断腸亭料理日記2021

すき焼き・浅草・今半別館

3999号

12月26日(月)夜

さた、今夜は浅草[今半別館]、で、ある。

少し前に内儀(かみ)さんが予約をしていた。
予約なしでは、以前からだがとても入れない。
今もそのよう。

予約は17時。
タクシーで出掛ける。

浅草には[今半]は三軒ある。
新仲見世の[本店]と国際通り西浅草の[浅草今半]。
ここは昨年末行った。

そしてもう一軒が浅草寺仁王門そば裏通りの
[今半別館]。
数寄屋造りの建物がすばらしい。

ちょっと久しぶり。

雷門前で降りて、仲見世を通ろうかと思うと
かなりの人出で、裏にまわる。時刻通りに到着。

座敷は右側の玄関から。
名乗って、あがる。

部屋はすべて個室。入れ込みではない。
“松”とのこと。
右側の廊下から階段を上がり“松”へ。
二階の一番手前。

見返すと、前回もここであった。
部屋の様子を一通り。床の間側。

彩色された見事な彫り物の欄間、飾り窓。

床の間の掛け軸は、美人画。

左側。

これは松ではなく、瓢箪。

廊下側。

鴨居に案内があった。

木材が松ということか。

天井。

さて。椅子に掛けて、ビールと近江牛のコースを頼む。
10,000円也。
先付け。

かぶら粥とお姐さんがいっていた。
蕪のおかゆ、板雲丹と筍。
板雲丹というのは、初めてだが水分を抜いた塩漬けの
雲丹。ちょっとしたアクセント。
こういうもの、なのであろうが、お粥は冷たいので
この季節なので、もう一つに感じる。

前菜。

右から鰆の柴焼き、慈姑(くわい)の煎餅、
蛤クリーム焼き、菜花の胡麻和え、南瓜寄せ。

柴焼きというのは、細く切った野菜を柴に見立てて
焼いてある。

食べながら気が付いたのだが、床の間の美人画↑、
署名が読めた。

深水!。
伊藤深水?。
お姐さんに聞くとやはり本物のよう。
伊藤深水は、ご存知の方も多かろうが、大正から昭和の
日本画、特に美人画の巨匠といってよいだろう。
娘さんが朝丘雪路さん。
ここにもあるというのは、多作であったのか。

肉がきた。

流石の霜降り。

野菜。

最初は焼いてくれる。

取ってくれて、食べる。

これがまずかろうはずがなかろう。

焼豆腐、白滝。

これは、細いものではない。
やっぱり、すき焼きでも細い方がうまいと思うが。

ねぎ、春菊、えのき。

すき焼き、というのは料理としては手の込んだもの
ではないが、やはり、和食の最も美しい姿の一つと
いってよいだろう。

酢の物。

砧(きぬた)巻。蟹、玉子、大根を丸く巻き、砧に
見立てている。
砧というのは、洗濯物を叩く木槌のようなものである。
ただ、調べると砧は絹板(きぬいた)からきており
叩く木槌ではなく布を置く台の方のことをいうのが本来のよう。

あら方肉を食べ終わって、ご飯。

つゆは、湯葉などの入ったちょっと味濃い目。

最後、番茶と

和食の最後は水菓子で、果物を出すの普通だが
なぜか杏仁豆腐。

ともあれ。
近江牛、すき焼き、堪能。

うまかった。
その上、この素晴らしい数寄屋造りの部屋、
深水の美人画。

よい年の暮れ、である。

 

 

今半別館

03-3841-2690
台東区浅草2-2-5

 

 

 

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