断腸亭料理日記2023

日本橋高島屋特別食堂・うなぎ・五代目野田岩

4352号

6月4日(日)夕

さて、そろそろ季節。

なにかというと、うなぎ。

まあ、土用の丑の日にうなぎを食べようというのは
平賀源内の差し金ではあるが、やはりもはや、
暑くなると、うなぎを食べたくなるのは、
自然なこと、ではある。

だが、皆々がうなぎを食べる丑の日にわざわざ食べる
こともない。混んでいるだけ。ひょっとすると
食べそびれるはめになる。

やはり早めに食べておきたい。

今日は日曜なので、日本橋高島屋特別食堂の[野田岩]。

そう、ここも池波レシピ。

デパートの食堂なので、便利で手軽。

[野田岩]も申し訳ないが、味も店によって凸凹ある。
さすがにここは本店レベルといってよろしかろう。

そして、日本橋高島屋特別食堂のサービスは
帝国ホテルなので、まあ、文句の付けようがない。

安いものではないし、誰でもそうだろうが、
この年になると、まああまりぞんざいに扱われたくはない。

東京の食い物やの客扱いがどんどんわるくなっている。
そう思われる方も多いのではなかろうか。
昨日の目黒[とんき]などはもはや稀有な例
といってよいだろう。

別段、偉そうにしたいわけではない。
シェフや料理人をリスペクトはする。
だが、どんなに有名な人気のところであろうとも
こちらは金を払っている客である。
修行にきているわけではない。
居心地がわるければどんなにうまくとも、
どんなに有名でも二度と行きたくはない。
なんでこんなことになってきたのか。

ともあれ。
銀座線で稲荷町から乗って、日本橋。

先頭から降りて、日本橋高島屋へ。

本館地下。エレベーターで八階に上がる。

特別食堂はエレベーターから右手奥。

入って、受付をする。
40分、50分待ちです、と言われる。
前回もそうであったがそんなにはかからない。
ここの広いロビーの椅子で待ってもよいし、
高島屋店内で買い物をしていてもよい。
順番がくればTELで呼び出してくれる。

今日は、ロビーで待っている人もそう多くは
ないので、時間は掛かるまい。ここで待つ。

15分、20分は掛からなかったであろう。
名前を呼ばれ、案内される。

掛けて、ビールをもらう。

瓶ビール、キリンはラガーではなく、
一番搾り。

ここは白焼きと蒲焼のセットだったり、
白焼き重もあって、一人でもちょうどよいのだが
内儀(かみ)さんと二人なので、白焼き一人前
(2904円也)と、うな重にしよう。

うな重は一番小さいのでよいだろう。
小さいのは蘭(4235円也)というので、数量限定という。

ウエイター氏に聞いてみると、蘭はもうないが
蘭の大きさで、天然ものがある、という。
値段は数百円違い、と。

なんだ、そんなことであれば、もちろんそれがよい。

[野田岩]というのは天然もの、というのも実は
看板にしている。繁忙期でなく、店に在庫があれば、
いかがですか?、と聞いてくれることがある。
以前に、麻布の本店で食べたこともある。

白焼きがきた。

紫の塗りのきれいな名入りのふたがしてあった。
その写真も撮りたかったのだが、ウエイター氏が開けて
持っていかれてしまった。

これ、下にお湯の入った金属の器。
白焼きというのは、温かい、というのが重要な
要素、なのであろう。

もちろん、本わさび付き。
うまいもんである。
生ぐささとは無縁の、乙な味。

これ、誰が考えたのであろうか。
うなぎをしょうゆの甘辛の蒲焼というもので
食べられるようになったのは、江戸期中頃。
むろん、当時は天然のみだが、かなり脂っこいもので
そう品のいいものではなかった。
蒸すことで脂を落とし、また江戸近郊で濃口しょうゆが
発明でされ、濃い味の蒲焼が生まれた。
うなぎとは、生ぐさいものなのである。
生ぐさくない白焼きを出せる技がなければ、
この料理は成立しない。

お重もきた。

お新香はキャベツと大根、にんじん、きゅうり。
肝吸いと、右上は大根おろし。
大根おろしを出すうなぎやというのは、私は
他には知らない。おもしろい。

アップ。

天然うなぎの特徴というのは、なんであろうか。
一番よくわかるのは、大きいということか。
皮が厚かったりすることもあるが、脂ものり、
身も厚いのが多いように思う。
そういう意味では、これは小さい串なので、
わかりずらいのかもしれぬ。

ともかくも、野田岩品質の蒲焼。
ここの焼きの技術は、No.1なのではなかろうか。
たれはあますぎず、からすぎず、べたべたも
しておらず、よい照り。ごく丹念に焼かれて
いるように感じるのである。

うまかった。
ご馳走様でした。
やはり、裏切らない、日本橋高島屋特別食堂の
[野田岩]、で、ある。

 


日本橋高島屋特別食堂

野田岩

 

 

 

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