断腸亭料理日記2011

とろろ汁

11月5日(土)夜

さて。

土曜日。

内儀(かみ)さんは夕方から出掛けていき、
私はというと、相も変わらず、のんだくれ、
というわけなのだが、夜、10時すぎ、腹が減って、
ハナマサをのぞきに出る。

実は、豚レバーを買いにきた。
しばらく前まで、大きなものを安く売っていたのだが、
あまり売れないからか、今日きたら、置いていない。

レバーをペーストにして、トマトソースで
煮てみようか、レバニラでもいい、などと
考えていた。

はて?。

どうしようか、と、考えていると、
長芋が、折れてしまったものを、まとめて
150円で、売っていた。
量は随分ある。

これにしよう。
長芋で、とろろ汁。

とろろ、というのは、うまいもの、で、ある。

私の場合、子供の頃には、アレルギーで、
まったく食べられなかったのだが、
20歳(はたち)をすぎる頃から、少しずつ
食べられるようになり、30すぎであろうか、
酒を呑むようになって、好物になった。

蕎麦やの、つけとろ、あるいは、山かけ、なども
比較的よく頼む。

また、池の端藪などでは、酒の肴として
すいとろだけを頼むことも、多い。

そう。

とろろは、酒の肴として、実によい。

いや、酒の肴だけではない。
とろろは飯にも、むろん、うまい。
浅草には、駒方むぎとろというのもあり、
時として、無性に食べたくなるメニュー、で、ある。

しかし、とろろ、というもの、考えてみると、
不思議な食い物、で、ある。

あのネバネバ。

ああいう状態のものを食べる人々、というのは、
世界でも珍しいのではなかろうか。
別段、調べたわけでもないが、あまりないのではなかろうか。
第一、不気味ではないか。
納豆などもそうだが、日本人は粘ったものが好き?
いや、抵抗がないといった方がよいか。

しかしまあ、ヘンな食文化を持っているといえるかもしれない。

ともあれ、とろろ汁。

まずは、鰹出汁を濃い目に取る。
出汁はそう多くは入れないので、濃く取る。
長芋は、洗って、髭根を切っておく。
あとは、皮もむかず、そのまま擂(す)る。

擂る、といっても、私は、早いので、おろし金で
おろす。

量が多いので、なかなか、たいへん。

すり鉢一杯にできた。
ここに、酒、しょうゆ、生卵1個。

よく混ぜて、出来上がり。

料理というほどのことはない。


見た通り、すり鉢に、目一杯。

私は、これだけをレンゲで掻っ込みながら
呑む。(最初はビール。)

やっていると、内儀さんが帰ってきた。
もう半分以上、片付いていたが、
内儀さんとともに、あっという間に、
平らげてしまった。

とろろ、というもの。
うまいもの、で、ある。








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