断腸亭料理日記2019

白菜の湯豆腐

12月5日(木)第二食

冷蔵庫に豆腐があった。

食べてしまわねば、というのが、そもそもの始まり。

あんかけ豆腐?。

寒いし、湯豆腐がよろしかろう。

湯豆腐。
湯豆腐というのは、基本、豆腐だけ。
地域にもよろうが、皆さんそうなのではなかろうか。

せいぜい、昆布を入れるくらい。
あとは薬味程度、しょうゆをかける。

まあ、他のものが入ると、それは湯豆腐ではなく、
別の鍋になるということか。

お、そうである。
同じく白菜も、食べてしまわなければいけない状態であった。

白菜というものは、なかなか食べ切れない。
他の鍋のために買ったのだが、塩もみし漬物にしてみるくらいで、
なかなか減らない。

湯豆腐に白菜を入れてみるか。
白菜は「ガッテン!」でもやっていた。

あんかけ豆腐が先に思い浮かんだというのもあるのだが、
小鍋に、水を張り、まず乾燥のスライス椎茸。
私のあんかけ豆腐はこれで出汁を取り、またそのまま
椎茸は具にする。

しばらく煮立てて、
あ、せっかくだから、鰹削り節も入れるか。
これも食べてもいいか。

どうせなら、昆布も?
いや、椎茸と鰹削り節、二種類を入れれば十分であろう。

出汁の組み合わせというのは、動物系と植物系を
組み合わせるというのが和食のセオリーと
聞いたことがある。具が魚ならば、出汁は昆布。
野菜の煮物なら、鰹節といった具合。

椎茸と鰹節で、植物系+動物系でバランスは取れている
といってよいのではなかろうか。

豆腐と白菜も切る。

「ガッテン!」で詳しくやっていたが、根本の白い部分は
斜めに切る、という。これをしてみる。

今日は、火鉢。
煮炊きするので、いつもよりも炭を一つ二つ多くし、
火を強くする。

豆腐と白菜の白い部分も入れて火鉢の五徳にかける。


さて。
今日のポイントは、やっぱり白菜。

番組をご覧になった方もあるかもしれない。

「ガッテン!」の料理、食材もの、というのは、
ビミョウな場合があるように思っている。
料理人が関わっていない場合なのであろうか、
サイエンティフィックには、正しいのかもしれぬが、
今までの料理法の方がうまいのでは、と思うことが
まま、ある。よく試すのだが。
検証が足りていないのか?。

だが、今回のものは、中国料理の宮廷料理にもなった
という白菜の出汁。これは説得力があった。

白菜以外でもそうなのだが、ロールキャベツのキャベツなど
アブラナ科をクタクタに煮込んだものは、うまい、というのは、
皆様ある程度ご知見があるだろう。

中でも白菜は特に、根本に近い白い堅い部分を煮込んだものから
旨味、あまみ(?)が最も出るという。

アブラナ科が花を咲かすのは、ご存知の通り、春。菜の花である。
大根も白菜も小松菜もキャベツも、皆、そのまま置いておくと
春には菜の花を咲かせる。
この、花を咲かせるために、糖分(であったか)を
蓄えているというのである。
中でも白菜は白い部分にたっぷり蓄えていると。

これは科学的に説得力があるように聞こえる。

また、実際に料理人も使っているものであること。
科学的なことも大事なのだが、うまいものを作ることに
なん年もなん年もかけて、経験に裏打ちされたものである
ということは、大いに説得力がある。

白い部分は30分煮込む。あの透明な状態まで。

今回の湯豆腐。
椎茸も鰹も使っているのでただでさえ、かなり濃厚。
そこに白菜の出汁が加わっている。

火鉢であるが、30分以上は一緒に煮込んだ。
豆腐にもこの出汁のあまみ、旨味が染み込み、ほんの少しの
しょうゆをたらすだけで、格別。

つゆだけでも、もちろん、ばかうま。

私の通常の湯豆腐は昆布一切れ程度でほんとになにも
入れないもの。

いつも豆腐にはしょうゆを色が付く程度かける。
削り節もなしで、しょうゆだけ。
豆腐の味、品質にもよるのではあるが、ここまで
しないとうまいとは感じなかったのが、
正直のところ。

白菜の白い部分の威力。
私自身ももっと検証をしてみなければいけない。

例えば、白菜のうまい喰い方というと、
あんかけ焼きそばというのが、思い浮かぶのである。
湯通しなどするか、炒めて半透明になった白菜。あれも、うまい。
30分煮込んでいるわけではないのだが。

ともあれ。

白菜。
ある程度は経験的にわかっていたが、自覚的に料理をしてみる。
見直さねば。
こんなうまいものであった、ということ。

 

 

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