断腸亭料理日記2017

浅草・弁天山美家古寿司 その2

6月3日(土)夜

引き続き、土曜日の浅草、弁天山[美家古]寿司。
昨日は貝類、蒸し鮑(塩蒸し)まで。






次は、海老。

これもやはり、ちゃんとした鮨やでは
食べておきたい。
小型の車海老、さいまき海老、で、ある。

お客の注文が入ってから茹で始め、粗熱が取れたところで
皮をむいてにぎる、というのが今はある程度以上の
鮨やでは主流であろう。

が、ここは甘酢に漬けてある。
これは昔からの江戸前のやり方であるが、
薄めの味にしてあるよう。

また、おぼろをはさんでいる。

おぼろというのは、ご存知でない方もあるかもしれぬ。
今、東京の普通の鮨やにはまずないだろう。
あるとすれば、江戸前を看板にしているところ。

我々の子供の頃にはでんぶ、というものがあった。
ピンク色に着色された、白身魚などの身をほぐして
繊維だけにし、甘く味付けされたもの。
弁当やら、ふりかけとして子供には馴染みのあるものであった。
おぼろというのはあそこまで甘くないが、ほぼあれと同じもの。

小肌にはさむこともあるし、こうして海老にはさむ。
あるいは、海苔巻にも入れるか。

まぐろヅケ。

漬け方が浅め。
切り方がおもしろい。
普通、さくの表面を霜降りにし、漬ける。
これをにぎりの種に薄めに切ると切り口部分が天面にきて
霜降りの面は薄く側面にくる。
これもそうなのだが、もともとのさくが薄くかつ、
厚く切っている。
基本、ここは切り方が厚めなのだ。

さて。

お気付きであろうか。
私はここで気が付いた。

光物のところで、肝心の小肌が抜けていた。
なんたること!。

内儀(かみ)さんも聞いていた。
忘れられたようである。
まあ、よくあること。

ちょうど、親方は席を外されていたので、
前に立っている、若親方に頼む。

これこれ。
やっぱり小肌がなくては、江戸前鮨は成り立たぬ。
花形、で、あろう。
きちんと〆られた小肌のうまさ。

ん?。
気が付いたのだが、親方と若親方、こうして期せずして
にぎりを食べ比べた。

今まであまり意識をしてこなかったが、
よくいわれる、空気を含んでにぎる。
口に入れると、酢飯がほどける、なんといわれるあれ。

明らかに、親方と若親方とは違っている。
今まで食べていた親方のにぎりは、ふわっ、で、あった。
むろん、年季の入り方が違う。

なるほど。

親方も戻ってきた。
たこ。

たこもやっぱり、江戸前鮨やでは押さえたい。
独特の拵え方をしたたこは、香りもよく、柔らか。
これはつまみでも美味。

さて、まさに佳境。

穴子。

ここで穴子を食べたのは初めてであったろうか。

ほぼ真っ白の穴子。
とろけるくらい柔らかいのが主流だが、むろん炙ってはいるが
どちらかといえば、パリッとしている。
これが昔のスタイル?。

内儀さんが玉子をもらった。

もちろん、江戸前仕事の玉子。

最後は、さび入りのかんぴょう巻。

かんぴょうの細巻は毎度書いているが、
四つ切がなぜか鮨やの流儀になっている。
しかし、これは他の細巻同様、六つ切り。
(理由を聞いてみればよかった。
今度聞いてみよう。)

暖簾。

まだ外は明るい。

一つ、おまけ。

ここのまかない稲荷ずし。
この家で作って、そばの[栃木屋]という豆腐やで
売っている。
欲しいというと、裏からいって、買ってきていただけた。

こんな感じ。

レンコンに、

先の、たこなども入っていた。
揚げは薄味。

さて、これで終了。

ご馳走様でした。
ビールに酒も一本。
これで、一人7,000円ほど。

コースにするより安かったのではなかろうか。

御馳走様でした。

毎度、すばらしい江戸前にぎりに感謝、で、ある。


 




弁天山美家古寿司



台東区浅草2-1-16
03-3844-0034




 

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