断腸亭料理日記2012

断腸亭の夏休み イタリア その16

断腸亭の夏休み。

とうとう、15回を終わってしまった。

もうあと少し。

今しばらくのお付き合いを!。


8月15日(水)

今朝のエトナ山。


ちょっと、もやっているが、大きなかわりはない。

今日は、ダイビング。

例によって、ダイビングサービスの迎えがきて、
ジャルディーノから、ボートで出航。

今日は、祝日だからか、前よりもさらに人数が多い。

ポイントは、やはりこの沿岸。
やっぱり、水は冷たく、寒い。

一本終わって、昼飯。


ハテ?。

これはファルファッレ、なのだが、味は忘れてしまった。
(シシリア風、というような、メニュー名ではなかったか
と思うのだが。松の実など入っていた。)

同じように、3時頃終わり、送ってもらい、
ホテルでビールを呑んで、昼寝。

夜。

今夜は、前にも行ったところ。

お通しは前と変わらず、ブルスケッタ。


さて。

今日こそは、と、spada=かじきのソテーを頼んでみた。


今日は本物。

右側上のホイルに包まれているのは、じゃがいも。
日本のものとは異なり、しっかりした食感で、
とても濃厚なあまみ、で、ある。

かじきそのものの味は、別段かわったものではないが、
狐色に炒められた、玉ねぎとの組み合わせがうまい。

それから、カネロニ。


さすがに、イタリアンもバリエーションが尽きてきて、
普段食べない、カネロニ、を、頼んでしまった。

挽肉などをシート状のパスタで巻いて、トマトソースをかけ、
チーズを載せて、オーブンで焼いた、まあ、普通のカネロニ、
で、あろう。ちょっと、重い。

それから、カポナータ(caponata)。


カポナータは、シシリアの名物のよう。
フランスでいう、ラタトゥイユ。
ナス、ズッキーニなどの野菜を煮崩した、冷製料理。
こちらのレストランではどこにでもあった。

酢が入っているようで、酸味がある、とメニューには
書かれているが、この店のものは、
さほどの酸っぱさは感じなかった。

さて。

帰り道、食料品店で見かけた、からすみ=bottarga。
で、かつ、tonno=まぐろ、のもの。


日本語でからすみ、と、書いてある。
シシリアの名物。

日本でからすみ、と、いえば、ボラの卵巣だが、
シシリアのからすみは、マグロの卵巣の塩漬けが一般的のよう。
(地中海では広く食べられているようで、ボラのもの、
つまりカラスミそのものもあるようである。)

食べ方は、日本同様スライスして、レモンなんぞを
絞って、前菜として。あるいは、すり下ろして、
スパゲティーなどにかけて食べる。
ひょっとすると、粉のようなものがまぶしてある料理も
あったので、知らずに食べていたのかもしれない。

8月16日(木)

さて。

いよいよ、タオルミーナも今日まで。
明朝、立つ。


相変わらず、いい天気。
イタリアにきて、ことに、シシリアでは、
雨はおろか、雲さえ、ほとんど見ていなかった。

今日は、最終日なので、きたときから、背後に聳(そび)えていた
この山を登ってみようと考えた。


見るからに、きつそう。

内儀(かみ)さんなんぞは、歩くのを億劫がって、
バスでもないかと、ホテルのコンシェルジュに
しつこく聞いていたが、そんなものは、やはり、ない。
「歩いてください!」、だ、そうである。

教会と、その昔の城砦。

登山道があるようである。
「30分くらいですよ」ともいっていた。

ちょうど、タオルミーナ市庁舎の裏あたりから、
登れる、ということである。

きてみると、コンクリートで固められた、
幅2mほどの九十九折(つづらおり)の道。

そして、なんといっても、この暑さ。

実は、ここに登る前に、私は
タオルミーナの通りでどこでも売っている
安い白いパナマ帽を買ってきた。

なにしろ、日差しが強い。

しばらく登ると、キリストが十字架に架けられるまでの
聖書上のお話を表した、像が、角々に置かれている。

キリストは、十字架に架けられて処刑されたのだが、
その自分が磔(はりつけ)にされる十字架を
ゴルゴダの丘の上まで背負っていく。
その道中の有様。信者であれば誰でも知っていること。

休んでは登り、登っては休む。

まさに、巡礼をしているような気になってくる。
カトリック信者である私は、辛いなどとは
とてもいえなかろう。


昨日、NYCバレーを観た古代ギリシャの劇場も見える。
(こうしてみると、岩山をくりぬいて、作ったことが
よくわかる。古代ギリシャ人恐るべし!。)

それでもまあ、ホテルでいわれた通り、30分程度で
山頂に着いた。

まさに、日頃の運動不足のタマモノ。
ヘトヘト、で、ある。

が、やはり、絶景。


タオルミーナの街の赤い屋根を見下ろし、
緑とイオニア海の深いブルー、さらには空に同化していく
水平線。風もあり、気持ちはよい。


この山頂にある、教会。
いや、教会というには、いささか小さい。
礼拝堂といった趣(おもむき)。

名前はマドンナ・デラ・ロッカ(madonna della rocca)教会、というらしい。

ロッカは、英語のロック(rock)。

元々は山頂の岩の祠(ほこら)のようなもので、
聖母マリアが、羊飼いの前に出現した、という伝説があるよう。
今の礼拝堂は、その岩の祠と一体になって壁や屋根を作っているようである。

9月の第三日曜が祝日で、信者は巡礼にくるとのこと。
この時は、当然開けられるのであろうが、今は鍵がかけられ
中には入れない。
(青の洞窟もそうであったが、マドンナ・デラ・ロッカと
同名の教会はイタリア各地にあるよう。
そう、それで思い出したが、フランスのルルド。
ご存知の方はそう多くはなかろうが、カトリックでは
聖母マリア出現の地で、やはり、洞窟であった。
マリア様と洞窟は、ワンセットのようである。)


崖の際に建てられた、白い十字架。

これも絵葉書のよう、で、ある。



と、いうことで、今日はここまで。
また明日。






 


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