断腸亭料理日記2007

ぎんぽ天ぷら

6月2日(土)夜

さて、秋葉原のとんかつや、丸五で、
特製の、肉よせで、ビールを呑んで、ロースのとんかつを食い、
下駄を鳴らして、ぶらぶらと、秋葉原を御徒町方向へ戻る。

さて、どうしようか。

また、魚屋を覗いてみようか。

中央通りを渡って、路地に入り、北上。
松坂屋裏から、吉池。

ざっと、見ていくと、ぎんぽう、というのがあった。
ご存知であろうか。

ぎんぽ、ともいう。
天ぷらの、ねた、で、ある。

幻の魚?
以前は、特段高級ではなかったと思う。
江戸前天ぷらとしては、穴子や、めごち、きす、などなどと
同様に、一般的なものであった、と、思われる。

筆者、名前は知ってはいたが、
見たことも食べたこともなかった。

始めてで、ある。

細長い、うつぼのような模様の入った魚で、ある。
一皿、四匹あって、¥400。

高いのか、安いのか、よくわからぬが、
買ってみることにしよう。

それから、小柱。
かき揚げ、にしよう。

吉池から、カランコロンと、帰宅。

作り始めたのは、8時頃から。


さてさて、ぎんぽ、こんな魚、で、ある。

毎度、参照させていただいている。

ぼうずコンニャク

なんの類に近いのか、よくわからない。

やはり天ぷらとして、一般的であったようだが、
大量に獲れる魚でもなく、さばくのも
手間がかかる。天ぷら職人にも敬遠され、出回らなくなった。
そういうことのようである。
また、旬はやはり、梅雨前の今頃らしい。

生きがよいことが大切な魚でもあるようだ。

今日買ったこれが、生きがいいのかどうか
こんな色である、さっぱりわからない。

しかし、まずは、さばかなくてはならない。

いろいろ調べてみると、
穴子やうなぎのように、さばけばよい、
ということらしい。

、、、困った。
筆者、このあたりは、まったく、経験がない。
釣りでもしなければ、普通は、さばけまい。

目打ち、と、いうらしい。
よく、うなぎやさんが、まな板にうなぎの頭を
打ち付けて、さばいている、あれ、で、ある。

あれをやるのか。
かなり、後悔している。
できるのであろうか。

ともあれ、写真入で、さばき方を書いているページを見つけ、
やってみることにする。

頭を右に、背を手前に置き、
目打ち、などないので、ひとまず、竹串を刺して、やってみる。

前ビレのすぐ後ろに、包丁を骨まで入れ、背開きで、開く。

書くと簡単であるが、骨ぎりぎりに包丁を入れるのは、
なかなかむずかしい。

また、竹串、などは、ぜんぜんだめ。
すぐに抜けてしまう。

一匹目は、骨に相当に身を残して
開いた。

どうしよう。
とりあえず、これは、おいて置く。

工具箱から、錐(きり)、の、ようなものを見つけてき、
これを刺して、もう一匹。

今度は、そこそこきれいに、開けた。

残りを全部開く。

骨をはずす、のであるが、
とてもできそうにない。
(説明を読んでも、よくわからないのである。)

ここまでで、手一杯、で、ある。
大後悔、で、ある。

職人が嫌がる、ものを素人の筆者ができるはずがない。
あきらめよう。

骨付きのまま、揚げてしまおうか。

開いたものを、骨のある方と、ない方の、半分に切り、
さらにそれぞれを、半分に切る。

天ぷらの用意。

内儀(かみ)さんに大根をおらさせ、
皿などを用意させる。

油を用意し、ボールに玉子の冷水。
温度が上がったところで、粉を入れ、
ひとまず、骨付き、骨なし、数切れを用意。

揚げる。
穴子もそうであるが、これも近そう。
よく揚げた方がよいであろう。

比較的じっくり揚げる。


まず、骨なしを、食べてみる。

かなり、穴子に近い味ではなかろうか。
脂もそこそこ、あるようである。

長さはともかく、黙って出されたら、
味は穴子と区別はつかないかもしれない。

うまい。

骨あり。
いやー。これは、だめ、で、ある。
骨があるだけで、かなり生臭い。
骨のまわりに、血が残っていたりするのである。

これはとても食べられない。
骨なしとの味の差が、あまりに大きい。
一念発起。

骨をはずそう。

いろいろ書いてあるが、よくわからない。

中骨の腹側と、背側に、中骨に沿って、直角に包丁を入れる。
ようは、まわりの骨を、切ってしまう、という形、で、ある。
こうすると、一応は、はずしやすくなるはず。
中骨の下に包丁を入れ、なんとか、はずす。
(プロが、どうしているのかは、わからない。)

はずせた。

四苦八苦、で、ある。
大汗をかいてしまった。

全部揚げ、食べる。
小骨があったり、背びれが、とがっていたりで、あるが、
うまかったことは、間違いない。

小柱は買ってあったのだが、かけ揚げを揚げる
気力はない。海苔に巻いて、わさびをつけて、しょうゆをつけて、
そのまま、食う。
これはこれで、うまい。

しかし、幻(?)のぎんぽ、とはいえ、こんなにまで
さばくのがむずかしいとは知らなかった。
まったくもって、無謀なことをしたもので、ある。
それでも、一応は、食える形にさばけたのは、
我ながら、満足ではある。



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