断腸亭料理日記2021

両国・山くじらすき焼き・ももんじや その2

3978号

 

 

 

引き続き、両国の猪鍋[ももんじや]。

先付けの猪の筋肉煮込みと、前菜の鹿肉のローストと
猪のチャーシューを食べて、鍋。

肉から、味噌味の鍋へ入れてくれる。

野菜も。

さて、ここからがポイント。

食べたことがある方はお分かりになろうが、
猪肉というのは、長く煮れば煮るほど、うまい。
柔らかくなる、のである。
早いと堅い。

最低でも15分。
肉は色が変われば、食べられるというのが
我々の常識ではあるが、猪ばかりは、じっと我慢。
以前に説明をされずに、堅いまま食べてしまった
ことがあったっけ。

そうそう、毎度話題の白滝、チェーック。
細いものがよい、と書いているが、ここのものは
ノーマルといってよいだろう。

だいぶ煮えてきたが、まだまだ。

ビールから酒に替える。

猪肉は待たねばならないが、野菜と豆腐は
もちろん、普通に煮えれば食べられる。

野菜は、ねぎ、せり、と二種だけ。
シンプル。
ごたごた、彩りなのであろうが、
入っていないのは、江戸センスかもしれぬ。

待ちきれずに、味噌の色が付いてきた、
焼き豆腐から、つまむ。

この味噌。
味は、かなり甘めで、濃い。

色は八丁味噌に近い赤黒いもの。
おそらく、ベースは、やっぱり例の江戸甘味噌
であろう。
これに、さらに砂糖を加えているであろう
甘さ。

もう一品、料理がきた。

鹿。

先ほどは、中がレアのローストであったが
こんどは、生。
刺身。

わさびじょうゆ。

きれいな赤身。
うまいもんである。

猪は野生といっていたが、鹿もそうであろう。
あまり鹿の養殖というのは聞かない。

馬肉生産というのは、熊本がNo.1だと思うが
生食用にオーソライズされた方法で解体加工されており
問題なく食べられると聞いたことがある。
野生の鹿なども、生食用の解体加工方法が
ある、のであろう。

15分やっとたった。

OK。

かなり柔らかさが違うのである。
15分あたりを境に。

まったく不思議。

甘いこの味噌のつゆと柔らかく煮えた猪肉が、
まったく堪えられないうまさ。

また、このプリっとした食感の脂身もまた
たまらない。
そうそう、この脂身もまた、豚肉とは
ちょっと違っているかもしれぬ。

さて、肉も終盤になってきた。

ここでは、うどん、を、薦められるが、
やっぱり飯がよいだろう。

一膳に、肉と、白滝、甘いつゆも。

これが、まずいわけがない。

白いご飯に肉とたれ、というと、牛丼にしても
豚丼にしても、甘辛のしょうゆと決まっているが、
どうしてどうして、この甘い味噌味のたれも
そうとうに合う。

丼、おそらく弁当などにも合うことであろう。

江戸甘味噌というのは、関東大震災を境に
大きく生産量を減らし、現代に至っているという。
江戸甘味噌は、色は黒いが西京味噌のように
麹が多く、甘味だけでなく旨味も多い。
味噌汁には向かないが、こういう使い方では
絶大な力を発揮する。
江戸甘味噌で味付けされた猪肉をのせた駅弁なぞ、
どうであろうか。
古くて新しい東京名物になるまいか。

ともあれ。

これで、最後。

デザート。

これも、猪肉と同じ丹波、で黒豆の入った、アイス。
黒豆は大粒、で、ある。

黒豆というとおせち料理だがこんなのも
うまいもんである。

二年ぶりの両国[ももんじや]猪鍋。
まったく、堪能。

うまかった、うまかった。

ご馳走様でした。

 

ももんじや

墨田区両国1-10-2
03-3631-5596

 

 

 

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