断腸亭料理日記2022

浅草田原町・焼鳥・鳥なお その2

4082号

引き続き、田原町の焼鳥[鳥なお]。
ミシュランピブグルマン。

台東区のミシュラン掲載店というのは、
22年版で11軒。
よく行くところでは、寿のとんかつ[すぎ田]、
御徒町の同じく[とん八亭]、そして洋食の[ぽん多本家]。
先日行った根岸の洋食[香味屋]。
他に、私は行かないが、フレンチの駒形[ナベノイズム](二つ星)
同じく観音裏[オマージュ](同)などなど。

ピブグルマンも入れて11軒というのは少なかろう。
港区、中央区、新宿区、渋谷区などがむろん多いのだが
目黒区でも22軒。
西高東低。
そういうものといってしまえば、それっきりだが。

むろん、ミシュランがすべてではない。
が、格付け、評価をしている媒体というのは
やはり必要だと思うのである。

国内でも以前は、文芸春秋の「東京いい店うまい店」という
老舗書籍があった。あるいは山本益博氏の「東京・味の
フランプリ」というのもあった。
どちらも今はない。

背景の一つには「食べログ」などネットの台頭
ということがあるのであろう。
一般の人々の付けるネットの星はいかがであろうか。
がっかりしたことがある方も多いのではなかろうか。
流行りや、特定の人々の動向に左右されやすい。
編集部であったり、著名人の見識、責任できちんと評価
する意味は十分にある。

また私は、今、TVなどは店側の宣伝といった方がよいと
思っている。彼らも視聴率の取れるネタがほしいのである。
見栄えがよく話題が取ればそれでよい。緊張感など
まったくない。

ほんとうに、うまい、評価されるべき味、技、サービスのある
店をピックアップし、応援する必要がある。
そしてやはり、見識ある評価・格付け媒体は公平を期すため
一つではなく、複数あってしかるべきである。

さらに余談だが、どうも評価・評論ということが日本の
メディアからどんどん減り、もはや存在しないのではなかろうか。
顕著なのは歌舞伎であろう。歌舞伎界ではマイナスの
評価をすると取材ができなくなるとも聞く。見識ある人の
評価・評論はその業界の健全な発展に不可欠であると
思うのだが。

閑話休題。
田原町の焼鳥[鳥なお]であった。

七品目。

砂肝、塩。
硬すぎず、よい食感。

右下に見えているのが、粉の山椒なのだが、青い。
香りが強くフレッシュ。

初めてお目にかかったのではなかろうか。
こんなものがあったのか。
普通、粉山椒というのは完熟した茶色いものを挽いたもの
だと思うが、熟す前の新鮮な青山椒の実を挽いている?。
そんなことができるのか。
フリーズドライのようなことか。

八品目。

ねぎま、で、ある。

これは塩ではなく、薄いがたれ、ではなかろうか。
ねぎは焦げ、肉はほんのり焦げ目、この具合が絶妙。

九品目。

焦げ目の入った焼きものではあるが、
なんであるかお分かりになろうか。

粗塩であろうか、粒の大きな塩をまぶしてある。

チーズ?。
いや、これ、蕪(かぶ)、なのである。
驚いた。

東日本の一般の小蕪であると思うが、焼いた蕪は
初めて、で、ある。
表面のパリッとした食感と、あまさ、で、ある。
最近はトマトだったり、いろんな野菜を焼くが、
技術があれば、なんでも焼けるのであろう。

十品目。

これが、ここのメインイベント。
真打、スペシャリテ。
つくね。
添えられているのは、キンカン。
むろん、たれ。

キンカンというのはご存知であろうか。
卵になる前の親鳥の体内にある状態のもの。
味は、モツと卵の中間のようなものなのだが、
これは、ちょっと特別なものを吟味している
のではなかろうか。
味はほぼ、卵黄。モツのくささはまったくない。
が、食感はしっかりしている。

つくねに卵黄を添えるのはよくあるが、
これはおもしろい。

十一品目。

お新香とご飯もの。
鶏のスープにひたった、小さなおにぎり、
で、ある。

上品すぎないが、気が効いているではないか。

以上。

ご馳走様でした。
うまかった。
なるほど、流石、で、ある。

お勘定は飲み物入れて一人6,000円ちょい。

ご主人は30代であろうか、まだお若く見える。
寡黙。先にも書いたが、きちんとした和食の修行を
された方なのであろう。

店を出ると、外まで見送りにきていただいた。
これも、然り。ちゃんとした和食店のサービス
であろう。(この値段で!。)

地元にこんな店ができていたのを知らなかった
のはまったくの迂闊である。
頻繁にこねば。

 


公式(食べログ)

050-5593-4854
台東区雷門1-5-9 いさよビル 1F

 

 

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