断腸亭料理日記2006

鳥越祭り・祭りのこと

6月10日(土)11日(日)

今日は、祭りのこと。

浅草、下谷界隈、最後を飾るのが我々の、鳥越祭り、で、ある。

断腸亭・近所のこと

普通、祭りというと、
「村の鎮守の神様は〜」と、豊年満作を祝い、神に感謝する
秋祭り、というイメージが強いかもしれない。
しかし、東京下町の祭りは、梅雨前のこの時期、初夏に決まっている。

最初は、稲荷町の下谷神社。(今年は5/6、7)
それから、毎週のように、浅草三社、小野照崎神社、
上野の五條天神社、と続き、先週が蔵前の榊神社。

「毎年、鳥越祭りが終わると梅雨入りだね」という言葉が思い出されるが
今年は、木曜日であったか、既に、梅雨に入った。
昨日、土曜日は、多少ぱらついた程度で、なんとかもったが、
今日は雨。今年は、雨の本社御輿(ほんしゃみこし)の渡御(とぎょ)となった。

筆者は、この地に引っ越してきて、早いもので、もう七年であろうか。
随分と経つが、サラリーマンの筆者などは、住んではいるが、
昼間はおらず、町内の住人としては甚だ心もとない。

町内会活動や祭りは、なん代も前からこの地に住んで、
仕事もここ、幼馴染も回りに住んでいる、という皆さんがむろんのこと
中心である。

筆者の父や祖父は品川区の大井町あたりの生れ育ちで、
筆者自身の育ったのは新興住宅地、私鉄沿線の、練馬区。
こうしたきちんとした歴史のある祭りのあるところに
住んだのは初めてであった。

東京でもその近郊でも、江戸の頃、で、あろうか、明治の頃まで、
であろうか、その頃に既に、庶民の住む、いわゆる「町」
があるところでなければ、祭りはない。

氏神様である神社があって、氏子組織があって、
そこに重なるように、町内会活動があり、祭りがある。

新興住宅地にはむろんのこと、祭りはない。
東京でも山手、例えば、筆者の仕事場のある牛込には、神社があっても、
いわゆるお屋敷町で、町内会はあっても、祭りはない。
いや、まったくない、ということないのだろうが、
下谷、浅草のように、どこに住んでも、網の目のように町内会があって、
皆、必ずどこかの神社の氏子に属し、その、祭りがあり、
それに参加する、というきめの細かい様相は呈していないのだろう。

また、一つ前に住んだ葛飾の四つ木。
正確には東四つ木、木根川町会、には
木根川神社という神社はあるが、御輿の出る祭りはなかった。
今は、このあたり、町工場のある下町だが、戦後、つい最近まで、
田圃や沼であった。こうしたことろにも、大きな祭りはない。
これは、とりもなおさず、町でなかったところだから、であろう。

ともあれ、ここに住むまで、筆者、生まれてこの方、
住人として祭りに参加したこともなく、
むろん、御輿を担いだこともなかったのである。

しかし、どうも、筆者、祭りが好きなのである。
(これは、なにも、下町の祭りのみが好きなのではない。
学生時代、民俗学を学んでいた関係もあり、各地の祭り、
ことに町の祭りについて、随分好きで、調べた記憶もある。)

この地、台東区元浅草に移り住んで七年。
毎年、鳥越祭りは見てきた。
町内会にも一応入っているので、知っている人が町内にいなくとも、
町の半纏(はんてん)は借りられる。
毎年、借りて、町内御輿の渡御や、町内の本社御輿の渡御には
必ず見に行っている。しかし、担いではいない。
と、いうよりも、四十も過ぎて、まったくの未経験で、
また、(マンションの住人以外に)知っている人もない新参者で、
畏れ多くて、担げるものでもない。

しかし、正直のところ、見ているだけでは、つまらない。
大分、雰囲気にも慣れ、(三社ほど鳥越は怖くはないのである。)
一度、担いでみたい、と、思うようになった。
まあ、御輿など、混乱とドサクサであるから、紛れて
下手でも、担いでしまえば、別段どうということもなかろうが、
筆者なかなか、そうしたこともできぬ、性格、なのである。
そんなことで、なんとなく、個人的には、
フラストレーションもあるような、
今年の鳥越祭りであった。

来年は、こっそり、担いでみようか。
いやいや、この年であるし、落語なんぞをしようという身である。
やはり、見ている方が身のためだろう。

たのしみな、鳥越祭りが今年も終わり、こんなことを考えた、
と、いうことである。


(今回は、まったく食い物のことなし、の断腸亭料理日記でした。
たまには、よいでしょう。)



断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月




BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2006