断腸亭料理日記2012

西浅草・うなぎ・鍋茶屋

6月26日(火)夜

出先から、直帰。

今日は、少し前から課題であったところへ
いってみようと考えた。

西浅草の鍋茶屋という、うなぎや。

浅草にはうなぎや、というのは、実際のところ、
そうとうな密度で存在しているのではなかろうか。

おそらく、東京の他の街と比べても、抜きん出ている。

鮨や、というのも、少し前までは、寿司屋通り、なんという
名前がついた通りがあったくらいで、多かったのであろうが、
今は、そう多くはない。
銀座などの方が、よほど多いであろう。
これは鮨やの方が、値段も張る、ということが
あるからか。

そういえば、天ぷらやも、浅草には随分とある。
これも他の街よりも多いかもしれない。
ただし、こちらは昔ながらの天丼を看板にしたところ。
揚げたてを目の前の皿に置いてくれるスタイルではない。

浅草のうなぎや、といえば、有名どころでは、
駒形の前川

ここは、池波レシピ。

小柳

初小川

色川

このへんが大所であろうか。
小柳を除き、創業は江戸。
そして、おそらく東京で創業が最も古いうなぎやの
一つが、田原町の奴(やっこ)。
ここは寛政年間の創業。

これだけをみても浅草でのうなぎやの
存在感の大きさは推して知るべし、で、あろう。

むろん、他にもなん軒もあるし、
皆、個性があり、存在感がある。

鍋茶屋、というのは、西浅草、つまり、
六区から国際通りを西に渡ったところ。

ビューホテルの路地二本南。

路地を入って右側にある一軒家。

8時前、店に入る。
左側が座敷。
右側がテーブル席。

サラリーマンが3〜4人で呑んでいるのが
数組。ちょっと、居酒屋のよう。

あいていた座敷に上がる。

座って、扇子をパタパタやっていると、
白髪頭のお女将が、傍らの扇風機のスイッチを
入れていってくれた。

瓶ビールをもらって、品書きを見る。

と、うなぎ以外にも、焼鳥は一通り。
刺身もある。

なるほど、これは、居酒屋に近いか。

ビールを頼むときに、お通しいりますか?
と聞かれたのだが、へんなことを聞くもの、
と、多少、いぶかしく思われた。
別料金だがいるか?
という問いかと思ったい、頼んでみた。

ビールとお通し。


〆た鯵と、たこ。
そして、なぜか、玉子焼き。

不思議な組み合わせだが、これ“なんとなく”
わかる。

注文は、月見。

玉子の黄身を落とした、とろろ。

とろろ、は、このすぐに近所だが、どぜうの飯田屋
にもあった。ちなみに、飯田屋には、うなぎもある。
うなぎと、とろろ。

おわかりであろう。精を付けたい、ということ。

それから、肝焼き。

そして、うな重は、上中下などなく、一品だけ。
むろん、うな重も。

月見。


これは、なかなかいい芋を使っているよう。
そうとうに腰、というのか、粘り、が、強い。

肝焼き。


ゆっくりつまんで、ビールを呑む。

うな重が、やってきた。


味は、浅草らしい、甘さを控えた、さっぱり系。

十二分にうまいうな重、で、ある。

掻っ込んで、勘定。

これで、いくらだと思われようか。

3000円!。

うな重は2000円。

冒頭に書いたように、浅草のうなぎやは
半端なものであればとても成立はしない。

なるほど、これならば、と、頷ける。

うまかった。

ご馳走様でした。




03-3844-3337
台東区西浅草3-16-3






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