断腸亭料理日記2008

池の端藪蕎麦

12月21日(日)

第一食は、昨日から作っていた、ひよこ豆のペースト、
今年、ドバイ旅行でおぼえた、ホンモス。
とフランスパンのガーリックトースト。





豆は昨日の昼間から6時間ほどひやかし、
夜中、圧力鍋で茹で、今朝起きてからミキサーでペーストにし、
めんどうなので、今日は裏漉しはやめて、オリーブオイル、
レモン汁、塩を加えて完成。
ガーリックトーストは、オリーブオイルをぬってトースト。
焼き上がったら、にんにくの切り口をこすりつけて、
香りだけ付けたもの。

このところ、このガーリックトーストを気に入って、
よく食べている。

昼過ぎ、例によって、アメ横の魚やへでも行こうか、と、
出る。

今日も着物。

出ると、昨日に引き続いて、今日も暖かい。

清洲橋通りを渡り、真っ直ぐに西へ。
キムチ横丁から、昭和通りを渡って、丸井裏。

ちょいと、小腹が減った。
着物を着ているから、また、そばやへでも寄っていこうか。

上野藪は、と見ると、店前で待っている人もいる。
これはだめだ。

池の端までいこうか。

アメ横の人混みを抜けて、広小路のアブアブ前、
三橋(みはし)の交差点まで出てくる。

毎度、三橋、三橋と書いているが、これは、文字通り、昔ここに
架かっていた橋のことである。

今、三橋、という名前は、今もこの交差点脇にある
甘味や、みはし、に残っている。
(また、この、甘味や、みはし、や、ヨドバシカメラのある一画は
元は、上野三橋町といった。)

三橋というのは、ここに三本の橋があったのである。
今では考えられないだろうが、橋があったということは、
川があったということである。名前は、忍川という。
不忍池から、細い川が流れていたのである。
広小路は三本の橋でこの川を渡っていた。


大きな地図で見る

この流れは、今のアメ横を斜めに突っ切って、東へ、
昭和通りを渡り、さら東に流れ、今の清洲橋通りにぶち当たり、
二つに分かれる。一つの流れは南に直角に曲り、小島町、
竹町の前の三味線堀に注ぐ。
もう一つは、真っ直ぐ東に、今の都立白鴎高校、
旧第一高女前を通り、七軒町、三筋の北を流れ、新堀川に
つながっていた。

これは渋谷川のような春の小川ではなく、
江戸の頃から町の石垣などで整備された、堀川であったのだろう。
(ただし、志ん生師の子供の頃、明治であるが、には、
不忍池、三橋のあたりでも、オニヤンマなど、
たくさんのトンボがおり、よく獲ったものであったと
いっていた。)

アブアブ前の交差点を渡って、池之端仲町通りに入る。

日曜日の二時過ぎ。
アメ横あたりの雑踏と比べると、
この池之端仲町通りも人通りはさほどではない。

ずんずん歩いて、池の端藪蕎麦の前までくる。

開けて入る。
上野藪と比べると、すいている。

テーブルでも、座敷でもどうぞ〜 、という状態。

店のことを考えると、よいことではなかろうが、
客としては、列になられるよりは、むろんよい。
列になっているそばやで、落ち着いて、そばなど
食えるものではない。
店も毎度私が書いているような、東京のそばやらしい
サービスを提供できようはずがない。

上野藪は、場所が場所だけに、いろんな人が
入りやすいのであろう。
池の端藪は、ここまで歩いてこなければならないという
ハードルと、まわりはまあ、さほどよい環境とは
いえない、というようなこと。
あるいは、あまりに老舗然とし、だれもが気軽に入るには、
敷居が高い、というようなこともあるかもしれない。

着物なので、皺にもなるし、テーブルにする。
手前の奥。

今日も、ぽかぽかと暖かだったので、
元浅草から、ここまで歩いてきて、薄汗も出ている。

エビスの中瓶をもらう。
つまみは、いつもの、柱わさび。
小柱、で、ある。

小柱も好物。


この小さな器に小さなしょうゆさし。
こういうしつらえが、江戸前の肴、と、いうもの
ではなかろうか。

そばも、もりを、一緒に頼んだ。
別段ゆっくり呑むつもりもなかったので、
よかったのだが、ちょっと早めに出てきた。


そばというものは、完全に呑み終わっていなくとも、
呑みながらでも、いけるものである。

さっと、たぐって、勘定。

うまかった。

なんとはなしに、よい感じである。

本来の目的、アメ横の魚やへ。


池の端藪蕎麦



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