断腸亭料理日記2012

室町砂場

12月17日(月)夜

さて。

大阪出張から19時前、帰京。

新幹線のホームに降りると、
しょぼしょぼ雨も降っているようで、
コートもいらないほど暖かかった大阪とは
随分な違い。

着いたら、なにを食べようか、ずっと考えてきたのだが、
この寒さ。もう決まり、で、ある。

室町砂場

天ぬきに燗酒、で、ある。
ここも池波レシピ。

東京駅からだと、日本橋やぶ久
という選択肢もあり、ここは、季節ごとに
いろんなかき揚げを用意しているので、
それを天ぬきにしてもらうのもの、よい。

だが、今日の気分は、なんとなく室町砂場。

やぶ久の方も、今年で百年という、立派な老舗
なのだが、室町砂場と比べると、看板の大きさは
やはり違うように思われる。

新幹線ホームの先頭から日本橋口へ。
傘がないので、出口脇のコンビニでビニール傘を買って、
出る。

傘を差していない人もいるくらいで
強い降りではない。

永代通りを渡って日本ビルジングとJXビルの間を抜けて、
旧常盤橋の前までくる。

この旧常盤橋、少し前から工事中なのか、入れない。
常盤橋御門の石垣も残っている貴重な場所。
どうしようとしているのであろうか。

右に折れて、常盤橋(現)を渡り、外濠通りを左折。
日銀を右にみて、江戸通り、新常盤橋の交差点。
(そう、ここ、常盤橋が三本あるのである。
真ん中が最初の常盤橋。今さっき渡ったのが
現常盤橋。そして北側、江戸通りの橋が新常盤橋。)

向こう側に渡って、常盤小学校。
ここは関東大震災後に建てられた、
復興小学校と呼ばれているものの一つで、
東京都の歴史的建造物。

路地二本先を左に入る。
(ついでだが、この角の近三ビルも、都選定歴史的建造物
意外に新しく見えるが昭和6年の建築。)

路地を入って左側。
路肩に柳の木が植わっている。

室町砂場。
傘を傘立てに置いて、暖簾を分けて入る。

ここは照明が暗め。
これも、落ち着けるところ、で、あろう。

店は7分通りの入り。

案内された二人掛けのテーブルへ座る。

コートを脱ぎながら、お姐さんへ、
お酒お燗、と、頼む。


そして、品書きは一度見るが、
天ぬき、はできますか?、と聞いてみる。

はい。

と、お姐さん。

ややあって、きた。


天ぬき。

小ぶりの器に小さ目のかき揚げ。

なるほど、そういうことか。

ここは、これをつけ汁にして食べる、天もりそば
というものが看板といってもよろしかろう。
普通、天ぬき、といえば、温かい天ぷらそばの
そばぬき、なので、大きな器で大きなかき揚げ、
または海老天なのだが、ここは、天もりそばの、
そばぬき、ということのよう。

この温かい汁物で、燗酒を呑む、というのは、
どうにも堪らなく、うまい。

風邪っ引きでもあるし、お酒は一本でやめて、そば。

冷たいそば、に、三色そば、というのがあった。
ぶっかけのようだが、頼んでみよう。


ちょっとわかりずらいので、アップ。


海苔に茹でた三つ葉、奥がおろし。

江戸前らしい、さっぱりした一杯。

むろん、うまい。
ご馳走様でした。

立って、勘定。

そうそう。

ここも、お姐さん達の、声がいい。

お客が入ってくると、

「いらっしゃいぃ〜〜〜』

と、皆でいい声で長く伸ばす。

藪をはじめ、東京下町の老舗そばやの名物、
と、いってよいだろう。

帰りは、

「ありがとうございますぅ〜〜」

の声に送られて、出る。


格子戸の外の灰皿で一服。

うまかった。





ぐるなび









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