断腸亭料理日記2018

いわし その1

5月26日(土)

さて、土曜日。

よい天気。

今週末、私の住む台東区元浅草の界隈では「モノマチ」
というイベントが開かれている。

毎年一回開かれており、今年でもう10回目だそうである。

これ、なにかというと、台東区の南部、御徒町から蔵前、
カチクラ(徒蔵)エリアというらしい、が古くから、
モノづくりの地域で今も、様々な工房、卸が点在している。
そうしたお店や工房がセールをしたり、ワークショップを
開いたりする、イベント。

池波先生は私の住んでいる元浅草(旧永住町)のお祖父様の
家で育たれたがそのお祖父様は、錺(かざり)ものの職人であった。

錺ものというのは、金属を加工した文字通り錺(かざり)のこと。
簪(かんざし)あるいは、建具だったり、お神輿の飾り、
そういった類の金属加工である。
これ以外にも、江戸指物(さしもの)といった木工、
あるいは皮革関係。
戦後は金属加工をベースに指輪、アクセサリーなど宝飾関係に
携わるところも多く生まれてきた。

こういった地場産業に加えて、台東区は事業として
モノづくりに携わりたい若い人々をバックアップしている。
その拠点が、拙亭にも近い元小島小学校で「台東デザイナーズ
ビレッジ」。

このイベントが10年目というのは、驚きではある。

私自身は口ばかりで、不器用。自分の手でモノを作るということは
できないので、直接の接点はないが、年々盛り上がって、
訪れる人も増えているように見えるのは、陰ながらよろこばしく
感じている。
また、この界隈、お洒落なカフェ、セレクトショップのようなところも
増えてきている。

観音様を中心とした一大観光地の浅草の隣にあって、
ちょっと違う、落ち着いたセンスのある街に脱皮しつつある
ようにも感じる。
お洒落なシタマチ、カチクラ?!。

なんにしても、人が集まる、流れるということは
街にとってよいことは間違いない。
声援を送りたい。
皆様も、モノづくりにご興味のある方、是非、のぞいて
いただければと思う。

さてさて。
それはそれとして、私はといえば、相も変わらぬ
ウイークエンド。

御徒町の床や(QB)に自転車で出たついでに、
毎度お馴染み、アメ横の魚やに寄る。

今日は、目当てがあった。
なにかというと、いわし。

書いたように、スーパーで買って、立ち喰い鮨で食べ、
うまかった、あれ。
おそらく、今であれば、はずさなかろうと。

きてみると、やはり、ある。

いわし。

一盛、おきまりの500円。
どのくらいあるのか、10匹以上はあるだろう。

買って、帰宅。

なににするか、ずっと考えていたのだが、
刺身、ではなく、にぎりの鮨。

比べると、にぎりの鮨の方がうまかったから?。

脂が一定以上あると、刺身としてそれだけを食べるよりも
握った方がうまい、ということがあるのか。
よくわからぬが、直感的にそう思ったのである。

米を研いで、少し浸水し、電気炊飯器のカタメモードで
スイッチを入れる。

とりあえず、三匹。

切れるのを待って、さばく。

三枚。

さらに、にぎり一つ分、半身を半分に、
斜めに切っておく。

すし酢も用意。
一合分で、25cc。

気持みりんと塩を入れる。

飯台には水を一度張って、置いておいた。

炊飯器が切れてから、蒸らし時間10分。

飯台の水分はよくふき取って
炊飯器から一合分を取る。

25ccのすし酢をまわし掛け、
杓文字でよく合わせる。

いつもこの作業は緊張する。
よい酢飯ができるかどうか、これ次第、で、ある。

手早く、手早く、混ぜなくてはならない。
混ざったら、深追いはせずに飯台に広げておく。

ここからも、さらに10分。
この10分も大切。

酢の水分を飛ばし、飯粒の表面を落ち着かせる。

ただ、完全に冷ましてはいけない。
人肌、などともいうようだが、温かい状態でにぎる。
これが昔からの江戸前のやり方。

これはなぜか。

実のところ、完全に冷めた酢飯をにぎったことはない
のでよくわからない。

冷たい酢飯ではにぎりずらいのではないのか、
と思われる。



つづく








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