断腸亭料理日記2022

二長町・ラーメン・天神下大喜

4029号

2月7日(月)第一食

さて、毎度、お世話になっている
ラーメン、天神下[大喜]

名前の通り、以前は湯島天神下にあったが、
台東二丁目蔵前橋通り沿い二長町に移転し
もう5〜6年は経っているか。

和食出身というここのご主人の味には
私は、絶対的な信頼を置いている。

うまいラーメンや、話題のラーメンや、
というのも数多いが、別格。
独自に、味の設計ができる数少ない天才、
と、思っている。

限定ものも、定期的に出すが、それぞれの
完成度がもの凄い。
完成度というのは、味のバランスということ。
むろん試行錯誤をいつもされているのであろうが、
半端なものは出てこない。

ラーメンというのは、スープにしても具材にしても
様々な味の組み合わせである。
納豆が今は定番にあるが、これなどはいい例である。
ただ納豆をラーメンに入れました、ではむろんない。
このバランスが都度、高レベルで完成されている
のである。
こういう人はそうそうは、いない。
あたり前のラーメンやであれば、あー、あれと
あれを入れて、あるいは、この店の味、あの店の味
を組み合わせてこんな味になったのね、というのが
トウシロウにも想像ができてしまう。
このご主人のラーメンは、そういった想像を遥かに
越えているのである。うまいのだが、よーく味わっても
どうなって、この味になっているのかが、なかなか
判別ができないのである。
やっぱり、ただうまいだけではなく、こちらのレベルを
越えている人は信頼しないわけにはいかないではないか。

ラーメンやの話題店、名店はこういうオリジナルの味を
看板に持っている。もちろん、それで十分なのである。
しかし、ここのご主人は、このようなハイレベルの味を、
常に新しく出している。
これを天才というのではなかろうか。

さて、前置きはそんなところとして、いつも限定
ばかり食べているが、久しぶりに定番をちゃんと
食べてみようと考えた。むろん、過去に食べたことは
なん度もあるはずなのだが。

今日は、メニューの筆頭に書かれているとりそば。
ご主人の筆頭なのであろう。

全部入りの、特製とりそば。

焼いた鶏のスライス、わんたん、そぼろの肉、海苔、
メンマ、煮玉子、かいわれ、白髪ねぎ、てっぺんの
黄色いのはゆず。

麺。

細めのストレート。

白濁スープでしょうゆの色がないので、塩と
いってよいのだろう。
だが、さっぱり、ではなく、脂分というのか、
ズシンとくるこってり感もちゃんとある。
先に書いたが、どうやってこの味になっているのか
トウシロウなどには、まったくわからない。
メンマだったり、挽肉のそぼろなどからも味が出て
この味になっているのであろうが。

そうそう、メンマのこと。
あたり前のラーメンやでは、メンマや煮玉子は
濃いめしょうゆ味である。
塩ラーメンを看板にしているところでも、メンマ
煮玉子はしょうゆ味のところも少なくない。
これ、ほんとうは、ヘンなのである。
味が合っていない。そう感じることは少なくない。

このとりそばのメンマ、煮玉子は、この塩のスープに
ちゃんと合わせているのである。濃いしょうゆ
ではない。こういうことを考えている人というのは、
そう多くはない。細かな料理人としての配慮、良心と
いってもよいだろう。ただの天才ではない。
なにも考えずに、バエだけを考えて、のせている具材の
なんと多いことか。

2月8日(火)第一食

二日続くが[大喜]。
今日はメニューのとりそばに続いて書かれている
しょうゆ。定番である。

ただ、ここのしょうゆは、二種類ある。
薄口と濃口。
そして麺も二種類、太麺と細麺。組み合わせは四種類?。
これらも定番で、食べたことはあると思うのだが、
味を憶えている自信がない。

いつも、濃口を食べていたと思われるので、薄口。
麺は太麺を選ぶ。

麺は、以前お姐さんにどちらがお勧めか、と
聞いたことがあるが、お好きな方で、と
応えてはくれなかった。

特製しょうゆ薄口の太麺。

麺。

太い平打ちで縮れ。

具はメンマ、やっぱりそぼろ、かいわれ、海苔、
チャーシュー、わんたん。

薄口と言っている通り。スープの色は
かなり薄い。
ただ、とりそばと比べても塩といっても
よいくらい。
ただ、白濁はしていない。

そう、濃口と並べて食べてみなければ違いが
わからないのである。

例えば、ベースのスープは昨日のとりそばと
同じなのか、違うのか。
これも鶏のようではあるが、やっぱりわからない。
メンマと煮玉子は同じであろうか。

ただ、バランスの取られ方はもの凄かろう。
そうなると、むしろおとなしく感じてしまうほど。
なにかの味が突出しているのではない、
うまいラーメンである。

ご馳走様でした。
うまかった。

よし、天神下[大喜]の基本の味探索、
もう少し続けなければいけなかろう。

 


台東区台東2-4-4
TEL 03-3834-0348

 

 

 

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