断腸亭料理日記2008

断腸亭、鴨鍋2008

1月3日(木)夜

毎年毎年、同じようなものを書いているのだが、
年に一度の正月、で、あるから、仕方がない。

今年は、3日になった。

鴨鍋、で、ある。

今年は、冷凍庫にあった鴨肉と、暮れにもう一枚、買っておいた。

買ったのは、雑煮の鶏を買ったのと同じ、三筋、春日通りの
バス停前にある、鶏肉店。

そんなわけで、凍っていたものと合わせて、
都合二枚分もあった。
それで、大晦日から、鴨ばかり食べていたのであった。

鴨とねぎ、しょうゆ焼き。
脂だけの、鴨ぬき。
神田まつやのそばで、鴨せいろ。

まだ食べるのか?、と、思われるであろうが、

せっかく、芹も買ってあったのだし、やはり、
鴨鍋もしないと、正月らしくない。

合鴨、もも肉、一枚分。

一度、凍らせておいたので、常温で解凍。
半解凍状態を、出刃包丁で、スライスする。

脂の多い部分は、少し、脂だけを切り分けておく。


ちょっと、厚めになってしまった。

芹は三把分。

なぜ芹なのか、と思われるかもしれない。
ねぎではないか、と。

筆者もねぎもむろん食べる。
大晦日にも作ったし、ちゃんとした鍋でもやっている。

確かに、しょうゆだけの、鴨とねぎは、べらぼうにうまい。

そして、一般には、鴨ねぎ、という言葉もあり、

鴨はねぎ、と、決まっているように筆者も以前は思っていた。

しかし、芹も昔から鴨と好相性のものであったという。

事実、食べてみると芹も、十二分にうまい。

作品は忘れてしまったが、池波先生が書かれていたと記憶している。

(ついでだが、芹の親戚、クレソン、も、よい。)

そして、味付けは、甘辛のすき焼きのようなもの。

東京の鍋といえば、この甘辛、というのがとても多い。
なぜであろうか。

軍鶏鍋も、神田須田町のいせ源の鮟鱇鍋も。

やはり、東京は、しょうゆの濃い味の好きな、食文化、なのであろう。

甘くはしないが、落語にも出てくる、ねぎとまぐろの、
ねぎま鍋も、しょうゆと酒で炒り煮、にする。
かの、どぜう(泥鰌)の鍋も、丸鍋などといって、
丸のままのどぜうを、浅い鍋でしょうゆで炒り煮。

そうである、鍋とはいえ、今、一般的には、つゆを張った土鍋で
煮込むものが多いが、東京の伝統的な鍋は、煮込むのではなく、
しょうゆの炒り煮、これが多い。

思うに、東京の鍋のもともとは、高級な料亭料理ではなく、
簡易な、安い、庶民の食い物であったのであろう。

どぜう、軍鶏、ねぎま、、いずれもそうである。
鮟鱇鍋のいせ源も、座敷は個室ではなく、入れ込みで、
元来は、高級な店ではなかったのだろう。
すき焼きも、浅草ひさご通りの、米久などは、
広い入れ込みの座敷、で、ある。

ともあれ、簡易に、浅い鍋でしょうゆで、炒り煮。
これを、ガツガツと、食らう。
これが、東京庶民の由緒正しい、鍋の形、であろう。

割り下を作ってもよいのだろうが、
面倒なので、酒、しょうゆ、砂糖を用意。
それから、すき焼き同様、玉子。

火力が足らないので、火鉢ではなく、カセットコンロ。
鍋は、いつもの小ぶりの鉄鍋。

火をつけ、熱くし、先に切り分けておいた、
脂身を、焼き、脂を出す。

脂が十分出たら、鴨肉、芹を入れ、しょうゆ、酒、砂糖を入れ、
炒り煮。


厚く切ったので、これは、よいかも知れぬ。
薄く切ると、熱が通ると、身がすぐに縮み、あっという間に、
見る影もなくなる。
厚いので、ちょうどよい具合にレア、に、仕上がる。


芹とともに、生玉子を潜らせて、食う。

これももう、なにをかいわんや。
この世の幸せ。

鴨肉のコク。
それに、脂と、甘辛のしょうゆ味。
ちょっと、ほろ苦い、芹。

毎年のことだが、
これでよい年に、なってくれぬであろうか。



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