断腸亭料理日記2021

両国・山くじらすき焼き・ももんじや その1

3977号

11月27日(土)夜

さて。

今日は、内儀(かみ)さんの希望で、
両国の[ももんじや]。

言わずと知れた、猪鍋の老舗。

やっぱり、一冬に一度はきたい。
が、昨シーズンはやはり、これなかった

しかし。日本のコロナはどうなったのであろうか。
欧米、アジア含めて、また増加に転じているのに。
新たな変異株も現れたようで、いずれ再び増加に転じる
のも時間の問題かもしれぬ。
今のうち、か?。

ともあれ。
昼、予約のTELを入れる。
予約はコースのみというので、6,600円の
ものを頼む。

17時なので、15分前に出てタクシーで向かう。

この時刻になるともうだいぶ寒い。

両国橋を東に渡って、すぐの右側。

店頭に、これ。

やっぱりグロい。

前回きた時にはもうこうであった。
以前は、コンクリートの背景にただぶら下げてあった
と思うのだが、もっとグロかった。

墨田区の案内札がたっている。
享保3年(1718年)創業。
当初は豊田屋という漢方の薬屋であったという。
薬として、猪肉を売り出し、人気になり、
料理やに商売替えをしたとのこと。
東京の料理やでも、享保の創業というのは、
かなり古い方ではなかろうか。

廣重 江戸名所 東両国豊田屋

雪の両国橋に山くじらの大きな看板。

この店のマッチの箱に今も使われている浮世絵。
広重の江戸名所シリーズで、幕末、安政の頃からのもの
だが、この絵は正式なシリーズに入っているものではなく、
この店が宣伝用に描いて、刷ってもらったもの
のようである。(同じ、雪に、山くじらの看板が
ある「びくにはし雪中」 という二代目広重のものがあるがこのアレンジか。)

江戸期には、基本獣肉食はタブーであったのだが、
なにかと理由を付けて食べたい人は食べていたのであろう。
落語でも「二番煎じ」は猪鍋を食う噺。
また、南九州の豚肉食、あるいは彦根藩の牛肉など
地域によっては食べていたところもあったのか。
どこで、どのくらいの人が食べていたのか、
本格的に調べたことがないので詳細はもう一つ
わからないのだが。

ここは、猪肉の鍋が看板だが、専門店ということではない。
鹿肉、狸などなど他の獣肉も出す。
ももんじとは、百獣と書いて獣肉の総称。

山くじらといっているのは、獣ではなく、
山に住むくじらであるという言い訳。
くじらは、魚、なのである。

ともあれ。

入って、名前を言って、二階へ。

左側の廊下、一番奥の座敷。

座る。

窓が換気のために開いているので、寒い。

が、やっぱり最初は瓶ビール。
ここは墨田区らしく、スーパードライ。

先付け、猪の脛(すね)肉の煮込み。

コースでなくともいつも出る。
こんにゃくなども入っているが、
ちょっと甘めの味噌味で乙な味。
これだけでも、もっと食べたいもの
ではある。

次は前菜。

鹿肉のローストと猪のチャーシュー。

どちらもなかなかよい火の通し具合である。
流石のプロの仕事。
鹿は脂のない赤身。
猪は脂身がよい。

鍋がきた。
浅い鉄鍋に出汁が張られ、真ん中に味噌、
らしきものがこんもりと沈んでいる。

肉とザク(野菜類)。

お姐さん?、若女将?が説明してくれたが
ここの猪肉は、丹波のものとのこと。
昔からそのようだが、知らなかった。
つまり、養殖されたものではなく野生のもの。
これがうまい、とのこと。
狩猟の期間は冬で、一度冷凍したものを
使うよう。寄生虫などを考慮してのことで
あろう。それで狩猟期間外の夏も食べられる。

猪肉というのはおもしろい。
脂の入り方は豚とは随分と違う。

豚とイノシシは種としては近似であろう。
イノシシを飼っているうちに、豚になる?。
人間と豚の付き合いは古く一万年になるよう

飼ってなん代か経つと、イノシシも毛が抜けて
豚に近くなる、というのも聞いたような
気がする。
おもしろいものである。

お姐さんが肉から鍋へ。

 

つづく

 

ももんじや

墨田区両国1-10-2
03-3631-5596

 

 

 

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