断腸亭料理日記2009

キッチン南海・浅草寿店

10月10日(土)昼

さて。

土曜日。

また、連休、で、ある。

昼、カツカレー、が、食いたくなった。

カツカレーというのは、うまいもの、で、ある。
時たま、食いたくなる。

この界隈でカツカレーとなると、
春日通り沿い、新御徒町駅を少し御徒町方向へいった
ところにある、スタンドカレーの、サカエヤ

あるいは、寿のキッチン南海、か。

カツカレーはどちらにもあるが、やっぱり、
キッチン南海、で、あろう。

キッチン南海と、いうのは、ご存知であろうか。
神保町、両国などにもある。

似たような感じの店で、「キッチン・カロリー」あるいは、
「キッチン・ジロー」の、ような、洋食や、と、いうのか、定食や
といった感じの店。

ジローが最も数が多いかもしれぬが、
三つとも、東京の下町や、オフィス街、学生街を中心に
なん軒かある。
皆さんも、どこかに、一度くらいは入ったことがあるだろう。

南海もジローも、本店は、神保町のようである。
カロリーも神保町に店がある。

チェーンというよりは、暖簾分け、という表現が
合っていそうな、店々。

どこも、安くて、量があって、うまい。

ジローのホームページによれば、ここは、1964年(昭和39年)に
神保町で開店。

南海は2年後の1966年(昭和41年)に同じく神保町で。

なんとなく、共通点がありそう。

頭に、キッチン、という冠が、ついているのも
共通点で、ある。
この、キッチン○○、と、いうのは、なんであろうか。
やっぱり、洋食や、と、いうことなのか。

洋食やは、洋食やでも、前回書いた、東京に古くからある、
もう少し値段が高い老舗洋食や、とは、また違っている。

あるいは、下町に多くある(あった)、いわゆる、
大衆食堂とも、メニューは似たようなものなのだが、
やっぱり、ちょっと違っている。
(大衆食堂、は、前に書いた、浅草水口食堂
が、イメージであろうか。大衆食堂には、
刺身やら、焼き魚など和食もある。)

ともあれ。

寿の南海は、国際通りと春日通りの角から二軒目。

元浅草の拙亭から、真っ直ぐ東へいって、
国際通りを渡る。

本当に小さな、間口一間ほど。
大きな看板も出ていない。
気が付かないほどの店。

数軒隣が、とんかつのすぎ田

入口に、コロッケが切れています、との貼り紙がしてある。

13時前、店に入る。
先客があったのだが、入れ替わりに出ていった。
カウンター手前に座る。

座ると、おやじさんが、
今日は、コロッケと、チキンカツが切れてます、
と。

ご丁寧、で、ある。

ここは、焼肉定食、の、ようなものもあるのだが、
なぜか、カツカレーがメインのようなのである。
今日は切れているといっていたが、チキンカツもカツカレーに
なるし、豚肉の普通のカツカレーもある。
(また、さらに、100gと、書いてある、
カツもあるよう。)

で、“普通のカツカレー”¥630也を、頼む。
(ちなみに、チキンカツカレーも同じ値段、で、ある。)

ここは、おやじさんと、おかあさん、娘さん、の三人。
(なかなか、この三人は味がある。)

少し待って、できた。


ちょっと、薄いカツだが、
おそらく、ラードで揚げてあると思われ、
なかなか、うまい。
むろん、カレーもうまい。

皿に、キャベツがほんの少し、添えてある。

私がよくいく、オフィス近所の神楽坂のめとろ
のカツカレーにもキャベツが添えられていた。
(ほんの少しのキャベツ、これ、ある種のスタイル、
ともいってだろう。)

食べ終わり、勘定をして、出る。

さて。

カツカレー。

カツカレーというのは、やっぱり、
洋食、の、メニューの一つ、で、あろう。

最初に、サカエヤ、という店を挙げたが、ここは、
洋食や、あるいは、“キッチン”ではなく、カレーや
(スタンドカレー)といった方が近いであろう。
従って、サカエヤは、むろんのこと、カレーはうまい。

しかし、カツカレーは、洋食や、系統の方が、うまい、
のである。

なにが違うのかというと、洋食や系統は、
カレーがこってりしている、また、カツは
ラードで揚げているところが多いのでは、
なかろうか。

カツカレーというと、銀座の洋食や、
スイスグリルを思い出す。

ここのカツカレーも、こってして、うまい。
そして、ここは、カツカレーの元祖を自任している。
(なんでもその誕生にはジャイアンツの千葉茂さんが
関わっているともいう。)

創業は1947年(昭和22年)と、戦後すぐ。
で、カツカレーが生まれたのは、その翌年らしい。
(カレーもカツレツも戦前からあったもの。
もしかすると、これより前から、出している店も
あった可能性はある。)

ともあれ。

カツカレーは、こってりがうまく、
ここが洋食や、生まれのメニューたる所以、
で、あろう。

なぁ〜んとなく、東京の洋食とはなにか、と、
いうのが、このへんから、窺(うかが)えそう、である。

先日の資生堂パーラーのうまさも、こってり、
であった。(むろん、資生堂パーラーは、
それだけではないが。)

ラードでからっと揚げたカツレツと
バターやらもたっぷり入っているこってりのカレー。

カロリーを気にする、現代においては、
今は昔のことかもしれぬが、うまい、
まぎれもない、東京の味、で、あろう。






東京都 台東区寿3-8-2
03-3841-7836

※電話帳などを調べると、どうも店の正式名称は
『キッチンベアー南海』と“ベアー”というのが、
入るらしい。なんであろうか“ベアー”とは、、、?







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