断腸亭料理日記2018

リエット

5月19日(土)夜〜

リエットを作ることにした。

なにか定期的に作っているような気がする。
好物という言い方は違うのだが(もちろんきらいではないが)
時として食べたくなる。

皆様、リエットというのはご存知であろうか。
フレンチの肉料理である。

これは随分前だが、神楽坂界隈にあるフレンチ食堂で
食べたものだが、こんなもの。

皆様も一度くらいは食べたことがあるのでは、なかろうか。

豚肉が最もオーソドックスだと思うが、それ以外、
鴨などもよく出てくる。
肉を脂で煮込んで柔らかくし、脂とともに冷やし固めたもの。
もともとは塩を強めにした、保存食であったのであろう。

これはパリのカフェで食べたもの。

バケットをボソボソと無造作に切って、リエットを
はさんだものである。

リエットだけを食べるというよりもパンにつけて食べる。
シンプルなものだが、私は妙に好きなのである。

リエットが好き、というのもあるが、元来、
パン、特にフランスパン、バケットといったものが
好きなのである。
よく好んで作っているが、スペイン料理の
アヒージョもそうである。
あれもアヒージョだけを食べるということはなく
フランスパンを食べるためににんにく風味のついた
オリーブオイルを作っている、といった方が
よいのかもしれない。

そういう意味で、パンを食べるためなので、
複雑な味のついたソースではなく、
オリーブオイルと塩とにんにくだけ、とか、
豚肉と、豚の脂と塩、といったシンプルなものが
よりよくなってくるのかもしれない。

と、いうことで、金曜の夜、なんというあてがあったわけではなく
バケットを買ってきた。これでリエットを思いついたのが
本当のところである。

さて、豚肉。
今までは、バラかロースの塊をさいころに切っていたが、
安い小間切れにしてみた。
どうせ崩すのだから、脂があればなんでもよいのでは、
と、思ったのである。

作り始めたのは、土曜の夜。
玉ねぎ1個をざく切りにし、最初に炒める。

しんなりしてきたら、豚小間切れ。

肉にも火が通った。

ここにベーコン。

これも冷蔵庫にあった切り落とし。

炒めて、圧力鍋へ。

白ワイン、ローリエ。
軽く煮込んでアルコールを飛ばし、水。
いつもヒタヒタまで入れていたが、必ず水分が多めになってしまっていた。
今回は、心持水を少なめにし、ふたをし、加圧、10分。
火を止めて、放置調理30分。

圧力鍋を使うので、煮詰まらなため、水は少なめで
よかったのである。
それでも、まだ多いので、このまま少し煮詰める。
小間切れで脂が少ないかと思い、ラードを足す。

よいかな。
あたり鉢に移し、潰す。肉の繊維がほぐれればよかろう。


液体に見えるのは、スープというよりは、脂である。

容器に移す。

粗熱を取ってから、冷蔵庫へ。

翌朝。


すっかり固まった。

バケット(これは正しくは今回買ったものではなく、冷蔵庫にあった、
別のもの)を焼いて、盛り付け。

マスタードとケッパー。

味付けというのは、ほぼしていない。
塩気はベーコンのみ。
本来は保存食であったことを考えると、もっと
塩味は強かったのであろう。
ただ、今、フレンチレストランなどで食べても、
やはりそこまでは塩辛くはしていないと思われる。

マスタードも付けるので、これで十分。
これがうまい、のである。
豚肉、豚の脂(ラード)、ベーコン、玉ねぎ、白ワイン、
ローリエ、これだけ。

アヒージョもそうだが、フランスパンがいくらでも
食べられてしまう。
まさに食べすぎ注意、で、ある。

なぜこんなに合うのか。
フランスのものだから、合うのは当然なのだと思うのだが、
それでもやはり不思議である。
白いご飯に海苔の佃煮?、塩辛?、練うに?、そんな感じ
なのであろうか。

くせになる、旨みがどうも入っている。

そして、アヒージョもそうだが、これが、食パンのような
ソフトなパンではやはり合わないし、バターの多い
クロワッサンのようなものでもいけない。

この、堅いフランスパンにあう。
そして、うまい。
こんなにシンプルなのに。
不思議である。








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