断腸亭料理日記2005

合羽橋・太助寿司

7月3日(日)夜

書いてなかっただけで、来ていなかったわけではない。

ここに書くのは、久しぶりである。
合羽橋の太助寿司である。

TELし、内儀(かみ)さんと、共に行く。

この時期になると、楽しみがある。
うに、である。

この国で、最高級、と、いわれる、利尻の馬糞うに、で、ある。

もちろん、いつもあるわけではない。
昨年の日記を見返すと、
6月29日にその記述がある。

来てみると、あった!。

さて、つまみから。

星鰈(ほしがれい)・常磐。
これも、去年の記述にある。干し鰈ではない、星、である。
星の文様があるため、この名があるようである。

希少なもの。

***************

カレイ科の海水魚。全長約四〇センチ。体は楕円形。
有眼側は暗褐色をし、ひれに黒い円斑が等間隔に並ぶ。美味。

***************大辞泉

辞書に、「美味」、と、書いてあるのも、珍しい。

白身というと、冬の平目が代表かも知れぬ。
しかし、大将もいっていたが、冬の平目とは、また違ったうまさがある。
旬の平目は脂もあり、これはこれで、絶品であるが、
夏の星鰈は、上品ですっきりした、うまみ、にあふれている。

もみじおろしのぽん酢で。

鰹。三陸沖らしい。
今年は、黒潮の蛇行で、今まで、あまりよくなかったらしい。
最近になり、三陸で揚がり、うまくなったという。
さっぱりとしていて、上品な脂がある。
(生臭く、血の味が強い、あたりまえであるが、
魚屋で買う鰹の刺身なんぞとは、大違いである。
そこが寿司屋の値打ちである。)

他に、たこ、しろいか、中トロ、子持ち昆布。

次に出たのが、まて貝の焼いたもの。

しょうゆと、少し、とんがらしが利かせてある。
九州産。
さっぽりとして、磯の香りがし、うまい。

さて。

大将が
「鮎なんか、食べないよね?」

なんだ、なんだ、鮎があるんですか?
ここのところ、鮎、それも、天然を探していたのである。

当然、天然で、ある。

もちろん、塩焼き、である。
天然の証拠か、ちょっと、小ぶりである。
やはり、まだ、早いのであろう。
広島の太田川、というところのもの、であるという。

味は、いうまでもない。
頭の部分が多少苦いが、はらわたからなにから、食べられる。
天然鮎のうまさは、独特の香りと、あま味であろう。

これは、まさに、堪えられない、うまさ、である。

やはり、こういうところに、あるだけで、
吉池といえども、魚屋には、並ばないものなのかも知れぬ。

ここから、握り。

生鳥貝。
またまた、これも、大将は自慢していた。
大ぶりで、ジンワリ甘い。
これは、比較的、いつでもあるが、やはり、春から夏がよい。
調子の北、茨城の波崎。鹿島灘である。

さて、いよいよ、待ちに待った大物の登場である。

この日、築地でも、何枚もない、という。
利尻の馬糞うに、である。

まさに、クリームのよう。
うに独特の、えぐ味のようなもの、生臭味、そんなものとは、
まったく無縁な、まさに、日本一の、輝くばかりのうに、である。
上にのっているのは、塩である。

これが証拠。


新子。

鯵。鹿児島・串木野。
これも、うまい。柔らかく、あまい。
今年は鯵が、特によい。

最後は毎度おなじみ、熊笹で焼いた、穴子。
穴子も、旬である。
ほんわりと、あたたかく、身が厚く、脂がとろとろ。
なんといっても、太助の穴子はやはり、絶品と、いってよかろう。
これは、技、で、ある。

今日、これだけのものを食べて、一人、¥10,000ちょい。
値段と、ねたのよさ、だけがもちろん、太助のすべて、ではないが、
やはり、今日は、大あたり、である。

今、太助は行き時、かも知れない。
(一応、TELを入れられることをおすすめする。)


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