断腸亭料理日記2013

池の端藪蕎麦

11月25日(月)

さて、月曜日。

7時半、市谷のオフィスを出る。

相変わらず、風邪が治らない。
やはり、温かいものがよい。

この前、並木藪へ行ったが、今日は、久しぶりに池之端の藪
で、燗酒と温かいそばにしようか。

牛込神楽坂から大江戸線に乗って上野御徒町で降りる。

7時40分すぎ。

池の端藪は8時でお仕舞いなので、あまりゆっくりはできないか。

地上へ出て、クラブやら風俗やら、焼肉やら混在する
路地を抜けて仲通りに出てくる。

左に曲がって、藪蕎麦は通りに出る少し手前左側。

この池之端、湯島天神下界隈というのも、
相変わらず多少のいかがわしさがあるのであるが、
それでも少しずつ新しい店ができたり、変わってもいる。
多少スタイリッシュ、というほどではないが、
入ったこともないので中身はわからないが、
小奇麗なところもできているようにも見える。

だがまあ、私の場合は、この界隈でいつも行く店は
変わらないので、たいして影響はないのだが。

池の端藪蕎麦、格子を開けて入る。

いらっしゃいませ〜、とお姐さんの声。

座敷もテーブルもどちらもあいている。

お好きな席へどうぞ〜。

時刻も遅めであまりゆっくりもできなかろうが、
私の好きな座敷の窓際があいているので
座ってしまおうか。

この座敷の窓からは、水がちょろちょろ流れていたりする、
玄関脇の緑が見えるのがよいのである。

座って、お酒。

と、つまみは、なにがよかろう。

私の定番、柱わさび、か。

柱わさびは、小柱の刺身のこと。

お姐さんにいうと、切れているとのこと。
これはたまにある。

じゃあ、すいとろ。

つけとろそば、のそばなし、というのか、
小さな器に入れて出てくる、とろろ汁といえばよいのか。

とろろも、この間食べたばかりだが、これも好物、
いつ食べてもよい。私には定番。

お盆にお酒、そば味噌、すいとろ。


先日の並木藪の回にぐずぐず書いたが、ここの徳利と猪口ののったお盆の姿、
というものやはり、よいものである。

づんぐりした徳利は白。これは並木藪と一緒。
違うのは入れている袴。
並木藪は白木の一合升だが、こちらは塗(ぬり)のもの。
また、並木藪は、猪口まで真っ白であったが、
池の端は、なに焼きだかわからぬが、多少凝ったもの。
また箸も、並木は箸袋もなしだが、池の端は名入の箸袋である。

池の端の方が随分と色気がある。
ただ、この加減がむずかしいところ。
これを超えると、やりすぎ、になろう。

このとろろ汁で燗酒を呑むというのも、またよい。

一合を呑んで、そば。

温かいもの、なのだが、シンプルに、かけ、に、しよう。

なにも入らないかけそば、というのも、池の端藪であれば
なにかよい。


そばには本当にまったくなにものっていない。

薬味のねぎとわさびだけ。

この姿がまずよい。
きれいだとは思われまいか。

ねぎを入れ、わさびをなめながら、そばを手繰る。

そばも、ほかほか。
つゆも熱く、これもまた、腹に染み渡る。

やはり熱いものは熱くないといけない。

しみじみ、うまかった。


席で会計。

ここもやっぱり、靴べらを脇においてくれる。

ご馳走様でした。

おいしかったです。




池の端藪蕎麦






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