断腸亭料理日記2020

赤酢の酢飯で〆鯵のにぎり鮨 その2






引き続き、〆鯵。

今日の鯵は、結果的にであるが、きっちり〆ったもの。

切っても、中心まで酢が入っていることがわかる。

ここまできっちり〆たものは初めてではなかろうか。
ほう、こうすればこのようにきちんと〆まるのか、
ということ。

魚を〆るというのは、難しい。

ともあれ。
にぎり。

生姜をおろしておく。

飯が切れた。タイマーで計って、蒸らし8分。

飯台に一合分を取り、赤酢の鮨酢を掛けまわす。

40ccに、赤酢7:穀物酢3。

赤酢はいつもの内堀醸造の美濃三年酢 。

穀物酢は、ミツカンの銘撰。

赤酢はよいのだが、なぜ米酢ではなく穀物酢を
使うのか、と思われている方もいるかもしれぬ。
鮨酢であれば、米酢の方がより合っている
であろうし、プロも使っている。

私が穀物酢を使う理由は簡単、安いから。
そこまでこだわらなくともよいだろう。
拙亭ではノーマルな酢はかなりの量消費する。
1.5LのPETボトルで買っている。

飯に掛けまわし、しゃ文字で混ぜ込む。
プロはこの作業を、キル、という。

飯粒を潰さぬように切るようにするから、なのか。

とにかく、手早く。
赤酢はムラになっていると目立つのでガンガン、キル。

温度が下がってくるまでのわずかな時間に混ぜ終わらねば
いけない。粘りがすぐに出てきてしまう。
粘りが出てきたら混ぜるのをやめる。

これでも多少白い部分が残っている。
白いところに、赤酢を一滴ずつ落とす。

ここもタイマー、8分。
飯粒の表面の粘りを固め、パラっとした酢飯にする
工程である。

8分後、にぎり始める。
プロは、ジャーや保温機能の付いたお櫃(ひつ)に
移し、人肌の温度をキープしてにぎる。
完全に冷めてしまうと酢飯は握れない。
客に出すまで、この温かみは残る。
にぎりというのは、ほんのり温かいのが正しい、
のである。

なん度も出しているので、にぎる動画ももうよいであろう。

前のものを出しておく。

鯵なので、わさびはなし。上におろししょうがをのせる。

出来た。

アップ。

ビールを開けて、食べる。

きっちり〆った鯵と赤酢はまた、よく合う。
生の鯵とは全く違うものであるが、これはこれで
格別にうまい。もちろん、酸味は強いのだが、
赤酢の酢飯が緩和しているよう。

半身残して残り全部にぎって食べてしまう。

翌日、残った半身はぬたに。

酢味噌は、八丁味噌と西京味噌と半々。
これも、もちろん、うまい。

さて。
魚をきっちり〆るということ。

特に鯵や鯖など少し身の厚いもの。
今回、きつく塩をして2〜3時間、そして、真水で塩抜き
同時間。あとは100%の酢で一晩。
これでできた。
なにかレシピを見たわけでもなく、テキトウ、
自己流である。
今私は、鯵にしても鰯、鯖、小肌も、塩をして置き、
水と半割の酢に漬ける。これは塩抜きも兼ねている。
(これはプロのレシピ。)
この仕上がりは、中央部までは酢が入らない。
今、一般的な酢〆はこんな感じであろう。

実のところ、魚の酢〆の、科学的なメカニズムは
私はわかっていない。
一般に、プロでも、どのくらいわかっているのか。

塩をすると水が出る。代わりに塩が魚に入る。
塩辛くなりすぎない程度であれば、このまま
酢に漬けても、酢〆にはなる。
ただ、〆具合はかなり浅い。
水が出た分、酢が入る、と説明される。

これよりも強くする場合、先の半割で、塩抜き
をしながら酢が入る。
なぜ半割だと塩抜きになるのか。
どなたか専門の方、メカニズムを説明して
いただきたいが、まあ、浸透圧の関係なのであろう。
魚の身の水分濃度と、漬ける液の濃度が平衡になろう
とする動き。

今回が、強い塩で置き、その後塩抜きをして、酢に漬ける。
先の、抜けた分、酢が入るという説明と矛盾している
ように思うのであるが、これでも酢〆になる。
それも中心まで完全に。なまぐささも完全になくなる。

以前の酢〆は皆こうしていた?。
これが正解なのか、わからないのだが。
また、メカニズムは?。

とにもかくにも、私の経験値にはなっただろう。

 

 

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