断腸亭料理日記2018

歌舞伎町・中国料理・

上海小吃 その2

ちょっとしたトラブルで一日配信が開いてしまったが
引き続き、歌舞伎町の[上海小吃]。

もう一度、ここの名物の揚げパン。

これ、読んでくれた友人が教えてくれた。
正式には、中国語読みがわからぬが、銀糸巻というらしい。

前回は書かなかったが、これ、ちょっとおもしろい。
皮の中のパンが紐状になっているということ。
作り方を調べると、紐部分は別に作り編むようにしてまとめ
パンの形にし、あとから別の生地の皮で包むという。
かなり手間のかかったものである。
冷凍もあるよう。
台湾でよく食べられているものらしいが、
もとは北京生まれのよう。

この店のものは揚げているが、蒸しパンの方が
多いようである。

さて、さて。

蛤の甘辛炒めの味のことであった。

結論からいうと、誤解を恐れずに書くがこの味、
化学調味料ではないか、と思い当たったのである。

(もし、そうでなければ、お詫びを最初に申し上げておく。
また、断じてわるい意味で書いていないこともご理解いただきたい。)

なぜそう思ったか。

過去に食べた味と書いたが、それは、カップ麺。
どこのなにかは覚えていないのだが、確かに、こんな味の
カップ麺のスープがあったように思うのである。

しょうゆ、紹興酒、にんにく、砂糖も入るのか、
これに蛤からの出汁もあり、ねぎの風味が加わり、
ベースに味の素?!。

ただ、それらの組み合わせ方がかなり上手なのでは
ないか、ということ。
様々な調味料が入った上で、化学調味料が入り、
かなり複雑な味になっているということ。
それも、鼻薬(はなぐすり)程度ではなく、しっかりと入っている
のではなかろうか。

味の素使いが天才的、そんな風にも思えてくる
味のまとまり方に感じるのである。
これだけしっかりと味としてまとまっていると、
皆、それと気付かぬ、ということがあるのかもしれない。

日本では、加工食品は別にして、料理人はさすがに
味の素使いの達人になろうという者はあまりあるまいが、
しこたま入れるのが贅沢でおもてなしの中国では、
こういう発達の仕方があってもなんら不思議はない。

なるほど。
(くどいようだが、間違っていたら、お詫びする。)

次、どんどんいこう。

海老の炒め物。

これは塩味だが、やっぱり入っていそう。

空心菜の炒め物。

これはどうか、わからぬ。

搾菜のスープ。

これは、入っている。
味がシンプルなのでわかりやすいかもしれぬ。

炒飯。

店長のお姐さんのおすすめのものである。
海老の炒飯といっていたが、なんであろうか。
確かに海老の風味はするのだが、海老の姿は見えない。

なんらかの方法で風味を付けているのであろう。
これは、おすすめだけあって、なるほど、うまい。

麻婆豆腐。

これは、間違いなく、入っている。(と、思う。)
やはり上海系の料理人の方なのか、麻婆の麻辣味には
不得意なのか。そこそこ辛めだが、花椒も入っおらず、
上海料理らしいしょうゆの甘辛にラー油が入っているという感じで
あろうか。

これで終了。

素直に、おいしかった。

ご馳走様でした。

ビールは青島とスーパードライ。
揚げパン(銀糸巻)はおかわりをした。
会計は一人、5,000円ほど。
特別安くもないが、まあこんなものか。

しかし、この店、いろいろな意味で、
驚かされた。

まずは、店の雰囲気。NHKの「世界入りにくい居酒屋」
まさにあんな感じ。
おそらく店長のお姐さんにとどめを刺すのであろう。
怒鳴っているような中国語が飛び交うが、
ニコニコしたお姐さんがうまい具合にまとめてくれている。
居心地のよい店。

そして、あの揚げパンこと、銀糸巻。
あれは、かなりうまい。
わたしはほぼ初めて食べたと思うが、
これだけでも大収穫。

老舗ではない中国人経営の中華店では、
化学調味料を使っていないところを探す方が
たいへんではあろう。
そういう意味では、別段珍しくはない。

ただ、その使い方が、特に蛤の甘辛炒めでは
かなり成功しているということ。
(まあ、他の料理でももう少しがんばっても
よいか、とも思えてくるが。)

ただやはり、ここまできれいな味に仕上げてもらえれば
A級ではないかもしれぬが、B級として?、あり。
目から鱗、なんら文句は出ないということ。

もはやこれは食文化といってもよいのでは、とも思えてくる。
グルタミン酸ナトリウムは明治42年に我国で
池田菊苗博士が発見、製法を開発し、味の素が生まれた。
それから100年あまり、こういう発展の仕方をしているのも
とてもおもしろい。

くどい様だがあくまで私個人の考えであり、感想である。
誤りであれば、すぐに訂正する。
だが、皆様も是非、訪れてほしいと、心から思う。
化学調味料を入れることは日本ではマイナスなことと
理解されていることに、疑問符を投げかけている
といってよろしかろう。





03-3232-5909
新宿区歌舞伎町1-3-10




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