店は新丸ビルだかにも店もあって、
有名人の大宮シェフはそちらにいることの方が多いようである。
一階は細長く、カウンターのみ。

二階にあがる。二階も広くないが、予約席の札のあるテーブルに
案内される。我々は予約時に決めているがメニューが出て、
飲み物は?。
また、一杯ずつスパークリングワインをもらおうか。

前菜は選べるよう。

おねえさんがホワイトボードを持ってきて、すすめる。
豚のテリーヌと牡蠣のエスカルゴ風を頼む。

テリーヌ。

ソースはマヨネーズにホースラディッシュを
合わせたような感じのもの。
テリーヌの味は、まあ、一般的なものだが、うまい。

牡蠣。

おねえさんがすすめてくれたが、これはかなり、うまい。
オーブン焼きなのだが、ちょうどエスカルゴのように
パセリをまぶしたガーリックバターで焼いてある。

なるほど。

エスカルゴのガーリックバターはフレンチでは
超定番であるが、牡蠣にもかなり合う。
しめじであろうか、きのこも入っている。
これ、うちでも真似できそうである。

次は、
コースとは別だが500円だかで付けられるというので
頼んだ、カップのスープ。

これはクラムチャウダー。






つづく





レストラン大宮




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