断腸亭料理日記2019

洋食・上野・ぽん多本家

10月10日(木)第二食

ちょっと久しぶりかもしれない。

ここのところ、どうしても食べたかった。

[ぽん多本家]。

上野、とんかつ御三家ではあるが、自らは洋食を名乗る。
とんかつ、ではなく、カツレツ。

明治38年創業で、御三家最古である。

とんかつが洋食店から独立する前からある、ということである。

(随分前だが「上野とんかつ史考察」

ここに出てくる[双葉]は素晴らしい家であったが、
残念ながら閉店している。)

[ぽん多本家][蓬莱屋][井泉本店]。
御三家、それぞれ、値段も違い、持ち味、特徴があって
どこも好きで行くのであるが、ここが最も落ち着ける。

ちなみに、値段は[ぽん多本家]のカツレツが2,700円、
[蓬莱屋]のひれかつが3,300円、[井泉本店]は特ロースでも
1,595円と最も安い。

とんかつ発祥などと、まあ、神話であるが、上野のとんかつ事情。
最近は[とん八亭]がミシュランに載り、出てきている。

ここも噂に違わず、うまい。
昼のみの営業。ロースで1,800円と二店よりも安い。
薄い揚げ色で、今日の[ぽん多本家]系といってもよい
かもしれぬ。

さて[ぽん多本家]。

夜は、16時半からやっていた。

どうせのこと、
今日は早め、16時台に行ってみよう。

16時、40分頃か、到着。

重い扉を開けて入る。

アンダーな照明。

カウンターにはさすがに誰もいない。

一人、と指を出し、カウンターの一番右端、壁際に掛ける。

階上にも誰もいない?。
もしかして、口開けかも。

静かである。

なにしろ、静かがいい。
誰もいないのもいい。

お兄さんがメニューを持って注文を取りにくる。

メニューは見ないで、ビール、中瓶。
カツレツで、ご飯味噌汁はなし。

なんということもないのだが、対応が気持ちがよい
のである。

二階は女性だったかもしぬが、一階のカウンターは男性。
おそらくいつも同じ方だと思う。

ビールとお通し。

いかのぬた、である。

ここのお通しはいつもながら、うまい。
いくつかバリエーションがあると思うが、今日は
いかのぬた。

洋食店とは思えぬレベルであろう。

味噌を変えていないであろうか。
ちょっと赤味が強い。

辛子酢味噌なのではあるが、辛味も強く、味も濃くなっている
のではなかろうか。もちろん、うまい。

さて、真打、肝心のカツレツ。

きたきた。

お得意の薄い揚げ色。

アップ。

切り口はほんのりピンク。
油切れもよい。

このところ、塩である。

薄い揚げ色というのは、低温でじっくり揚げているということ。
これは難しいのである。
油温が低いということは、油っこく、油切れのわるい仕上がりに
なりかねないのである。

混んでいる時であろうか、ここもそういう例が過去にないことは
ない。そういう場合ははずれ?。
(そんな時には、塩でなく、ソースか。)

今日は口開けだからか。
ベストであろう。

うまい。

サクッと柔らかめに歯に触る衣。

もちろん、肉もよいのであろう。
柔らかさと、しっとりとしたうまみ。

うまい。

うまい。

食べ終わるのが、実に惜しく感じる。

静かな空間。

うまい、カツレツ。

これ以上はあるまい。

食べ終わりが見えてくると、ちゃんと見計らって、
お兄さんが、お茶を運んでくる。

これはほうじ茶。
これがまた、うまい。

ご馳走様でした。
おいしかったです。

立って奥の帳場で勘定。

また、この時刻にこよう。

 


台東区上野3-23-3
03-3831-2351

 

 

 

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