断腸亭料理日記2017

浅草・弁天山美家古寿司 その1

6月3日(土)夜

土曜日、夜。

内儀(かみ)さんが鮨が食いたいというので、
浅草の弁天山[美家古]寿司に行くことにした。

昼頃TELを入れ、17時から。

16時半、徒歩で出る。

10分ほど前に到着。

ちょいと店前で待って、入る。

同じように待っていた老夫婦と一緒。

私たちはカウンター奥側に座る。

瓶ビールをもらう。
銘柄はキリンラガー。

今までここにくると、つまみのついたコースにしていたが
芸がないので、今度はいわゆるお好みで食べてみようと
考えていた。
隣の老夫婦もそのようで、親方に頼む。

お通しは、小柱。

にぎるのは親方。

まずは、いかから。
一つずつ。
(写真、忘れた。)

にぎりの鮨の食べ方は、淡白なものから
順にということにしている。
いか、白身、光物、貝、マグロ、甘いもの、巻物。
こんな感じであろうか。

まあ、人それぞれ、好きなものを好きな順序で食べればよい
とは思うが、私はこの順にしている。
どこの鮨やでも、おまかせで頼めばこんな感じであろう。
淡白なものが先である。

好きな順に好きなものを頼むのはよいのだが、
同じ物を一人でなん回も頼むのはマナーとしてやめるべきであろう。
むろんお客は一人ではない、一人の客にたくさん出してしまうと
他の客に出せなくなってしまう。

いかは、聞くと、すみいかのよう。
この夏前のすみいかは産卵期で東京の鮨やはあまり使わないのだが、
珍しい。

次は、白身。

なにがあるか聞いてみる。

平目昆布〆、鯛、鱸(すずき)、しまあじ、とのこと。

鯛以外を頼む。

しまあじ。

しまあじは、普通の鮨やと同様の、
いわゆる仕事をしていない、生であろう。
切り方は厚め。
ほんのりとよい脂があり、よい歯ごたえ。

鱸。

親方が、洗いにしました、といって置かれた。

洗う以外にもなにかしているのか。
ちょっと水分のある触感。

平目昆布〆。

これも厚みがある。
種を厚めに切るのはここの特徴かもしれぬ。

昆布〆をする意味は水分が抜けうまみが増す。

平目というのは旬は冬で、夏場は真子鰈(まこがれい)にする
鮨やが多いと思うが、ここは年中あるのか。

次は光物。

小肌、鯵、鱚(きす)。

鯵から。

この家のこと、むろんちゃんと〆てある。
ただ、この鯵、脂がある。

どうなのであろうか。
こういう魚は賛否分かれるのではなかろうか。

脂ののった青魚を強めに〆るとやはり
どうしても生ぐさい感じが気になることがある。
この握りはそこまでではない。

ただ、鮨やで使う鯵であれば鮮度がわるいはずがない。
それを考えたら生でにぎった方がうまいのでは、という気もしてくる。

鱚。


まあ、これはにぎりにする場合、〆る以外にはない。
また、日本中で鱚をにぎる鮨やは、東京で古い江戸前を
守っている家だけであろう。
希少である。

次は貝類。

内儀さんの希望で赤貝。

かなりの肉厚。
ちょっと、酢飯とのバランスがわるいくらい。

江戸前仕事では酢洗い、酢に漬ける、といったことをすることもある
とおもわれるが、これはおそらく生ではなかろうか。
うまい。

鮑(あわび)。

生ではなく、塩蒸し。
塩蒸し、と、いっているが、実際には蒸すのではなく、
茹でるというのか、煮汁を身に戻しながら柔らかく煮る、
江戸前仕事。
滋味のある味。





つづく



弁天山美家古寿司



台東区浅草2-1-16
03-3844-0034




 

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