断腸亭料理日記2008

だんちょうていの

出張食い倒れ日記:富山編

富山の鮨

9月17日(水)夜

富山出張、で、ある。

朝早いので、前泊。

富山というのは、子供の頃、叔父が住んでいたことがあり、
遊びにきたことがあるきりで、それ以来であるから、
40年近くきていない。

前日入りということは、富山でうまいものが食える、
ということ。
富山といえば、富山湾の魚。
とくれば、鮨であろうということで、
事前に鮨やを探してみた。

例の有名、出張食い倒れ日記、に書かれていた店に目がとまった。
鮨 難波、という、富山市の中心部から離れているが
中心部の鮨やよりも、よさそう。

ここに決めた。

翌日の仕事の関係で、レンタカー。
6時過ぎ、ホテルに一度チェックインし、
再び車で出る。

富山空港から、ホテルまでくるのに道に迷ってしまった。

レンタカーには今、普通にカーナビが装備されている。
どうも、私はカーナビというのに馴染めない。
まあ、自家用車に付けていないので慣れていないということ
なのであろうが、地図上で示されている曲がるはずの交差点と、
実際の交差点が感覚的に、一致しない。なん度も曲がりそこね、
同じところをぐるぐると回ってしまった。

やはり、私の場合、地図を頭に入れ、走るのが性に合っている。

ともあれ。

一応TELを入れ、向う。
(ここに行くのにも、また迷ってしまった。)

幹線道路から、少し入ったところにある、一軒家。
店の表は、ちょっとお洒落にできている。
比較的できて新しいのかもしれない。

入ると、カウンターに案内される。

店内も、黒い石のつけ台など、落ち着いており、
なかなかお洒落。

板さんは、ご主人らしい方と、もう一人。
座敷などもあるようで、こちらは、家族連れなどで
一杯。

お通し。


紅ずわい蟹の、蟹みそ和え。
私は、本来、蟹、というのは、あまり好みではない。
特にみそは、独特の生ぐささが、だめなのだが、
これは、うまい。
新鮮なのかもしれない。

カウンターに置かれていた、品書き。


馴染みのない、名前もちらほらとある。

車できたので、お茶なのだが、刺身を少し切ってもらう。
白身、二品。


キジハタ(左)と、アラ(右)、だ、そうな。

まったく、私は初めて、で、ある。

毎度引かせていただいている、
「ぼうずコンニャク市場魚貝類図鑑」

キジハタ


アラ


厚めに切られている。
どちらも、うまみがあり、塩で食べても、うまい。
が、食べ慣れないせいか、数切れ食べただけでは、
どちらがどちらだか、判別が付くまでに、味はわからない。

キジハタは、名前の通り、ハタの仲間。
関西ではよく食べられているらしい。
アラ、というのは、福岡などで、鍋にするアラ、とは
別のもので、やはり、ハタの仲間のようだが、見た目は
鱸(すずき)に似た魚だという。

どちらも、富山湾で揚がるという。

すぐに、にぎり、に、してもらう。
わからないので、おまかせで。

まずは、いか。


アカイカ、といって出された。
これはどうも、先日も食べた、しろいか、のよう。
(実際の分類上の名前のアカイカは南洋で獲れるものらしい。
しろいか、の分類名はケンサキイカ、らしい。)

包丁目が入り、塩がまぶされている。
あまみがあり、うまい。

のどぐろ。


最近、のどぐろを食べたのは、京都であったか。

のどぐろは、関東でも数は少ないが獲れるらしいが、
やはり、あまり馴染みがない。
新潟で名物としてやはり焼いたものを食べたこともある。

皮を付けたままで、焼き目を入れて握られている。
皮目に脂があるので、こうして握っています、とのこと。

なかなか、うまい、が、これ、どうなのだろうか。

脂のある魚を炙って握る、というのは、
東京でも最近、ある程度の鮨やで、行なわれるようになってきている。
炙って、温かいまま握る、というやり方もあるのだが、
微妙なところで、食べるときには冷めており、
今一つ、意図を発揮させられている例、というのに
お目にかかれていない。
この手法、そういう意味では、まだ、コナレテいない、
のでは、と考えるが、いかがであろうか。

ぼたんえび


緑色の卵をのせている。
やはり、鮮度がよいのだろう、とろけるようでうまい。

紅ずわい蟹


あまみがある。

鯵。


これも、富山湾で揚がるという。
(まあ、鯵などは、どこでも獲れるものか。)
少し、〆てある。



白貝(しろがい)、といっていた。

これは、うまい。
柔らかく、かつ、みずみずしい。
磯の香り、が、たっぷりと口の中に広がる。

これも、初めて。

聞いてみると、富山ではなく、
能登半島の向こう側、羽咋(はくい)産という。


ばい貝、といっていた。

普通、ばい貝というと、さほど大きなものではなく、
煮付け、などにするのが思い浮かぶ。
こうして握れる、というのは、随分と大きなもののよう。
コリコリとした食感。

いくら


自家製といって出された。
これも、富山か、と聞くと、富山でも鮭は揚がるが、
まだ時期に少し早く、北海道のもの、だという。

秋刀魚


これも、やっぱり、北海道。

ここまでで、だいぶ腹も一杯。
なにか、ご希望は?というので、蒸しあわびを頼む。


少し、温めて、握ってくれた。

最後に、巻物、鉄火。


富山湾は、マグロも、揚がるんですよね、と聞くと、
マグロは、春、であるそうな。
夏には、北上するらしい。

やはり、富山湾は冬、だという。
寒鰤(ぶり)、蟹。そして、春、ほたるいか、白海老、、。

時季外れに来てしまったか。

しかし、どうしてどうして、
総じて、それぞれ、鮮度もよいのだろう、うまかった。

勘定は、8000円。
東京と比べれば、むろん安かろう。

板さんが外まで、出てきて、見送ってくれた

なかなか、よい鮨や、であった。
わざわざ来た甲斐があった。




富山 難波
富山県富山市公文名34?12
076-493-8686




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