断腸亭料理日記2021

浅草・うなぎ・小柳

3891号

7月6日(火)第一食

さて、火曜日。

今日はなにを食べよう。

曇りだが、暑い。
蒸し暑いというべきか。

うなぎでも、食べようか。

ちょいと一杯やって。

夕刻、ふらっと寄れるとなると、浅草[小柳]

ではなかろうか。
今年の2月にもきていた。

駒形[前川]は一人では入りにくい。

先日、といっても6月だが、ご近所、小島町の
[やしま]の持ち帰りを家で食べた。

こんな時世だが、もうすぐ土用でもある。
今年の丑の日は7/28のよう。

ニュースで視た記憶があるが、
今シーズンのうなぎの相場は、多少安くなっている
よう。前年の稚魚の獲れ高がよかったからのよう。
まあ、5月の豊洲の対前年比で15%安

といったところのようだが。

ほんとうは書き入れ時だろうが、どこも厳しかろう。

そんなことで[小柳]。
創業は大正12年(1923年)、関東大震災のすぐ前。
もうすぐ100年。
江戸創業のうなぎやがごろごろしている浅草では
そう古くはないということになってしまうが。

夕方は四時から。
目掛けて、自転車で出掛ける。

ウイークデーだが、浅草の人出は少なくない。
観光の人も少なからずいるよう。
数は多くはないが人力車も出ている。

[小柳]は、仲見世とオレンジ通りの間で
雷門通りの角は、演歌や邦楽、落語などのヨーロー堂、
この通りに同じく、宮田レコードもある通り。
[餃子の王さま]もこの通り。

四時ちょうど、店脇に自転車をとめて入る。
一番乗りのよう。

カウンター奥に掛ける。

お酒冷(ひや)かな。

それから、肝煮と焼鳥。
一人だと、白焼きは食べられない。

すぐにきた。
酒と肝煮。

ちょっとずれて、お新香。

お新香は、うな重に付くものだが、
呑んでいる客に先に出すのは、東京のうなぎやの
昔からの通例であろう。

カウンターの上にいろいろな飾り物というのか
小物が置かれている。
中で、目の前に卓上のカレンダー。
歌舞伎役者、で、ある。
女形、役名はわからぬが、桃色の振袖で
なにか若い女性のよう。
誰だろう。

見ていると、焼き鳥がきた。
お姐さんがお手に取ってどうぞ、と。

これ、誰ですか、と、聞いてみた。
猿之助です、と。
え?、今の?。
そうです、とのこと。
今年のカレンダーなので、最近のものであろう。
この芝居はわからぬが、猿之助は亀次郎時代は
女形の方が多かった、か。
このカレンダー、めくって表紙を見ると、
猿之助だけのものであった。
どなたかご贔屓なのであろう。
芝居もしばらく行っていない。
心置きなく、行ける日が早くきてほしいと
願うだけである。

焼鳥。

うなぎやの焼鳥というのは、うまいものである。
おろしをつけるところが多いが、なぜであろうか。
そういえば、うなぎやに限っているように
思われる。

お重もきた。

毎度書いているが、このふたを開ける瞬間は
なににも増して、幸せを感じる。

肝吸いも。

山椒をぱっぱ、と、振って、

食べる。

浅草の蒲焼は、どちらかといえば、甘味を抑えた
江戸前といってよい、キリっとしたものを
出すところも多い。ご近所[やしま]などは
そちら。

[小柳]は、甘めではないが、キリっ、でもない。
中間といったところか。

だが、もちろん十分にうまい。

お重を持って、ばくばくと掻き込む。
やっぱり、こう食べたくなる。

食べ終わり、出る。
勘定は5,000円ちょうど。

うまかった、ご馳走様でした。

 

台東区浅草1-29-11
03-3843-2861

 

 

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