断腸亭料理日記2022

すき焼き・浅草・今半別館 その2

4168号

さて。

週をまたいだが、引き続き、
すき焼きの浅草[今半別館]。

前回は前菜まで。

いよいよ、肉。

言問というコースで、近江牛、もも肉、170g。
A4〜A5という。

どうであろうか、この肉の様子。
流石、で、あろう。

もも肉というのは、肉やで買うと、国産黒毛和牛
でも多少脂が少なく、堅めのものもあるのだが、
さすがに、そんなことはない。

玉子と野菜。

見落としがちだが、玉子の黄色も濃い。

野菜類は、春菊、えのき、焼き豆腐、白滝。
春菊の下に隠れているが、ねぎ。
白滝は、やはり細めのもの。

そう、白滝は細いものに限る。
なにがよいのか。
味が染み込みやすい。
また、水分が抜けやすい。
水分が抜けやすいから味が染み込みやすい
のかもしれない。
水分が抜けやすいと、食感も堅めになり
うまい。
こういうことである。

型通り、最初はお姐さんが大きいものを一枚
焼いてくれる。

肉を鉄鍋に入れ、割り下を差す。
玉子も溶いてくれて、小鉢へ。

小鉢に取ってくれる。

これが、まずかろうはずがない。
思ったほど、くどくもないのである。

ステーキもうまいが、やはり日本人にとって
これが牛肉の最上の食いかた、で、あろう。
黒毛和牛のちょうどよいところを甘辛く煮て
溶き玉子へ入れてくれる。
これを幸せというのであろうし、
これを贅沢というのであろう。

黒毛和牛というのも日本中にたくさんの
ブランドがある。米沢、宮崎、但馬、、、、
関東にもたくさんある。箱根などへ行くと足柄牛
というのが出てくるし、葉山牛なんというのもある。
東京都内にも秋川牛というのがある。
生産していない都道府県はないのではなかろうか。
どこへ行ってもかならずご当地牛がある。

中でも神戸、松坂、そして近江が三大和牛
ということになっている。
この三つは押しも押されぬものであろう。

歴史は、近江、滋賀県が最も古いと。
神戸も松坂も、明治になってからで、江戸からは
近江だけ、なのか。

続けて、お姐さんは鍋に足してくれる。

話しをしながら、呑みながら、ゆっくり食う。

肉も、焼き豆腐の、白滝も、ねぎも、皆うまい
のであるが、ここで食べるよさは、前回書いた
数寄屋造りの見事な日本間で食べられること。
真に貴重な時間である。
これも、この上ない贅沢。
唯一無二。

この店の系列ではないが、同じような値段で
同じようなすき焼きは、ビルのテナント店でも
食べられる。だが、それは自ずと違うもの
であろう。
どちらを選ぶかと聞かれれば、私は迷わず
こちら、で、ある。

途中、酢の物がくる。

口直し。

黒いもの、プチプチした食感。
海ぶどうといっていたように思う。
水菜、胡瓜、薄く切ったはつか大根か。
さわやか。

ご飯がきた。

残っていた一切れを玉子に入れ、行儀がわるいが
ご飯にかける。
これも、まさに堪えられないうまさ。

吸い物に入っているのは湯葉と三つ葉。
ここのおつゆは、味が濃い。
なんであろうか。
白だし、あるいは白しょうゆが入っているか。
濃いのだが、ちょっとキレがわるくなるように
思う。まあ、好みなのであろうが。

ご馳走様でした。
うまかった。

よい時間。
大満足。

部屋で、勘定。

二人で25,894円也。

立って部屋を出て、廊下を右に曲がり、
玄関へ。

靴が出されている。
お姐さんから靴べらを受け取り、靴を履く。

お姐さんは路地まで見送りに出てくれる。

また来ます。

 


今半別館

03-3841-2690
台東区浅草2-2-5

 

 

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