断腸亭料理日記2019

南千住・うなぎ・尾花

10月19日(土)第二食

今日は、うなぎ。

南千住の[尾花]。

きっかけは、今度始まるTBS系のドラマに木村拓哉氏が
フレンチレストランのシェフ役で出演するが、その役名を
ご存知であろうか。

そう、尾花。

まあ、そんな他愛のないことなのではある。

ただ、個人的には、秋というのはうなぎが食べたくなる季節。

養殖ではあまり関係はないかもしれぬが、冬を前にして
うなぎは脂をため込む。
本来、うなぎの旬は夏の土用ではなく冬前、なのである。

ともあれ、そんなことを考えるようになり、
今頃から、11月一杯くらい、日の短くなった時分のうなぎやに
入るのが好きで、習慣になっている。

夕方は4時からなので、これを目がけてタクシーで出る。

着いたのは、4時10分頃。

紺の暖簾と、お稲荷さん。よい姿である。

が、もう中は一杯でさらに10人ちょいの待ち。

あー、これは、開店待ちで並んだ人でこの状態で
あったのであろう。

一回転で1時間はかかるであろう。

いたしかたない。
気長に待とう。

待っている間に、うなぎの注文を聞いてくれるので、
まあ多少は短縮はされるであろうが。

結局、予想通り、1時間待って、呼ばれで店の中へ。

以前は座敷に座布団、お膳。

昨年から畳の上だが、テーブル&椅子席になり
収容人数が減り1/3程度にはなったのではなかろうか。

もともとここは注文から料理を始める、という東京の
うなぎやの昔からのやり方で、小一時間待つという
スタイルであった。
中の広い入れ込みの座敷で、呑みながら座って待っていたわけだが、
この時間がよく、この日記で「尾花の時間」などと書いた。

やはり外で待つのはイマイチであることは
間違いない。

椅子に掛け、うなぎの注文の確認と追加。
ビールと鯉の洗い、うな重は肝吸い付き。

ビールはキリン。

鯉の洗い。

鯉の洗いが品書きにあるところでは、どうしても
頼まずにはいられない。
ここと[駒形どぜう]。

鯉の洗いは、氷の上にのせて出したりする、元来は、夏のもの。
江戸の昔、向島の料理やが生け簀に鯉を飼い、洗いをはじめ、
鯉料理を売り物にし、大いに当たった。江戸・東京名物と
いってもよいのではなかろうか。親父、祖父さんと好きであった。

私も季節など関係なく頼んでしまうほど好物といってよいのだろう。

添えられている酢味噌は、伝統の江戸赤味噌、いわゆる
江戸甘、なのではのかろうか。
濃厚でうまい。

白焼きもきた。

やはり随分早いだろう。

この姿、美しいとは思われまいか。
そして、むろん、うまい。

いつ頃から、白焼きをわさびじょうゆで食べるように
なったのであろうか。
これこそ、江戸前のうなぎの喰い方であろう。

腹も減っている。
もったいないようだが、バクバクと、食ってしまう。

さほどの時間差もなく、うな重もきた。

山椒をふって。

白焼きもよいが、もちろん真打。

どうであろうか、この色、艶。

ほんとうに、美しい。
これがまずかろうはずがない。

幸せである。

ここまできて、待っただけのことはある。

食べ終わり、帳場でお勘定。

鯉の洗い1,000円也、白焼きは5,300円也、うな重は
安い方、5,300円、肝吸い400円也。
よい値段ではある。
もともと、ここはお高めではあるが。

ともあれ。

ご馳走様でした。
うまかった。

そうだ。

逆に閉店間際を狙ってきてみたらどうだろうか。
うなぎが切れていなければ、閉店は7時半であったか。
7時前あたりにTELでもして切れていないのを確認して。
まあ、ウイークデーであればここまでではないかもしれぬが。

ともかくも、外で待つのはやはり、避けたかろう。

尾花
03-3801-4670
荒川区南千住5丁目33−1

 

 

 

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