断腸亭料理日記2005

夏休み特別編・断腸亭

メキシコ・ロス・カボスへ行く 4.

メキシコ編、四日目になってしまった。

昨日に引き続いて、シーフード。

これは、カボ・サンルーカスから車で2時間ほどの
カボ・プルモというまったく、へんぴな海辺の寒村へ、
潜りに行った際のランチである。
(このあたりには珍しく、少し、サンゴがあり、透明度も高い。)
これはカジキのフリッターである。
カジキはスポーツフィッシングでもよくあがる。
これもうまかった。
獲れたてである、と、いっていたが、なるほど、これもプリプリであった。
(奥にあるのは、パシフィコ、という、名前通り太平洋側で
よく飲まれているビールである。味は、テカテ、に近い。)

そして、フリッターの上にあるもの。豆である。
これも、必ず出てくるおかずである。
薄い塩味でうずら豆のような豆を煮てある。
日本人には味がはっきりせず、今一つかと思う。
しかし、慣れてくると素朴な味が、なんともいえず、
安心できるようになった。

最後にもう一つだけ紹介したい。
これは、かなり特徴的な料理であり、落とせなかろうと思う。


かなりのピンボケで恐縮である。
(しょぼいデジカメで、照明の抑えた、雰囲気のよいレストランでは
どうしても、ピントが合わなかったのである。)
赤黒い物体、にしか見えないが、モレ(Mole)という料理である。
これは、一般的なチキンのモレ。

メキシコでは、ごちそう、の部類に入るものだそうである。
正確には、チキンにドロッとかかっている、
赤黒いチョコレート色のソースがモレ。ずばり、カカオが入っている、という。
しかし、砂糖が入っているわけではないので、甘くはない。
他には、お得意のチレや、各種野菜が入り、
ドロドロに煮込まれているのである。

食べたものが標準的なのかどうかはわからぬが、味は、
日本の八丁味噌料理、に、そっくり、であった。
名古屋の味噌カツは、甘くしてあるが、あれの甘くないもの、
と、いうのが、筆者の感想である。
カカオの苦味であろう、少し苦味があり、コクがあり、塩気も比較的強い。
決して、まずくはない。
不思議な味であるが、ちょっと、癖になる味かも知れない。

さて、四回に渡って書いてきた、
今回のメキシカンフード、まとめ、に入ろう。
カボ・サンルーカスを中心とするこのロス・カボスという
カリフォルニア半島の先端のこの地域、
海辺でもあり、また、乾燥が激しい。このため、シーフードはうまいが
メキシコ本来の野菜のうまさと、いう意味では、
今一つであったのかと思う。

筆者のみた、メキシコ料理そのものの、考察になる。

日本人には、メキシカンフードは、どうも単調な印象があると思われる。
肉などの中の具材が代わり、巻いたり、包んだり、はさんだりと、
形も代わるが、皮(トルティージャ)とトマトや豆をベースにした、
チレのサルサ味の順列組み合わせ、ではないか、と。

その通りなのであるが、彼らの味覚文化は、そんなことで終わらせて
しまってはいけない、と、いうことに気が付いたのである。
日本人には、理解しずらいが、狭い範囲で、
驚くべき多様さを持っているのである。

メキシコには、チレのサルサの種類は数え切れない。
店で頼んでも、必ず、同時に2種類以上出てくる。
自家製になれば、店の数、家庭の数の数倍の種類があろう。
我々には違う味と、なかなか感じられないが、同じチレでも
微妙な辛さの違い、香り、酸味(酢とライム)、黒いチレなどにある、苦味、
などなどを違うものとして感じ、楽しんでいるのある。
(日本人が伊勢えびと、ロブスターに違う名前を付けて区別しないと
気がすまない、と、いうのと、同じことである。)

これはこれで、メキシコの豊かな味覚文化であり、
奥深いチレ・サルサ・ワンダーワールドであると、いえよう。

オラ!メヒコ。オラ!チレ・サルサ、で、ある。

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さて、こうなれば、今週はメキシコシリーズで
突っ走ろう。明日も、「オラ!メヒコ」。


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