断腸亭料理日記2017

おでん、のようなもの

10月30日(月)夜

晴れて天気はよかったのだが、
風が強かった。

聞けば、なんと東京地方は木枯らし一号だったとのこと。
例年よりも10日早いらしい。
(10日くらいなら、そこまで驚くこともないか。)

オフィスを出ると、寒い。

これはもう、あれ。
おでん、で、ある。

どこかおでんやに寄ろうかとも思った。
私が寄るとすると、銀座、日本橋にある[お多幸]か
池之端の[多古久]。
だが、こんな日は混んでいそう。
そして、本来おでんやなど一人でも入りやすいはずだが、
なぜだかこのあたりは、ちょいと構えてしまう。

ならば、作ろう。

気合を入れて材料をそろえると、毎度、大量にできてしまって、
後がたいへん。

種を絞ればよいか。

御徒町の吉池の地下で探索。

ここはおでん種もやはり充実している、というのか、
ちょっと不思議なものがある。

まずは、がんも。
これは、練り物ではなく豆腐系で変わったものではないが、
私は必須。がんもだけしょうゆで煮てもよいくらい。

それから、東京名物すじ。もちろん練り物の。

あとは、、、。
静岡名物、黒はんぺん。さすが、吉池、こんなものもある。

黒はんぺんがあるとすると、当然じゃこ天もある。
じゃこ天は、四国から九州のもの。

黒はんぺんも、じゃこ天も、どちらも青魚の平たい練り物。
じゃこ天は、天というだけあって、平たい上に揚げたもの。

つみれは好物だが、やめて、この2つ、どちらも
入れてしまおう。食べ比べ。

あとは、ちくわぶあたりか。

以上。

帰宅し、作る。

のだが、今日は火鉢に火を入れて、
鉄瓶で燗酒は必須であろう。

炭を熾す。
鉄瓶の用意も同時進行。

おでんの方。

ちくわぶだけは、下ゆでが必要なので、短時間だが、
圧力鍋を使う。

斜めに切って、水を入れた圧力鍋に入れ、ふたをして点火。

すじとちくわは切る。
それ以外は全部煮込み鍋に入れる。

酒、しょうゆ、水。

むろん、しょうゆの立った濃い味。

毎度書いているが、これが正調東京おでん。

濃い味にすれば、あたりまえだが、早く味が付く。

むろん、今の世の中この東京も、出汁で煮る関西風のおでんが
花盛りで、この濃いしょうゆのおでんなど、若い人は
東京で生まれても悲しい哉、誰も知らない。

だが、私にはこれがおでん。

火鉢の方。
熾した炭を火鉢にいけて、ガスである程度まで温めた鉄瓶をかけ、
一合のお銚子を突っ込む。

酒はもちろん、菊正宗。
しょうゆ味の正調東京おでんには、菊正宗以外にはない。

おでんの方は、味がついたものを皿に取ってくる。

平たいもの、下がじゃこ天、上が黒はんぺん。
奥が、すじ。

じゃこ天と、黒はんぺん。

まあ、片や揚げたもので違うのは違うのだが、
大幅には違わない。

どちらも、うまい。

そして、この、盃(さかずき)。

真っ白ではなく、ちょっとこんな柄が入っている。

実はこれ、真偽のほどさだけではないので
骨董というほどのことはない、古道具。

欠けているところもあるが、そこがよい。

まあ、私自身、骨董に凝るつもりはさらさらないが、
こういうものを実用として使いたい。
酒器の類は、最近の新しい、いかにもデザインされたものは
まったく興味はない。
民芸も好まない。

となると、真っ白の居酒屋にありそうなものと、
今は決めている。
そして、今のものが手に入り使っている。

もう一皿。

がんもも味が付いた。
ちくわもOK。

がんもも、うまいな〜。

燗酒で、温まった。

こういうものでちょいと酒が呑めれば、
私は幸せ、で、ある。

 


    

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