断腸亭料理日記2006

神楽坂・そば・翁庵

10月27日(金)夜

金曜日になった。

今週は、随分たいへんな一週間であった。
水曜日、大阪出張。

ご記憶の方もおられるかもしれないが、
この日、新幹線が、静岡での人身事故で、ストップ。
この時、筆者は、9時東京駅発の、のぞみ、に乗るはずで、
東京駅にいたのである。
しかし、ストップ。乗るはずの列車は運休。
2時間半東京駅で足止め。
11時半頃、やっと動き出した列車で、立ちっ放しで、
大阪まで行く羽目となったのであった。
(結局、名古屋で座れたが。)

開業以来初の人身事故ということで、そこに出くわすというのは、
かなりの、運の悪さ、と、いうことであろう。

さて、そんな一週間もやっと終わり、夜。
呑んで、そばでも食おうか、と、思う。

呑んで、そばを食う、と、いうと、
いくつかの*趣味そばを、思い浮かべるが、
やはり、この場合どう考えても、趣味そば、ではなかろう。
西浅草のおざわなどもよいが、既に時間が遅く、そしてやはり、
もう少し気の置けないところがよい。

神楽坂、翁庵、がよかろう。
かつそば(冷やしもできる)の店である。

気軽に呑めるのもいい。

またまた、楽をして、タクシーで神楽坂下まで、ワンメーター。

例によって、座ると自動的に小さな冷奴と、
小さな惣菜が一品、今日は卯の花の煮たの。

ビールではなく、そば焼酎の小瓶をもらう。
なんとなく、今日は呑みたい気分、である。

それから、モツ煮込み。

梅干も出てくるが、これは入れずに、そば湯で割るだけで
そのまま呑む。

卯の花がうまい。
このそば焼酎の小瓶は、「白雪郷」と書いてある。
ここでしか見たことがないが、なんであろうか。
ちょうど二杯分くらいであるが、なかなか、よい感じである。

ここは、4人がけのテーブルや、座敷の大きなお膳もあるが、
一人で呑んでいる人や、飯を食っている人も多い。
むろん、サラリーマンの何人かのグループもあるが、
不思議と、一人でも落ち着ける店、なのである。

この小瓶のそば焼酎も、一人用といってもよかろう。
神楽坂、らしくない店かもしれぬが、よい店である。

呑み終わって、そばを食おう。
軽く、もり、にしようかとも、思ったが、なんだか、
吸い寄せられるように、かつそば、を頼んでしまった。
(当然、温かい方。冷やしではない。)

いやいや、何度も見ているが、やはり、インパクトがある。
そばに、とんかつ、で、ある。
厚さ数ミリで、むろん、薄いのだが、それでも、かつはかつ。
あらかじめ甘めの汁を染み込ませ、切ったかつが、
鎮座ましましている。

前に、量が多い、などと書いているが、今日は、難なく食べられる。
やはり、体調なのであろう。
(まさか、加減をしている?前回は間違えた?そんなことはあろうか。)

ともあれ、細いそばと、甘めのつゆ。妙な相性であるが、
やはり、うまい。

勘定をして、「ありがとうございまーす」の声に送られて出る。

40を過ぎて、呑んで、夜、こんなにしっかり食べてはいけない
と、思いつつ、やけ食いなのか、疲れているからか、食べてしまった。

大江戸線飯田橋駅から、帰宅。


*趣味そば
定義をしろ、と、いわれると難しいのであるが、試みてみる。

いわゆる、藪、更級などなど、老舗の蕎麦屋系統とは別に、
独自の考えを元に、あるいは、既にそうした形で開業している店で
多少の修行をして、開業をした、そば店。
コンクリート打ちっぱなしの内装、などが特徴的。
今、東京では一般に人気があり、増殖中。

見た目は同じようでも、一部、きちんとした日本料理の修業をされ、
そばに惹かれ、開業された店もあるよう。
そば以外の料理、客あしらいなどで、この差がわかる。

過去の趣味そばの、考察

その1

その2


***********************

神楽坂・翁庵
162-0825 新宿区神楽坂1-10
03-3260-2715

翁庵


(上記リンクは、および、店舗住所などは、この記事を書いた時点のもので
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お願い申し上げます。断腸亭)



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